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WBCに思う

 いやあ、大谷の最後の一投はすごかった。ふだんはMLB中継での大谷の試合くらいしか野球を見ないけど、国を背負って戦うWBCは見応えがある。そういえば日本シリーズでどっちが勝ったかも数日後に知ったくらいで、ほんと野球にはあまり関心がなくなってしまったのだった。サッカーとは比べるべくもないマイナースポーツではあるしね。でも、WBCは面白かった。チェコ戦でのサイドストーリーなんかも良かったしね。そして、決勝でアメリカに勝つなんてのは、台本でもあるかのようだし。

 昔、ドームができる前の後楽園球場に日米野球を観に行ったことがある。たぶん1986年のことだと思うんだが。日本はエースが江川で4番が落合、これ以上ないというドリームチームである。片や観光気分のアメリカ、超一流が揃ったというほどではないが、それでも注目の選手はいるし、まずまずの顔ぶれだった。でも、今回日本には落合がいて、江川がいる。秋山だっているし、これなら日本も十分に戦えるだろうと思った。

しかし、甘かった。その実力差を思い知らされたね。あまりにも差があった。

 先頭打者か2番打者だった小柄な選手があの江川の速球を打ち返した。センター前ヒットかライナーだと思った低い打球だったが、ほとんど落下せずにバックスクリーンあたりに入った。球場はどよめき、江川は苦笑するしかなかった。4番カンセコのものすごいライナーがレフトフェンスに直接当たった。このときレフトは、自分の数メートル横をかすめて打球が来たのに、呆然として一歩も動けず、跳ね返ってからやっとボールを拾いに行った。捕手はすごい強肩で、ピッチャーに返す球がそのピッチャーよりも速いのである。ほんとの話だよ。そのたびに満員の球場がどよめくんだから。当然内野手の肩もすごい。日本の内野手の送球はみなお辞儀するのに、メジャーの選手はまったく落ちない。

 何でもそうだが、生で観るとよくわかるね。日本のバッターで、アメリカのピッチャーを打てそうなのは落合だけだとか。何というか、選手のたたずまいから、雰囲気、オーラみたいなものが発せられるのである。当時、メジャーにだって行けると言われていた西武の秋山などは、絶対に通用しないなとわかる。そういうことが分かっちゃうのである。

 しかし、あれから幾年月。パイオニアの野茂に始まり、イチロー、松坂、松井、ダルビッシュ、田中等々、そして大谷だ。日本で一流なら、メジャーでも一流になれることは証明済みだ。とくに投手はね。

 野球という狭い世界では、日本は、サッカーで言えばブラジル、アルゼンチン、フランス、ドイツ、スペインクラスである。優勝候補として、堂々と優勝を勝ち取れる立場にある。でも、アメリカが、日本みたいに本当のベストメンバーを揃えたら、まだまだ勝てはしないね。今回もカーショーとか急きょ取りやめてたし。アメリカはまだ本気ではない。でも、今回のでメジャーリーガーたちも意識が変わるかもね。

 

 もっとも、日本が勝とうが、中南米が勝とうが、WBCの勝者はつねにアメリカである。なぜなら、この収益のほとんどはMLBが吸い上げ、選手の年金資金に充てられるからだ。参加国は、こんな屈辱的な条件を呑んででも、それでもやろうとなったのだった。優勝国日本で、収益は1割くらいと聞く。だから、冷静に考えるとばかばかしい大会なんだが。

 WBCが始まった頃、アメリカ抜きでやるのがいいと僕は主張したのだが、実はそれは今も変わってはいない。こんな理不尽なことがまかり通るのも、結局、野球がマイナーなスポーツだからだよね。サッカーなら、ブラジル抜きでもW杯はできるもんな。何の問題もなく。

 サッカーと言えば、今週はウルグアイ相手の代表戦がある。しかし、またもや古橋、旗手は呼ばれない。前田は呼ばれてるのにね。セルティックのフロントが怒っているね。普通呼ぶよな。旗手なんか、もうセルティックのイニエスタみたいなんだから。ほんとに気の毒な2人ではある。

 こうしてみると栗山監督はなかなかいい上司だな。世界というものも見えてる感じだし。サッカーの代表がフロンターレ・ジャパンだったように、今回の日本代表は日本ハム・ジャパンだった。コーチ陣が栗山、白井、選手がダルビッシュ、大谷、近藤・・・みな栗山が監督だった。その辺が他の国との強さの違いかも。森保もちょっとは成長しいや。

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