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世界の壁,組織の壁

 ワールドカップもそろそろ終わりなので淋しい。ベスト4で意外なのはモロッコと言うけど、予選グループの試合を観ている限りはモロッコは弱くない。相手がポルトガルなら勝つだろうと思っていたらやっぱりそうなった。しかし、次のフランスはそうはいかんだろうが。

 贅沢なことに、日本がベスト8をかけての試合がクロアチアではなく、ポルトガルならたぶん通過だったなと思う。結果としてよく分かったのは、クロアチアでは相手が悪かったということだ。

 しかし、ブラジルは完全に油断したね。もう勝利は決まりだと、まあ、観ている側もそう思ったが、攻める姿勢を崩さなかったな。そして一瞬の隙を突かれて速攻を許してしまった。同点になれば、クロアチアはもうPK戦に引きずり込む戦略である。PK戦になれば自分たちが勝つという自信。こちらは慢心ではない。

 クロアチアのGKは27歳で国内リーグのディアモ・ザグレブの選手である。ドミニク・リヴァコビッチ。あれはビッグクラブから即声がかかること確実な逸材だが、ワールドカップではそういう選手が新たに発見されるのも楽しい。今回は、リヴァコビッチと三苫だな。

 ブラジルはサッカーで勝って、試合で負けた。しかし、ああいうところがブラジルだね。過去に何度も同じような「失敗」をしている。王国ブラジルのサッカーとはただ勝てばいいというものではなく、完全な勝利、美しい勝利を求められるからだ。ほかの中南米のチームとは全く違うね。アルゼンチンなんかは何が何でも勝とうとし、汚いプレーも厭わない。

 そのアルゼンチンとクロアチアの準決勝。僕はクロアチアに勝って欲しいね。そして、フランスとクロアチアの決勝が観たい。と思ったが、アルゼンチン対フランスなら、メッシとエムバペの対決が観られるのか、そっちも悪くないなあと思うのだった。やはり贅沢な悩みである。

 さて日本では森保が続投の様子。僕は反対です。これでは田嶋幸三政権が延命するからね。日本サッカーがいまだにベスト8に進出できないのは、こうした組織的な問題でもあろうと思うからね。

 以前ハリルホジッチが解任されて言うことには、スポンサーが選手起用を強要してきたとある。このスポンサーとは、言わずと知れたあの企業である。実際、サッカー協会副会長はD通の元執行役員だ。サッカー協会とD通の蜜月関係はすごい。五輪委と違って恒久的な組織であるから、今後とも天下り先になっていくんじゃないのかと思わせる。スブズブの田嶋にとって、そうしたことに何の文句も言わない森保じゃないと困るんだよね。今回W杯で成果を上げて、国民以上に喜んでるのは田嶋でしょ。

 ハリルホジッチのときの急きょな後任は西野だった。あのとき西野はひじょうによくやったが、続投してないでしょ。たぶん嫌だったんじゃないの、そういう体質が。

 森保ではあれ以上の仕事はできないという声が多い中、外国人監督も候補に挙げておきながらそれを採用しないのは、自分たちの利益を損ねる監督が来たらまずいということだ。彼らの動機はその一点。日本サッカーを強くするためじゃない。つまり外国人監督を候補にしておいたのは完全にただのポーズなのである。みなオリンピックの舞台裏を知ってしまっただろうから、そういう利権構造は理解できると思うがね。

 実際、森保ではあれ以上のことは望めないのではないか。少なくとも監督の力では。今回も監督の戦略や采配がものを言ったわけではない。ここで述べたように、そもそもそういうものはなかった。

 たとえば、準々決勝のアルゼンチン対オランダ戦。あと数分を残して敗色濃厚なオランダは、ペナルティエリアに近いところでフリーキックを得た。ゴールを直接狙うには絶好である。時間もないし、誰もがここでシュート一発、同点を狙うだろうと思った。あるいは高さを利したヘディングか。

 が、しかし、オランダが仕組んだのは、壁に並ぶ味方選手へのソフトなグラウンダーパスだった。これを受けた選手がゴール。同点。

 呆気にとられた。この時間帯でこのトリックプレー。やるか普通。戦略とか采配とか戦法というのはこういうものだね。そして、このトリックプレー、このフォーメーションは何度も何度も練習を積み重ねたものであることも明らかだった。この一瞬のために、いつ来るかも分からない一瞬のために、仕込んでいた武器だったのである。

 ちなみに、オランダ監督のルイス・ファン・ハール。かつて香川がマンチェスターにいたときの監督だ。進行性の前立腺ガンを抱えながらオランダを指揮し、これで勇退。オランダは予選から無敗なのにベスト4に残れなかった。無念であろう。でも、あのプレーは世界をあっと言わせたよ。

 あるいはクロアチアがブラジル戦で見せた攻撃性。日本戦とは違う試合運び。ブラジル相手に決して守らず、ポゼッションを奪いにいった。日本のように守備一辺倒から後半攻勢をかけるというワンパターンではなく、クロアチアはさまざまなゲームプランを持ち、かつそれを実行できる力がある。

 世界の壁は厚いな。今回はよくやったけど、それは選手たちのレベルが相当上がっていたからである。監督の力ではない。森保はいい奴だけどね。それは就任のときにこのコラムでも書いたことだ。選手にもおおかた評判がいい。

でも、性格のいい医者と腕のいい医者のどっちを選ぶ? ということなんだよね。

 さて、阪神ジュベナイル。本命のリバティアイランドは期待通りの圧勝。しかし、2着3着がまるで買ってない馬が来て馬券は取れず。

 しかし、しかし、日曜には香港で規模の小さい競馬のワールドカップがあった。1日でGⅠレースが4つ。日本は香港競馬と相性が良く、今回も多数が参加。日本での馬券はJRAが代行するので、ここで買うのは日本のファンだけ。そうなると皆よく知っている日本の馬を応援するのでそこに人気が集まる。実は香港の馬もひじょうに強いのだが、そんなに人気にはならないのである。

 たとえば4レース目の香港カップ。実力は香港のロマンチックウォリアーが断然なのだが、JRAのオッズでは地元香港の倍はある。日本の馬が何頭も12頭中5頭もいるのでそっちに人気が集まるのだ。そうなると来てもおかしくない馬券がでかい馬券になる。このレース、馬単、3連複、3連単と全部とって儲けさせてもらった。

まあ、僕だって日本の馬に活躍してもらいたいのだが、盲目的に応援するのはナンだよね。今回の勝利は、W杯特需というか、最近いろんなところにいろんなものを贈っているので、そこで徳を積んでるからかなあ。

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