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今週の驚き

 今週は驚きがふたつだ。ひとつは、サッカーW杯女子で日本がスペインに4-0の爆勝。もうひとつはゴルフ全英女子オープン前哨戦となるスコットランドオープン初日、渋野が8アンダーで首位スタート。

 この三戦、弱小国とばかり対戦してきた日本だったので、優勝候補と言われるスペイン戦は、重要な試金石と言えた。しかし、エース長谷川をスタメンから外したのは、勝つことよりも守ることを重視した戦略であることがわかる。

 そして開始直後からただただスペインの猛攻に次ぐ猛攻。スペインはものすごい前掛かりで、日本のカウンターなど一ミリも恐れていないといった感じである。実際、これは大量点を取られて負ける試合だろうと思えた。しかし、前半10数分に、一瞬の隙を突いてのカウンター一閃。素晴らしいスピードで抜け出した宮沢のゴールが決まった。ほんとに鮮やかだった。が、まだ時間も早いし、さほど気にも止めぬ感じで再びスペインの猛攻。しかし、点は入らない。そうしているうちに再び同じような日本のカウンターが決まる。ここでも宮沢が抜け出し、ワントップ植木への思いやりあふれるパス。植木のシュートはDFの足に当たって、ラッキーなゴール。これで2-0。日本のチャンスは2回だけだった。

 何というバカづきかと思ったが、スペインが初戦のコスタリカ戦で45本のシュートを放って3点しか取れなかった理由も分かってきた。このチームは決定力がないのだ。それならちゃんとしたデフェンスをしていればそうそう失点はしない。亀のように守って、ほんのちょっとできた綻びから鋭く槍を刺す。それでいけば勝てるんじゃないかと思えた。実際、またもやその綻びを宮沢という槍が刺し、前半は3-0で終わる。

 戦前からは考えも着かないような事態。こうなったらもう負けることはない。決勝進出は決まっているので勝つことにはさして意味はないので、大きな課題は失点をゼロに抑えて試合を終えることである。と思ったいたら、期待通り失点はせず、もう1点追加。完勝だった。

 勝因はいろいろだな。スペインには足元の技術はあるが、チームとしての戦略とインテリジェンスがなかった。45本のシュートで3点という結果からそれは推測できた。その試合をつぶさに観察、分析した池田太監督は、しっかり守れば勝機はあると踏んでいたのだろう。まったく見事な戦略である。日本の女子サッカーが停滞していたのは、やはり高倉監督時代が長すぎたせいだろう。下手くそなFW出身ほど監督に向かない者もない。

 一方、交代して2年で池田はこのようなチームを作り上げた。現役時代は大した選手ではなかったが、DW出身、それもサイドバックというのが興味深いところだ。だからこそ宮沢のような選手を拾い上げることができたのだろう。

 そしておそらく何よりも大きいのは、男子代表のW杯での試合ぶりが、男女を問わず、日本のサッカーに多大な影響を与えたことだろう。ドイツ戦でも、スペイン戦でも、前線も含めた守備を強化し、一瞬の隙を突いてのカウンター、個々の力では勝てないが、チームの力で戦う。それが日本の長所であり、勝つ道であることを知らしめた。それは監督、コーチ陣はもちろん、選手皆が理解したことではないかと思う。スペインが自由奔放、個のサッカーの代表なら、日本は世界でも希なディシプリンのチームである。秩序、結束を重んじる日本人にはこれが合うし、今回ははまりにはまった。

 これで日本も優勝候補の一角となった。が、アメリカ、スエーデン、イングランドはスペインとはまた違う。しかし、基本戦略は変わらないだろう。とにかく守ること。そして相手の焦りを誘っていくこと。僕の個人的な考えだが、今後に向けて重要なのはPK戦への備えだ。PK戦になったら絶対に勝てるという自信をつけておきたい。W杯のクロアチアみたいにね。

 さてもうひとつは渋野日向子である。まったくこの娘は規格外。あれだけ予選落ちばかりしてたのが、今回の爆発的なスコア。面白いなあ、やっぱり。このまま優勝なんてことはほぼ考えられないところがまた愉快である。ディシプリンなど無縁だからな。

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