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奄美のフリーレン

 熊の駆除が起きるたびに各地の役所にはクレームが入る。先日は「銃を使うのは卑怯だ」「素手で戦え」とかのトンデモなクレームもあったとか。周知の事実なのは、これららは皆、北海道や東北とは縁のない地域や都会からのものであることだ。熊の怖さも分かってないし、そこに住む住民感情も分かってない。

 それにしても、あまりにもクレームの電話が多いのはなぜかと言えば、おそらくその大半は過激な環境保護団体関係者やシンパだからである。ヨーロッパで美術館の名画にペンキをかけたりしてアピールする連中がいるでしょ。あれだよね。先日は、イギリスのナショナルギャラリーで、ベラスケスの「鏡のビーナス」がハンマーで狙われた。許せん。ベラスケスだけはやめてくれ。

 日本でもこうした運動に共鳴する連中がいて、たぶん十数人かの戦力があるとみた。こいつらが1人につき何回も電話するんだろうね。彼らはヨーロッパのように「逮捕上等!」というほどの覚悟も過激さもないので、匿名電話なら安心だと。でも、それでは自分たちのことをアピールできないわけだし、結局日頃の不満の憂さ晴らしにしかならない。いや、憂さ晴らしにさえならないか。

 そんなことをしてないで、仕事なり勉強なり、自分のやるべき事をやる時間に充てればもっと人生は豊かなものになっていくはずなのにね。でも、そうはできない人もいる。社会をどうにかしないといけないとは思ってるんだろうが、その社会には自分自身が含まれていないのである。だからこそやるべき事が分からないのだ。

 きっと人は,自分のやるべき事に時間を充てたほうがいいとは分かっているのかもしれないが、それには時間がかかるよね。それが分かっているから、手っ取り早い何かを探してしまうんだろう。すぐに結果が欲しいもんね。

「リゾバ」というのは「リゾートバイト」の略語なんだそうだ。奄美在住の友人によると、奄美のキャバ嬢の多くは本州の人で、サーフィンなどをするために奄美に移住、その生活費を稼いでいるのだそうだ。これがリゾバ。そして、その多くが看護士だという。看護師という職業は、ブランクが多少あっても就職には事欠かない。だから何年も気ままに暮らし、若い時を謳歌する。そして、やがて島を離れるときにはまた看護師に戻るという、そんなプランを描けるのである。沖縄でも事情は同じであろう。

 何とも自由な人生を歩んでいる彼女たちであるが、しかし、それは以前にやるべきことをやっているからと言えまいか。もっとも、別に看護士のように確立したものがでなくてもかまわない。今が良ければそれでいいという考えもある。ただし、どこかでは自分は急いでいないか、すぐに結果を求めていないかとか自問することも必要ではないかと思う。

 そう思うのも、少年漫画とは思えないような、大人な感じの「葬送のフリーレン」の影響だろうか。「ワンピース」からはたいぶ離れるが、その次くらいに面白いと僕は評価している。最近これがアニメ化された。さっそく観てみると、ちょっと驚いた。ものすごいテンポがゆっくりなのである。僕はコミックを知っているからいいけど、アニメで初めて観た人にはつらいのではないかと心配になった。

 が、観進めていくうちに思ったのである。主人公のフリーレンは齢1000年を超えるエルフの魔法使い。人間からすれば悠久の時を生きる存在だ。その悠久の時間感覚がアニメの全編を覆っているように思えた。同時にこれは作者の仕掛けなのかもしれないとも。

 生き急ぐな,死に急ぐな、いまの時を後悔なく生きよと。フリーレンはそんなことは決して言わない。でも、そんなことを思うのである。

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