ご予約専用フリーダイヤル
0120-556-240

奇跡の海

  何とも妙な事件が起こり耳目を引くところではあるが、ワイドショー的なものより何より、ビッグモーター(と損保ジャパン)のことはとことん追求すべき問題だろう。

 僕はもう車を持ってない身の上ではあるが、昔から、車検とか修理とかにかんしてはいつも疑問を抱いてきた。とくに、正規のディーラーでない工場とか会社の「車検代が10万で済みます」の甘言に乗せられた時期もあった。でも実際やってみると、あれに幾ら,これに幾らとか言われて結局ほとんど同じ料金(20万くらい)を払わされた。そのうちそのインチキ商法に気づいたので、高いと思っても必ずディーラーに持っていくことにしたけど。

 結局車にかんしては素人なので向こうの言うことに抗うことができない。「この部品は交換したほうがいいですよ」と言われれば従うしかない。ビッグモーターの場合では、直す側が傷をつけてその修理代を請求していたわけだが、「あそこに傷があったので直します」とか言われればそうするしかないし、中古のバッテリーを交換されても、多少綺麗に拭いていればそれが中古だとはわからない。

 まったくとんでもないことだが、大量に出向者を送り込んでいる損保ジャパンがそうした事実に気がつかないはずはなく、その黙認を受けてビッグモーターの不正は止まず、損保ジャパンは保険料のフィードバックを享受するという、ともに甘い汁を吸っていたのだろうなと誰でもわかるような関係が浮かび上がる。心理学ならこうした関係を共依存と言い、生物学的には共生と言う。まあ安倍派議員と統一教会との関係のようによくあることなのだが。

 しかし、この問題を金融庁がどこまで追求するのか、国交省がどこまで、そして行政的な処分だけでなく、ものすごいスケールの詐欺罪として警察や検察がどこまで立証するのか、ビッグモーターの企業犯罪は明らかなように思えるが、損保ジャパンの関与をどこまで明らかにすることができるのだろうか、ああいうところは政治、権力にも鼻がきくからねえ。支持率最低となった首相が大声を上げて真相を解明するとでもいえば、支持率1%くらいはアップするかもしれないがなあ。

 さて日本全国猛暑だが、今週は京都に行っていたので、空いた時間をつくって前から行きたかった伊根湾に行ってきた。伊根湾というのは京都の北部海側、天橋立からは20キロほどのところにある。海縁に舟屋が立ち並んでいるところだ。古くは映画「釣りバカ日誌」の舞台にもなった。実は漁師に憧れていた僕は随分前から知ってはいたが、観光趣味はあまりないし、遠いしで、さすがに行く機会はなかった。

 最近では海外でものすごい人気のスポットで、こんなに不便なところなのに訪れる人の7割くらいは外国人だそうだ。そんなこんなでやはり一度は行ってみたいなと思い、その近くのゴルフ場に目をつけ、京都の友人に「あそこでゴルフをやらないか」と連絡したのだった。すると友人は「あんな遠いところに行けまっかいな」とにべもない返事。京都の人間にとって、あの辺、北部の海沿いは人外の魔境であるかのような印象を受けた。だからその線はあきらめて今回の訪問となったのである。

 で、行ってみると、想像をはるかに超えてすごい。すばらしい。行く前はせいぜい舟屋が10軒とか20軒くらいが並んでいるくらいだろうと思っていたのだが、湾をぐるりと舟屋が並び、その数は230あるんですと。高齢化が進んだ今はもう少ないが、昔はそのすべてが一艘の小舟で漁を営んでいたのだ。これだけの漁師がどうやって生計を立てていたのだろうか、ちょっと不思議だったが、伊根で獲れるブリは氷見のブリに次ぐくらいのブランドなのだそうだ。なるほどね。関西の人間にとってブリはもっとも価値のある魚である。マグロよりも。あるいは昔なら関東では新巻鮭は贅沢豪華な贈答品であり買い物だったが、そのような意味で関西ではブリなのである。

 伊根湾は見た目よりもはるかに水深があり、だからブリのような青ものも入ってこれるんだろうなと思った。このあたりではオイルサーディンの缶詰とかが名産品になっているけれども、イワシの群れを追ってブリが伊根湾に入ってくる。それを小さな船で漁師たちが一本釣りをする、そんな光景を見てみたいものだなあ。

 で、湾内を巡る観光船があり、伊根湾の爽やかな風を受けてのクルージングは最高だった。もちろん暑いが、でも内陸部とはまったく違う。日陰にいればとても涼しいし、こうした景色はやはり晴れていないと美しくない。ウミネコへの餌やり(かっぱえびせん)はまあおまけだったが、それはそれで楽しいものではある。家族連れは楽しめるね。ここでやる花火大会はさぞかし人気なんだろうなあ。

 まあとにかく、機会があればまた行ってみたいと思った。遠いけど。

最初に戻る