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噺家の教え

 W杯女子サッカーはスペインの初優勝で幕を閉じた。決勝は圧勝するのではないかと予想していたが、思ったよりもイングランドが良いチームだったね。それと審判の笛がイングランドに甘すぎた。前半で2つはイエローがあったと思うね。まあでも、悪い試合ではなく、まずまず面白かった。

 スペインが頭一つ抜けてはいるが、スウェーデン、イングランド、そしてアメリカ、この4国は女子サッカーのベスト4だろう。日本はその次のグループだな。上位とは明らかな差がある。決勝を見る限り、イングランドにもかなわないな。予選でスペインに勝ったからと言って、日本がスペインよりも強いとは断じて言えない。相性が良いとは言えるが、スペインがちょっと守備の意識も持って戦ったらまず勝てないだろう。

 とは言え、うまく戦えばどのチームにも勝てなくもないということはわかった。つまり、2011年のあのチームと同じくらいの力があるのかもしれない。ここまでにしたのはやはり池田監督の力だな。次は来年のパリ五輪。スペインが日本との敗戦を糧にチームを整えたように、スウェーデン戦での敗戦から何を学んでいるかだな。スウェーデンに負けないサッカーができれば、イングランド、アメリカにも負けないだろう。組み合わせ次第では、決勝に行ってもおかしくはない。

 肝心なのは、欧米の強豪に比べれば、日本はあくまで弱者であることだ。それを忘れてはいけない。ますます自分たちを「日本化」しなくてはいけないのである。

 サッカーは終わったが、ブタペストでは世界陸上が開催されている。僕は陸上が大好きなので、別に日本人が活躍しなくても面白いのだが、今回女子やり投げの北口榛花はメダルを取ってもまったくおかしくない。去年の世界選手権は銅メダルだったもんね。ランキングから言えば、今回はそれ以上もある。

 先日は100m決勝にサニブラウンが残り、6着。本人はもう少しでメダルに手が届きそうだと悔しがったが、いやあ、メダルはまだまだ遠いでしょう。オリンピックになったらますます厳しいし。決勝に残れるかもわからない。もちろんサニブラウンは過去の日本のどの選手よりもすごいのだが、頂の距離を見誤っているとしたらそれは危ういね。

 昔、古今亭志ん生は、落語の実力を測る上で、相手と自分との差がもうちょっとだなと感じたとしても、実はそこには大きな差があるということを看破した。当時、この言葉が刺さったんだよねえ。以来、志ん生のこの教えはずっと胸に刻まれている。とくにカウンセリングの世界とか、力量が客観的に測れないような世界では、自分はできるという思い込みがいちばんまずいのである。そこを勘違いしてる人は悲しいんだよなあ。

 ちなみに落語の世界というのも深いよねえ。志ん生はやっぱり不世出かなと思うのだが、僕がよく観てきた中で一番うまいと思うのはうやっぱり立川談志かなあ。二つ目の頃からすごくうまかったね。TVにはまったく出ないところでは圓菊だったなあ。古くて誰も知らないだろうが。

 だがしかし、誰が一番面白いかというと、これはもう林家三平以外にはない。昭和の爆笑王と呼ばれてたが、もう出てくるだけで面白かった。だれもが笑った。戦後、あれだけ人々を笑わした人もいないのではないか。落語はすごく下手なのである。あの正統派、林家正蔵の息子とはとても思えなかった。でも、もう落語とか漫談という枠を壊してたからね。落語界の革命児。思い返せば、活躍した時期も短かかったかなあ。1960年代、当時は東京タワーの中からお昼のショーを生放送してたんだよね。信じられないでしょ。

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