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大局的な見方

 訪日外国人が驚くことのひとつは、日本の街にはほとんどゴミひとつ落ちていないことである。これには接頭語がつく、「ゴミ箱がないのに」と。

 日本では昔爆発物騒ぎがあったときから、街中や駅のゴミ箱は姿を消している。しかしながら、皮肉なことに、これを境に街からゴミが消えていったのだった。むしろゴミ箱があるときのほうがゴミが落ちていたのである。ここに、わかりやすいパラドクスが見て取れる。

 われわれはゴミ箱があるからこそそれに頼ってしまい、街を綺麗に保つことへの内発的な動機を失ってしまうわけである。便利ではなく、不便なことが意識を高めるのである。

 同じように、便利な通訳がいることでそれに頼っていると、自らが海外で生きる力を育むことができない。

 今回の大谷翔平の事件の根本を考えるとそこに行き着くような気がする。そう考えれば、これは大谷にとってよい機会なのだと思う。Ⅰ年後くらいにはインタビューも自分1人でこなすくらいになって欲しいものだが。

 ちなみに日本の野球選手の多くが英語が堪能な女子アナと結婚して渡米しているが、それもなかなか賢いやり方だ。仕事の上では通訳にはなれないが、妻であれば、基本自分を裏切らないものね。結局、大谷はまだ若く、海外で生活する準備が不足していたということだろう。そんな、イノセントな「野球少年」であることの欠陥がもろに浮かび上がったということだ。今シーズンからは「野球青年」を目指そうか。

 ついでにだが、外国人が驚くマナーのひとつが、車の運転でのハザードランプの使い方だそうだ。車列に入れてくれたりすると、「ありがとう」のサインとしてハザードランプを1,2回点滅させる習慣はたぶん日本だけのものだろう。この習慣がいつから始まっているのかは知らないが、僕の記憶の中では、10代のころにはもうあった。そしてすごく良い習慣だと思うのである。

 ところが、これには異論もあって、そういう余計な動きをすることで事故を起こしやすくなるからやめたほうがいいと言うのを、以前どこかで聞いたことがある。確かにそういうこともあるかなと思わないではない。こうした警句があったせいかどうか、以前よりもやる人が減ったような気もするのである。

 しかしながら、日本で車を運転する外国人がこの習慣をYouTubeで上げているのを見て、やはりこれぞ日本の良いところだなと再認識したね。ゴミもそうだが、交通マナーもいいもんね、日本は。

 確かに、そうした運転中の動きが危険ではないかという考えも分かるのだが、ちょっと近視眼的かもね。それ以上に、こうした行為によって運転中の人々の気持ちが穏やかになり、それが事故の軽減につながっていることのほうが大きい、そっちを重視すべきだろうと思うのである。そして、これが大局的な見方というものだろう。

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