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桜の国ニッポン

 もともと花見はあまり好きではなかった。

 子どものときに初めて行ったのが上野公園で、桜はいっぱい咲いていたけど、それ以上に人が多すぎた。天気も初夏のように暑い日で、人いきれと充満する酒の匂いで僕はすごく気持ち悪くなってしまった。元来はそんなことには決してならない頑丈な子どもだったのだが。人混みが嫌いになったのはそれがあったからかもしれない。

 桜はいいけど、どこかで花見などはしたくないなあと、宴席は避けて通ってきた。大学の桜などは綺麗だったから、そういうのを眺めるのは好きだし、花見と言ってもただただ桜の並木の下を歩くのは良かった。

 あるときに、わりと仲良くなり始めだった人たちと夜桜に行こうと誘われ、断りづらくて行ったことがある。洗足池の畔にシートを敷いて酒席となった。上野よりははるかに人も少ないので、まあまあ大丈夫だったが、自分はやはりこういう花見は好きではないことを自覚せざるを得なかった。するとその頃付き合い始めた彼女が、僕がそういった嗜好であることをわかり、それなら高遠に行かないかと言った。「タカトオ?」 何だ、それは? ああ、そういえば長野のほうにそういった地名があったなあというくらいしか知らなかった。どうも全国的に花見の名所らしい。ではさぞかし人も多いんだろうなと、僕が曖昧な反応をしていたのだが、しかし事はどんどん進み、それから10日後とか2週間後くらいに高遠に行くことになった。

 で、僕の運転で中央高速をはるばる諏訪まで行き、温泉旅館に泊まって、翌日そこから1時間くらいの高遠城址公園に行った。行ってみると桜は満開を過ぎたての散り始め、吹雪と言うほどでもない絶好の頃合いで、曇り空とは言え、もうとんでもない美しさだった。

 高遠城趾の桜は皆がよく知るソメイヨシノではない。タカトオコヒガンザクラという、小彼岸桜の一種である。ソメイヨシノよりもピンクが強く、しかし、八重桜のピンクのようにくどくはなく、可憐で上品な色である。その美しさはこの高遠独特である。遠目にはピンクが濃いような気もするが、近くに寄ってみると淡いピンクとなる。ソメイヨシノも満開になると妖艶な感じがしていいと思うし、桜の優劣はつけないほうがいいと思うが、桜というもの、花見というものに僕が目覚めたのは高遠の桜のおかげである。そして、気乗りしていなかった僕をかなり強引に連れ出してくれた彼女のおかげである。

 何が一番いいかというと、たとえば上野などとは違い、人々がシートを敷いて座り込んだりしない、当然、酒を飲んで騒ぐことはない。ここにいる人たちは、みんな純粋に桜を愛でに来ているのである。だから人は多いけど静かだ。それまでの僕はこうした花見があることを知らなかった。ああそうか、こういう花見なら好きだ。東京だと、たとえば新宿御苑ならそういう花見ができることもわかった。

 ただ、どこに行っても、あのときの感動はない。それで、もう一度高遠の桜を観ておきたいなあと思って先日友人と行ったのである。

 雨上がりの曇天で、条件はいいとは言えないけど、ラッキーなことにほぼ満開。散り始めには数日かかる感じである。しかし、高遠の桜はやはり可憐で上品だった。昔と違うのは、外国人がそれなりにいること。でも、8割方か9割方、ほとんどは日本人かな。悪天候だったにもかかわらず、人出は多い。確実に、30年以上前のあのときよりも多いな。しかし、訪日外国人にはまだ知れ渡ってはいないのだろう。来ているのはおそらく日本に何度も来ている外国人に違いない。日本に来てラーメンばかり食べてるような観光客は、まだまだここにはたどり着けまい。上野とか京都に行ってなさいね。

 

 そういえば先週は桜花賞だったね。三連複、三連単、馬単全部取ったがもうひとう儲かりはしなかった。今週は皐月賞。こっちの牡馬路線はよくわからん。⑩レガレイラ⑭シンエンペラー⑯ダノンデサイルの3頭絡みの三連複。相手は②メイショウタバル⑧ジャンマルタル⑬ジャスティンミラノあたり。人気は割れてるようなので当たれば良し。

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