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菅野所長のエッセイ;W杯観戦記( その② 日本代表の終劇 )

 日本が予選を突破すれば、W杯はもっと楽しいものだったけれど、予想通り大それた野望だったようだ。やはり初戦がすべて。あの試合、本田ののゴールで先制したまでは望外の展開だったが、その後の本田はボールは取られまくりだわ、ミスパスばかりだわで、ひどいものだった。何となく元気がいいのは大久保だけで、他の選手も動きに精彩を欠いた。

 ひとつには、高温多湿、移動距離の苛酷さの中での調整失敗という見方もあるのだが。
また本田は、ある時期からの異様な眼球の飛び出し、喉元の手術痕から、パセドー病の説が有力だし。そんな状態でも出場してしまうメンタリティ、それを許してしまうチーム状況もどうなんだか。

 マンUではほとんど出番がない香川も、やはりひどかったが、加えて、コートジボワール監督、ラムシのマッチアップが巧みだったせいもある。いつもは左サイドの快足ジェルビーニョが右サイドに来て、香川、長友の日本の左サイドがこれの対応に追われた。今の代表は、この左サイドからの攻撃頼みのチームであるから、これがディフェンスに追われるとどうにもならない。
 現在、日本代表は世界でも決して侮られてはいない。当然よく研究されてもいる。中にはトルシェみたいのもたまにいるが、ほとんどは優れた戦略家である。この点でザックは少々落ち、ラムシの思い通りにさせてしまった。

 ザックは辞意を表明したが、でも僕はそんなに悪い監督だとも思っていない。4年前よりも8年前よりも、いまの代表チームのほうがいいサッカーをしていると思う。方向は間違っていない。けれども、到達するレベルが低かったと言うべきだろう。
 香川がドルトムントにいればとか、本田の病気がなければとかは言ってもしようがなく、
すべては、オシムが倒れた日から、今日の悲劇にじわじわと近づいていったのだと思う。もしもオシムだったら、本田もあそこまでバカなことは言う選手にはならなかったに違いないし、香川の本質を見抜くこともできただろう。

 大久保は確かに孤軍奮闘していたかのように見えるのだが、チームの戦略に合っていたかは疑問だ。W杯前の試合で、青山のロングボールを受けての見事なゴールでアピールし、期待されたが、現実には無得点だったし。

 それで試合を観ながら思い出した。それはトルシェ監督の時代。やはり本番前の試合で、レギュラーではないFW西沢が奇跡のようなボレーシュートを決めたときがあった。この一発によってトルシェは西沢を重用し、トルコ戦という大事な試合に先発させたのだった。
 しかし、サッカーをよく知っているなら、あの西沢のゴールは彼の一生で一回くらいの偶然、奇跡のようなものだということをわかっていたはずである。残り時間5分くらいで使うなら許せるが、スタメンから使えるような選手ではまったくないということも。
 僕は今でもあの試合、西沢さえ出さなかったらトルコに負けるはずがなかったと思っている。

 ザックも同じミスを犯したように思う。コロンビア戦で、MFに青山を先発起用したのはまさにあのゴールの映像がこびりついていたからだろう。人間追いつめられると、たまたまだったことに頼りたくなるものだ。トルシェは単にサッカーをわかっていなかったからそうなった。だからその起用に自信を持っていた。
 一方ザックは、つまりは、腹が据わっていなかったということだ。どの試合もワントップには大迫か柿谷を先発にして、それまでに積み上げてきたサッカーをすべきだったのだ。しかし、W杯という大本番になって、自分自身の不安に打ち勝てなかった。監督にかんする問題はここだったと思うね。

 ま、とにかく、実力は出し切った。今回のチームは、コロンビアの二軍相手ならちょっと優勢に試合ができるといったところだった。
 これからしばらく代表はひどい低迷期に入るのではないか。今回、19,20歳くらいの選手がいなかったのも淋しいし。とにかくDFでいい選手が出てくること、それなしには今以上になれない。

 さて、日曜は夏のグランプリ宝塚記念である。これは人気サイドでしかたないか。⑥ジェンティルドンナ、⑦ウィンバリアシオン、⑪ゴールドシップの3頭に割って入ることができるとすれば、②デニムアンドルビーと⑩メイショウマンボか。でも、もし完全復活なったとすれば、③ヴィルシーナの逃げ残りに食指が動く。

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