ご予約専用フリーダイヤル
0120-556-240

ジエンド

 ジ・エンドと言えば、映画「地獄の黙示録」にも使われたドアーズの曲である。日本の終戦に当たって、僕の中で流れた曲だ。無念。

 よくやったとも言えるし、勝てる試合を落としたとも言える。「よくやった」は今回のW杯野総合評価だ。しかし、コスタリカ、クロアチアと二つ勝てる試合を落とした。そのどちらも采配に問題があった。世間じゃ森保を讃えるが、僕は違うよ。

 ドイツ、スペイン戦は、世界の強豪に先制され、窮鼠となれたのが勝因。守ることばかり考えてる森保でも攻めに転じなければならない展開だからだ。しかし、コスタリカ戦の問題は先日書いたとおりで、クロアチア戦では延長を考えなければならない展開となった。そのためだろうか、勝つためには役に立たない長友と浅野を引っ張りすぎたな。      

 長友は完全にカモにされてた。クロアチアは、長友にボールが渡っても危険がないと分かっていたから、自由にボールを持たせていた。長友は相手陣の左サイドでたくさんボールを持ったが、そこから何もできずバックパスするのみ、ゲーム自体がここで止まってしまった。怖い顔して大声出すだけじゃダメだよね。戦犯一号と言いたいところだが、交代させない監督のほうが悪い。

 浅野はいくら懸命に走ってもDFを振り切れず、ボールロストを繰り返すばかり。確かにドイツ戦ではMVPだったが、内実はラッキーゴールなんだよね(トラップはよかったので褒めよう)。たとえメッシでも、あの競り合いからあのコースに入れるのは困難。それくらい難しい。そんな奇跡的なゴールが決まってしまったことで、本人もベンチも勘違いしたね。俺が俺がの前のめりになって、前線でのボールキープという役割が果たせない。浅野の力を過大評価した監督に問題あり。

 よくやったのは前田だ。点を取ったのはおまけみたいなもので、よくチェイスした。頭が下がる。クロアチア戦はそんなにハードワークではなかったので、前田のスタミナは残っていたはずだから、浅野への交代は早すぎた。スペイン戦での同点弾は、三苫の二度のチェイス、前田のチェイス、伊東の寄せから生まれた。日本の最大の武器、前田と三苫が同じピッチに立つ時間をつくるべきなのだ。しかし、それがゼロとは?!

 三苫を後半開始から入れないとね。そして、前田をあと10分くらい残すと。

 PK戦になったら勝ち目はないと悟ったのは,残り5分くらいだったか。だれが蹴るんだと思ったら、もっとも頼りになる鎌田がいない。そうなると、こいつなら安心という選手が1人もいないのだ。一方、クロアチアはPK強し。PK戦は運ではないが、日本にとっては運頼みしかなかった。

 で、結果を見てよくわかった。日本はPK向いてない。11人で戦うなら強豪とも互角にやれるが、PK戦は個人の力。個人の技術、経験、メンタルが問われる。かつてオリンピックで、1人も9秒台がいないのにメダルを取った男子400リレーがいい例である。

 だからPK戦になる前に、延長になる前に決着をつけなければ勝算はない。いや勝算がないとは言い切れないでしょと思う人もいるかもしれないが、それはPK戦には多分に運の要素があると思っている人だね。そりゃ一般論としてはちょっとは運もあるけど、クロアチアと日本との間にはない。それくらい開きがある。当たってる権田だから一本止めたけど。

 一方、全体を通してはよくやったよね。あの組で一位通過なんて夢みたい。とにかくこれで日本のサッカーのスタイルができてきたというのが嬉しい。オシムさん以来、目指してきたものが具体化されたということか。あの前線でのプレッシングは世界でも類を見ないものだ。

 それを担ったのが前田。その献身がすばらしい。昔、オシムさんが、巻を代表に選んだり、ジェフ市原からたくさん選んだりしたときには贔屓が過ぎると思ったが、巻が試合で見せた献身、自己犠牲ぶりを見て選んだ理由がよくわかったものだった。今回の前田もテクニックはないけど、こういう選手が必要なんだよね。日本には。先制点はサッカーの神様のご褒美だぜ、きっと。

 あれから何十年を経て、巻のようなメンタリティがほとんどの選手に染みついたというかね。あの名手遠藤保仁でさえ走らなければ使わないと言われた、オシムサッカーが実現してきたというかね。もともとテクニシャンのFWだったオシムさんは、ほんとはバルサのようなスペクタクルなサッカーをやりたかったのだが、日本人には日本人に適したサッカーがあるとして、「日本人の日本人化」を推し進めたのだった。だから、僕はドイツ戦の勝利をオシムさんに見てもらいたかったのである。

 さて、W杯だけに埋没してるような日々だが、先日NHKBSでブロードウェイミュージカル「ジャニス」の日本版が放送された。於国際フォーラム。もとのアメリカ版「JANIS」もBSで観たが、主役の子が何から何までジャニス・ジョプリンにクリソツでものすごく楽しかった。ここでも書いたね,確か。

 さて、日本版での主役はBISHのアイナジエンド。何だそりゃ? いちおう観てみると、体が細すぎ、これは「ジャニスじゃない!」

ジエンドだあ。

 昔「下北沢のジャニス」と呼ばれた金子まりは体型まで似てたぞ。当時のバンド、スモーキンメディスンのギターがまだ10代のチャーだった。天才と謳われ、まだ16くらいだったか。で、ベースの鳴瀬と金子まりは次にバックスバニーというバンドを結成するのだが、ちなみにこのとき引き入れたキーボードが難波弘之、大学時代の僕の先輩である。

 話がそれた。BISHのアイナジエンド、見た目はジャニスじゃない。しかし、しかし、声がいい。ハートもある。ロックだ。なかなかいい。すごくいい。アレサ役のUAとかはまるでアレサが表現できてなかったが、アイナジエンドはすごい。

 一言で言えば、「ジャニスの妖精」。

これってアイドルグループの一員じゃないの? と思ったら、楽器のないパンクグループとある。BISHって名前は聞いてたが、侮れないなあ、日本の音楽シーンも。

 バックバンドも完コピ。ファズをがんがん効かす、これぞ60年代のロック。もっともジャニスのバックバンドのホールデンカンパニーは下手だったから、わざと下手にやるのも今どきは大変かも。

ジャニスについてはライブ盤「チープスリル」とスタジオ盤「パール」の二枚を聴けばすべてオーケーだ。ミュージカルでは、スタジオ盤収録の「ミーアンドボビーマギー」をやってくれるのがとても嬉しい。アンコールが「ベンツが欲しい」っていうのも憎い。

 いやあ知らなかった。公演は8月にやってるんだね。これなら行きたかったなあ。

ということで、ジエンドで始まりジエンドで終わりました。

最初に戻る