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再会、発見の旅

 ウクライナの惨状は気になるものの、前々からの予定である奄美行き。コロナ禍でもあり、いろいろ申し訳なくもあるのだが、とても楽しんできた。幸運にも、予想より天気に恵まれたし。

 昔はなかったが、今は奄美への直行便が各所からある。羽田からは一日1便。一般席で予約するとき、僕はしばしば非常口の席を取る。足元が広くて楽だからだ。今回も往きは非常口席を予約。実は、このときにかすかな不安を感じていたのだが、深く考えずに放っておいた。

 この席は、非常の際には脱出等をお手伝いするのが条件となる。僕は声が出せないので、他の乗客に口答で指示を出すことができないからと、CAから「席を移ってください」と言われてしまった。まあ、当然のことなのでしかたないが、あのとき感じた不安というか、もやっとしたものはこれだったのか。コロナ禍で機内が空いていたので席移動はまったく問題なくて良かったけど。今後はこういう凡ミスに気をつけないとな。

 飛行時間は2時間。実質はⅠ時間半か。3時間半の沖縄より全然近い。本を読んでいるうちに着いたという感じ。帰りの便は、追い風なので実質1時間ちょっとだったな。まあ、九州の各県に行くのと大してかわりはない。便が少ないだけのことだ。直行便がある分、他の島よりも断然行きやすい。別に奄美の回し者じゃないのだが、自分も含めてあまり知られていないんじゃなかろうか。

 たぶん多くの人は沖縄のほうに惹かれるのだろうが、少なくとも食べることに関しては奄美が断然上だ。そもそも沖縄は日本で一番食事が期待できない旅行先だからね。僕は昔トカラ列島に短い間だが住んだことがあるので、この海の恵みをよく知っている。あのときは、亀も食べたし、サメも食べたが、沖縄よりは鹿児島、本土に近い魚類だね。味付けもこっちに近い。もっとも、あれからこっち、僕の味覚は当てにならないのだが。

 今回はしかし、在住で僕らを車で接待してくれた友人K氏が、唯一行きつけの店があるというので昼食に皆で行った。カレー屋さんなので、これは困ったなと思ったが、カレー以外もありそうなので黙ってついて行った。

 行ってみると、各種カレー以外にチャーハンがあったのでそれを頼んだら、ちょっとカレーもかかっていた。ものは試しに食べたら大丈夫。けっこうおいしい。みなに確かめると、辛いは辛いが、唐辛子を多用した辛さではないことがわかる。去年の手術後から、一年以上カレーを食べなかったが、唐辛子が多くなければ大丈夫なのかもしれない。嬉しい発見。場合によってはカレーも食べられる。

 変わらずハヤシライスも開拓中だが、先日は神戸屋の「奇跡のハヤシライス」というのを送ってくれた人がいてとてもありがたい。このコラムを読んでのことなので、今後も欲しいものがあったら強調してみようかなと(笑笑)。

 わさびも苦手となったので、寿司屋さんに行ったときにはさび抜きにしてもらう。今回、奄美の寿司屋で大失態。甘口と思われる日本酒を頼んだのだが、その値段が2200円と思っていたら、実は22000円だったのだ。メニューの見間違い。帰りの会計の時にすごい高くて、この店は何だと思ったのだが、それは自分のせいだった。まったく気づかず、皆さんに迷惑をかけた。ごめんなさい。それにしても、好みの味でなかったので他の酒に替えたのでよかった。もしも気に入って「もう一本」としていたら大変な惨事を招いていたな。

 奄美でどうしても観たかったのがガジュマルの木。昔トカラで初めて観たとき、その偉容に感動した。

 でも、本島は至る所にガジュマルがある。島の人にとっては当たり前なんだろうね。だからか、ひげ根をきれいに処理してあるものが多い。友人の話によると、子どもの頃はガジュマルの木にはお化けがいるとして怖がったりしたらしいので、刈り取ってしまうのかもしれない。あるいは、放っておくとハブの住処になってしまうこともあり得るしね。海浜公園の、人の来ない端っこのほうに比較的野生のままのガジュマルがあったので、ちょっと満足。

 最近では鉢植えも売っているらしいが、東京で育つのか? ガジュマルの北限は屋久島だからね。道端には、ソテツの鉢植えが無人販売してて,ソテツは大丈夫だろうが。

 田中一村美術館も素晴らしい。初見のとき、これは若冲に通じるものがあるなあと思ったが、美術館の説明書きには「昭和の若冲」との異名があるらしかった。やっぱりねえ。3月6日から渋谷で奄美の美術展があるので、代表作はそっちに回っているようだが、それでも堪能できた。一村が若冲を知っていたのかはわからない。

 そもそも一村は奄美の出身ではなかった。明治40年、栃木に生まれ、千葉に住み、奄美に移住。奄美で死去。生前、その絵は世の中に出なかった。でも、あまり知られていないだけで、この人の絵はなかなかすごいです。

 実は僕のおじさん(父の兄 菅野矢一)も画家で、ほとんど同じ年代だ。この時代、芸術家の家でもないのに画家を目指すというのは大変だったろうな。一村の場合、さも奄美出身であるかのように思わせているな。でもそれだけ島の誇りなのだろう。数少ない。代表的な誇りと言えば、大島紬の村というのもなかなかいいところで、500円程度の入場料なのに、いちいち案内してくれ、熱心に大島紬の説明をしてくれる。大島紬はすごい高価ではあるが、つくる過程と大変さは値段をはるかに超えるね。景気が悪いと気の毒である。

 奄美で発見したこと。カレーがいけるかもと田中一村。山羊島温泉ホテル。再会はガジュマル。

 それとスマホの「レンズ機能」の存在。これは超絶な機能だなあ。知らないでいると損するね。若い人は知っている人が多いと思うがね。「レンズ機能」というよりも、「参照(リファレンス)機能」とか「映像辞書(フォトデクショナリー)機能」とかにしてくれればいいのにね。こういうこともどっかに出かけたり、人と交わらないと発見できないね。だから、話せないからと言ってあまり家にこもっているのもよくないなあ。

 ロシアのウクライナ侵攻で思い出したのは、昔友人のバイク乗りが白バイの警官と仲良くなって聞いた話だ。白バイの警官も、いくら仕事でも、相手が本気で逃げるときには無理して追わないという話だった。無理して追って事故を引き起こしたり、追う側だって危険だと。EU諸国はもちろんのこと、アメリカは世界の警察官を自認するからまさにこれが当てはまるな。これを見て、北朝鮮や中国もよからぬ考えを持つようになるだろうかな。とくに中国は、台湾周辺の島を吸砂によって無くそうとしたりと奸計中心だったが、軍事行動の可能性はこれまで以上に高まったかも。でも、今回プーチンがいかに断罪されるかどうかが鍵だね。されるといいなあ。そして、 ウクライナにできるだけ早く平和が戻ることを祈る。

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