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菅野所長のエッセイ:暴走の果て

 今日は一日人質問題が気がかりだ。72時間が過ぎたがとくに今のところ動きはない。 朝には後藤さんの実母が特派員協会で話していたが、正直ちょっとピントがずれていて、見ながらハラハラしてしまった。

 しかし、2週間前には子どもが生まれていたとか、知らない情報も得られたり、そうでなくとも国民の一番の関心事である中継のはずなのに、NHKが途中で止めたのは何だったのか? 1時間20分の会見だなのい、20分くらいしか経ってなかったぞ。母親はつたなくもエコロジスト的な見解を述べる人で、その原発反対、戦争反対的な主張に対し、NHK上層部がストップをかけたのではないかと疑いを持つ。安倍政権に不利な情報は流さないのが方針だからな。

 政府は早くから「身代金は払わない」とか「テロには屈指ない」と威勢のいいことを言うが、それは単にアメリカおよびイギリス追随の姿勢を示すだけのことで、国民感情からしたら、とくに後藤さんという人は死なせてはならない人物と映っているのではないだろうか。過去にもスペイン、ドイツ、フランスなどが交渉により人質を解放したのは周知のことであり、われわれはアメリカ人ではないのだ。

 そして、どうも理解に苦しむのだが、一人は去年8月、もう一人は10月に拉致されていることはわかっていたのに、のこのこ中東に行って対イスラム国の資金を提供する首相である。そんなことしたら切り札を出してくるかもしれないくらいのことが予測できないのだろうか。しかも資金提供もイスラエルよりの国であって、アメリカの属国であることを激しく強調するものであるし。どうしてもやりたいのなら、前もってトルコやヨルダンの諜報機関と秘密裏に折衝して、イスラム国とのパイプくらいは確保しておいてからやるのが外交というものだろうが。

 それくらい外交音痴で間抜けだということもあるのだが、一方で、政府は承知でやったのではないかという疑念も拭えない。つまり、こういう事態になることも承知だったのではないかと。安倍首相は、アメリカに倣って「日本はテロには屈しない」ということを言いたかった、それでだけの目的ではなかったのか。世界に向けてそうアピールしたい欲求が満々なことは前々からわかっていたしね。首相周辺にもそれをやるとやばいことになるとわかっていたのがいると思うが、口を出せないか、言っても聞く耳持たないのだろう。

 と、ここまでは、金曜日に書いた。72時間を過ぎても動きはない。この後カンファレンスでその後には飲みに行くのが通例なのだが、これが気がかりですぐに帰った。それでも動きはない。どうなっているのか? 今日の朝も同じだ。テレビではいつものお気楽な番組を流し、そんな事件などないかのようだ。

 首相は、イスラム国が直接身代金を要求していたことは確実に知っていた。でも、基本、後藤さんのようなジャーナリストは彼の敵だしね。その人命は決して尊重はされていなかった。それよりも、アメリカ主導の有志国連合に自分をアピールするのが大事だし。
 結局、彼のスタンドプレーがこのような事態を招いたといっていい。中東に行ってイスラム国に宣戦布告をしたのだから、そりゃあちらも怒り心頭だ。人質といっても未聞の要求と条件をつきつけたことでそれはわかる。
 大変なことになったなあ。日本はアメリカと完全に同じと理解されてしまった。まったく違うのに。そもそもアメリカがテロを受けるのは当たり前なのである。散々大義のない戦争を仕掛けてきたからね。そして彼らは戦争をしているという認識だから、身代金は払わない。なぜか、戦争している以上、国民も戦闘員だからである。

 例によってアホな連中が「自己責任」をあおり、いつもなら僕もそれはあるよなと思うのだが、今回は違うぞ。これは、首相と、その暴走を許した政府にかなりの責任があるよね。こうなったら、200億くらい払ってもいいから許しを請うた方がいい。防衛費が1000億円上がったぶんがあるし、東電の理不尽な大黒字から支出すればいいのだ。ただし、人質が無事かもわからないのだが。

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