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岡山よいとこ

 9月になったからと言って急に涼しくなるものではないけれども、それにしても今年の暑さは厳しい。真夏日、猛暑日の記録が次々と更新されていく。こんな年にエアコンなし生活を始めたのはほんとに間が悪かった。しかし何とかやっているのでご安心を。

 あるゴルフ場ではキャディさんが、ファン内蔵の服を着用していた。見た目は暑苦しいのだが、実はなかなか涼しいのだそうだ。このゴルフ場では、某日、あまりの暑さにキャディさんが4人倒れ、救急車が駆けつけたらしい。その一件があり、ゴルフ場はファン内蔵の服を導入したということだ。キャディさんもそのようだが、世の中には、安全上、長袖着用義務のある仕事がいくつかある。そうした人たちにとってこの服は朗報だね。いや、そのうち自分も買ってみようかなという考えも浮かんだ。

 それにしても、年配の客が倒れるという話はよく聞くが、キャディさんが何人も倒れるとは。今年の夏はほんとに異常である。

 先週は岡山に行ったのだが、当然暑い。

 岡山は微妙な県である。僕もほとんど行ったことがなかった。兵庫はよく行く。広島もよく行く。その間の岡山はいつも素通りである。

 地元の人に「岡山で美味しいものは何か?」と訊いてもみな首をひねる。「フルーツがあるよね」と水を向けると「ああ、それは美味しいと思います」と言う。瀬戸内は当然魚の宝庫ではあるが、代表的な魚、鰆とママカリはそんな美味しいものではないからなあ。しかし、こんなに美味いものを誇らない県も珍しい。おみやげを見ても、シャインマスカットと桃関連ばかりだ。ただ、僕はシャインマスカットよりも巨峰が好きなんだよね。

 しかし、人柄はとてもいいような気がする。穏やかで、あまりこだわりがないというか。

  一口に岡山と言っても、昔は備前、備中,備後の国だった。その中のひとつ備中に「ぶり市」があるというのを今回知った。そこは鳥取との県境、山の中である。現在は真庭市。そんな山の中で魚の市が開かれるのだ。始まりは300年前、江戸時代というのだからもう断然興味をそそられてしまった。いったいどこで獲れたぶりを運ぶのか?どのような輸送手段なのか?その経路は? ひょっとしたら伊根のぶりなのか?

 これが調べてもよく分からない。若狭から京都には鯖街道があり、富山から飛騨や信州にはぶり街道がある。しかし、そうした街道状況のこともわからない。当時のぶりは米一俵分に等しい値段で、人々からしたらものすごい贅沢だったが、最盛期には3000本近くのぶりが売られたというのに。情報がほとんどない。

 これは自力では難しいなと思って、真庭市の観光局にメールで問い合わせてみた。すると驚いたことに、その日のうちに返答が来た。ぶり市に運ばれるぶりは、瀬戸内海側と日本海側、両方から来ていたらしいということ。それらは塩漬けにされていたこと、その2点だった。でも僕からしたらほんとにありがたかったし、どこの馬の骨ともわからない者に、こんな対応をしてくれたことに感激した。かつて震災対応について杉並区役所に答申したときに何の返事もなかったことが思い返された。

 真庭市とその北房エリアの発展を心から願う。いつか行けるものならそのぶり市に行ってもみたい。

 山の中に住む人々の海の幸への憧れというものがある。備中と遠くない広島の山中には「わに料理」の店が何軒かある。「わに」とはサメのことである。日本全国サメ専門の料理などここしかないのではないか。あるいは山梨には「煮貝」というものがある。保存食としてアワビを運ぶ途中に偶然できたものだが、ものすごく美味い。アワビ料理の中で一番ではないか。山梨も海とはほど遠い。

 ひょっとしたら、塩鮭ならぬ塩鰤の料理ならば備中の人が最も心得ているのではないだろうかと思った。塩鰤なんて食べたことがないわけだが、どこかで食べられるのだろうか>

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