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菅野所長のエッセイ:動物界のキョンキョン

この間は今年初めてのゴルフだったが、電車で行ったのは大正解のようで、もし車だったら今週はあまり平穏でなかったような気がする。嬉しい誤算は、右肩がかなり回復していたことで、それで思い切りクラブを振れた。こういう感じはたぶん6~7年ぶりではないだろうか。情けないことに長い間、バネ指、五〇肩、ぎっくり腰と常に身体がどこかしら痛んでいたからなあ。それがない。そういうわけで最近はふるわなかったが、今年はやれそうな気がしてきた。いつもいつも負けてばかりではいかんからね。

もうひとつゴルフで珍しいことがあった。行ったのは房総の南、いわゆる外房という地域なのだが、ゴルフの最中に斜面からトコトコと動物が出てきた。友人が発見したが「何だありゃ?」と。僕はすぐにその正体がわかった。あれはキョンじゃないか!
キョンとは、本来中国や台湾に住む小さな鹿である。体長は60~70センチくらい、体重は10~15キロ。角は10センチくらい。つぶらな瞳でひじょうに可愛い。

何でこんな所にいるのかというと、昔動物園から逃げたその末裔が繁殖しているからである。
以前、外房の鴨川に近い行川(なめかわ)というところに「行川アイランド」というのがあって、一時期はフラミンゴのショーで有名だった。2001年、これがつぶれたときに、人気者は買い手がついたが、このキョンは買い手がなく、自暴自棄になった園の人間が逃がしてしまったというのが定説である。まあ脱走した可能性もないではないが。

脱走ということでは、伊豆大島の動物園でもキョンを飼っていたのだが、大きな台風が来たときに柵が壊れて脱走し、山中で野生化してしまった。これが今は何と伊豆大島の人口よりも多い。
そして、この房総でも大島と同じことが起こっていて、7年前には3000から4000頭だったのが、2015年には何と47000頭! 千葉の南からどんどん北上していっているのだ。こんなペースでいったら10年以内に関東圏はキョンだらけになることは間違いないわけだが、まあ駆除はしているらしい。でもまるで追いつかないのが現状。農作物には被害があって、危険な動物ではないので行政も甘く見ているふしがある。

で、思ったのだが。千葉県はこれを産業化してはどうか。千葉というより、いすみ市や勝浦市だな。とくに大きな産業もなく、観光客も増えてない現状であるのだから。
とにもかくにもキョンは鹿である。あまり速くもないので捕まえやすそうだし、エゾシカよりも美味そうだし。ジビエ料理としてやるのもいいし、動物園の肉食獣むけにしてもいい。ああいう餌は、競走馬のなれの果てとか、オーストラリアのカンガルーでしょ。それを日本で自給すると。十分産業として成り立つように思うのだがね。

大原のゴルフ場では計3頭を見たが、わりと近くに行っても逃げない。人慣れしているのか、餌をくれる人もいるのか、10メートルくらいまで接近できる。北海道のキタキツネと同じ。アフリカでは、トムソンガゼル、インパラ、シマウマなど、大きくない草食獣はすぐに逃げるもんね。

それにしても行川アイランドにいたキョンがか。僕は30年近く前に行ったことがあるのだが、予想に反してなかなかいいところだった。自然を生かしたパークで、断崖を利用したた舞台でやる仮面ライダーショーとかは最高だったし、最後には派手な花火を真上に観られるしでね。当時の彼女と行ったいい思い出だ。

そのためにあった外房線行川駅はその後は無人駅になっているのだそうだ。何ともわびしいが、もしキョン肉でもって産業が成り立てば、まさに「塞翁が馬」じゃないか。この場合は馬じゃなくて鹿だが。

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