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ボーッとしててはいかん

 退院してⅠ週間。昨日は診察とCT検査。そういえばしばらく転移の検査はやっていなかったが、定期的にやらないといけないのだった。順調だと思って忘れていたが、最低でもあと半年は油断してはいけなかったのだな。

 とは言え、発声のほうはまずまず順調で、カ行サ行タ行も先週よりは言えるようになっている。ハ行はかわらず難しい。が、医者もけっこうびっくりしていた。

 問題は気管孔をカバーする手段だ。シャント手術によって、長いラリボタンは着けられなくなり、浅いものに替わったのだが、これがとても外れやすく、下手すると歩いているときに落ちることもある。転がってどこに行くかわからなくなるので危険だ。しかし、これを装着しないと話すことは難しいので、人と話さないときは外していたほうが賢明かなと思う。で、プロボックスというテープ式のものと併用することにした。こっちは、2日に1回くらい貼り替えなければならないのでとても面倒くさいのだが、まあしかたない。基本家にいることが多いので、そこではラリボタンだが、外出するときにはテープも多用しよう。

 それと自分で思いついた方法は、指にゴムのサックを着けて、それで直接気管孔を鬱いで声を出すというものだ。ネットで指サックを購入して試してみたが、難はあるものの、できなくはない。二つの器具を使えない非常時にはこれで代替できるかも。

 火曜は退院後初めて職場へ行った。入れ替わり立ち替わりでみんんがが部屋を訪れてくれるが、練習と違って、対面になるとうまく話せない。緊張するし、力が入る。ただ声を出してしゃべることと、人に向かって話すことは次元が違うんだなと悟った。

 しかも、ガラガラな音のバリトンだ。それでも僕が何を言いたいのかは伝わるようで、Ⅰ週間前の術後まもなくの頃とは違うようだ。中には泣いてしまう人もいたが、考えてみれば、僕なんかのことで泣いてくれる人を生まれて初めて見たな。怒る人はたくさん見てきた感じはあるが。

 とてもありがたいし、何とも奇妙な気分でもある。しかし、Ⅰ年半の間、まったくの無声でいたからね。こんな日が来るなんて思わなかったのかもしれない。自分でも、半分はそう思ってるところもあった。このままダメかもねと。今回の手術の直後にしても、これは声を取り戻すのは無理かもと思ったし。あの頃、この頃に比べれば夢のようとも言える。そもそも命があるだけでもそうか。

 いまどのくらいの段階で、これからどの程度に進歩していくのかわからないけど、医者の反応を見る限りはスタートとして悪くなさそうである。練習の成果とは別に、術後の気管孔の状態が良化するに連れ、声も出しやすくなっていくようなので今は進歩を感じやすいし。まだ退院してⅠ週間。もっと話せるようになりたいと切に思う。そのためにはボーっとしてちゃいかんな。

 さて、僕が入院している期間は短かったが、世の中は大きく動いた。地裁の段階ではあるが、東電の幹部に課せられた賠償金が13兆ということで、この訴訟にかかわっている紀藤弁護士が、自身の賠償額のレコードだと言っていた。この裁判はまだまだ続くし、企業だけの責任を問うのもおかしいのだが。

 国の問題があるといえば、統一教会もそうだ。ここでも紀藤弁護士は活躍。彼のおかげで多くの人が真実を知っていくのではないかと思う。彼は相当抑えめで話しているけど。ニュースショーのMCもコメンターもこの”宗教”団体について知らなすぎるんでね。

 僕はよく知ってます。なぜなら活動が最も激しかった頃,大学のカウンセラーをやってたからね。僕のいた大学はまだよかったが、当時東京では1に青学、2に早稲田といったところが、教会の学生組織「原理研」の巣窟だった。今の会長田中富弘氏は、当時の原理研のリーダーだったと思われる。会見を見ても、相当のオルグナイザーと見受けられる。

 入会させされそうで恐怖におののく学生、抜けたいが抜けられない学生、我が子や友人が入会してなんとか脱会させたいとの相談、僕はそういったケースをたくさん経験し、この団体のやり口、本質。政治的な背景をよく知っている。

 政治家としては岸信介が日本に誘致し、霊感商法などが摘発され、いっとき危険団体として指定されるも、それは安倍政権下で解除されていると記憶している。襲撃事件とこの問題は切り離して考えるべきとの意見があるし、もちろんそれはそうなのだが、一方で元総理と統一教会とはそれなりの関係があるという事実は動かしがたいのである。世界中で日本だけがこの団体に寛容なのはなぜか? そこは考えてほしいよね。実態をよく知る者としては、そっち寄りの評論家などの言に惑わされてほしくない。

 銃撃事件と同日。伊藤詩織さんの裁判が確定した。若干痛み分けの感もあるが、基本的に伊藤さんの勝利、山口敬之の負け。とりあえず良かった。このレイプ事件で不可解な動きをした刑事部長はいまは警察庁の長官だ。まあ警察だからそういうものなんだろうがね。

 元警視総監が銃撃事件でコメンターとしてテレビに出たとき、「日本では、要人の警護では、銃で撃たれることを想定していないのか?」の質問にこう答えた。「金丸信(副総理)さんのときから,想定しています」。「?」と思って確認すると、金丸信の銃撃事件は1992年。しかし、それより2年前の1990年、本島長崎市長が撃たれている。しかも、金丸信には銃弾は当たっていなかったのだ。

 やっぱり、そういうもんなんだよね。

 今回の銃撃事件は、その悲劇的なインパクトにより、選挙で自民党に大勝をもたらすものにもなった。86%が選挙に影響があったと答えている。しかし、ちょっと遅きに失したが、図らずも政治の深い闇をあらわにする契機にもなった。情報をボーッと受け取っているだけではあかんよね。

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