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昼と夜の苦悶

 昨日「うしろ姿のイエス」を読んでいる中で、病室で問題が起きた。

 

 新患の人に担当の看護師がいろいろ説明をするのだが、何やら地雷を踏んだらしく、激しい叱責が始まった。カーテン越しに無理矢理聞かされている僕だが、その理由は判然としない。そんなに大したことでもないようにも思えたのが、しかしけっこうなお怒りのようで、これは「クレーマー?」とも思えた。最初に僕に挨拶に来たときにはそんなふうにも思えなかったんだけどね。やれやれ、けど、むしろ口がきけないから交流しないで済むからよかったと思えた。

 

 30分くらいして、男性の看護師が「上司」として現れ、話、事情を聞かせてほしいとなった。これはクレーム処理だなと思ったが、よいアプローチを見せ、新患の様子がどんどん和らぐのがわかる。さすが「上司」、30分ほどかかったか、患者の怒りはほぼ氷解した。結果、とくにクレーマーというのではなかった。

 まだ40前というこの看護師、たいしたものだ。「こういう、不服ばかり言うサマリア人がいるんのだが、どう接したらいいものか?」と問われたイエスのようなものかな。まあ、それは言い過ぎだが、はたしてTCCのスタッフもこれくらいできているのだろうか。そうなら安心だが。

 ま、私のところではできて当たり前というレベルではあるのだが、普通の看護師、とくに若い女性の看護師は年寄りが多いせいもあるんだろうが、けっこうタメ口だったりするので傍目でみてもヒヤヒヤするところがある。僕なんかは気にしないけどね。もっと患者の立場に立たないと、知らずに地雷を踏んじゃうということだ。

 僕としては、退院前に病院の目安箱に投稿し、こういう人は宝ものだから大事にしなさい、給料上げなさいと言ってあげるつもりだ。

 でこんな事件がありつつ、相部屋となってしまったので練習もできず、昨夜は悪夢に悩まされた。いまのラリボタンになって発声が難しくなったこと、それが大きい。その前は順調と思えたからなあ。落差が・・・。

 夢の中身。

 どこかの町で、知り合いと待ち合わせたはずなのに、はぐれてしまう。そこに違う知り合いが来て、こっちで会合をしているので来てほしいと言う。あんな人やこんな人も来ているからと。いやこっちも大変なんで、顔を出すとしてもちょっとだけだよと予防線を張りつつその席に行くと、確かに知っている顔が並んでいる。が、今ではまず付き合いのない人ばかり。こんにちわ、お久しぶりです。せっかくお会いできましたが、大事な用があるんで5分くらいで席を外しますのでといちおう挨拶。

 しかし、そんな言葉を無視するように「いや、こういう席で司会ができるのは菅野さんしかいないから」と、まるで僕の義務であるかのように言うのである。何だ,この無茶ぶりは。ああ、そういえば、この人たちは昔僕がいろんなところで司会をしていたのを見ていたんだなあと。

 そういえば隣にいる女性は、僕が結婚式の司会をしたなあと思いだし、「そういえば昔僕が式の司会をしましたよねえ」とお愛想で言うと、何も答えず、急に泣き始めるのである。 あ! そういえばその後離婚してるんだっけと気づいたが後の祭り。僕も知らずに地雷を踏んだのだった。でも、そんなのすごい前のことで、そもそも何十年も交流もなかったよねえ。

 参ったなあと、その席を脱出する機会を得ることもできず、ただオロオロとするばかりで、目が覚めた。

 何でここまでの困った夢を見るかなあ。思い起こすと、その席にいた人はみな僕が苦手な人ばかりだった。よほど現状に思い悩んでいるんだなと思う。ほんとに話す力は進歩するのだろうか。前の器具に戻したほうがいいんじゃないか、でも、あっちは面倒くさいし、莫大に金がかかりそうだとか、心は千々に乱れるのである。

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