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イノセンスという罪

 先週末は宮崎に行っていたのだが、折しも九州は「災害級」の大雨の最中。その中でも宮崎は、地形的に霧島連山や高千穂にに守られているからか、最も雨が少なかったようだが、まあそれでも大雨は大雨だ。降り止んでもものすごい湿気だったな。

 さて、九州と言えば食の楽しみがある。全国的には北海道の次だな。しかし、この宮崎はダメだね。九州なのに美味いものがない。今まで、4回くらい行ってるかな。でも、どこで飲んでも食べても、これは美味いと思ったことがない。あえて僕が一難いいと思うのは冷や汁なのだが、他の人は賛同しないだろうな。まあ、何しろチキン南蛮がウリの県だから、そもそも食に対するこだわりってものがないんだろう。そう考えてあきらめるしかない。

 ところが今回は奇跡的に当たりを見つけた。それも大当たり。しかし、ほんとに偶然と言っていいかな。

 実は、もう宮崎で和食系の店はだいたい外れるから、今夜はイタリアンにしようとなった。イタリアンなら間違いないでしょと。で、そうしようとなったのだが、目星をつけた店に行ってみると予約で一杯である。しかたなく、他の店を探していると、たまたま前夜にネットで見つけて、ここはいいんじゃないかと思った店(和食)があった。その店は、ホテルからちょっと離れているし、裏通りにありそうだし、たぶん探せないんじゃないかと思ってたのだ。その店が偶然あった。

 で、皆に「ここにしてみない?」と言う。さっきイタリアンにしようと提案した身でありながら、なんたる不忠な行為であることか。ほんとに勝手な奴と思われただろうが、ま、菅野のことだからしかたないかと渋々了解を得たのだった。これで外れたら、心の中で切腹しようか。

 ところがこの店が信じられないくらいすばらしい。おまかせで頼んだのだが、まずクエの煮付けにやられた。この煮付けが最終的に雑炊になるのにも驚き。クエ、うなぎ、大きめのトコブシ,エビたこのかき揚げ等々、高級食材(だけでもないが)を惜しげもなく使い、それぞれ調理に最適な技をほどこす。僕はこの10年、20年、こんなにいい店に入ったことがないかな。板さんの腕がいいんだよね。京都駅ナカの寿司屋より上だな。もちろん、うなぎや寿司などの専門店は別だが、ここは居酒屋、割烹だ。コスパもいいし。宮崎だからというのもあろうけど。東京だったら1人につき3万から5万くらい取られそうだ。またこの店に来るために、また宮崎に来ようとなった。 

 で、こういう知られざる名店に出会うと、いわゆるミシュランの評価なんてものが当てにならないのがよく分かる。例の鳥羽シェフなんてのもミシュラン一つ星ということだが、どうなんだか。たまたまテレビでこれが料理して食べるのを観たことがあるが、こいつに美味いものなんかつくれるわけがないなと思ったもんね。三つ星くらいならいざ知らず、一つ星なんてのは調査員と仲良くなればついちゃうレベルでしょ。そもそも、中心はフランス人なんだから、繊細な日本料理を理解できるかどうか疑問だよね。世界でも日本料理はほんとに特別、特殊だから。世界基準で評価をするなら、裁定員は日本人、イタリア人、中国人であるべきだろう。まあワインに関してはフランスなんだけど。

 それから例の鳥羽シェフなんだが、経歴もかなり詐称しているようだ。何でも元プロサッカーの選手、小学校の教員、そして料理人ということなんだが、サッカーはあるチーム(J2)の練習に参加したことはあるのは確かなようだが、プロ選手であったという記録はない。小学校の教員というのは、そもそも彼の大学の教職課程では、他の大学の授業を別枠(通信)で取らないと免許が取れないということだ。で、その後のプロフィールでは「教員」は消してあるらしいけど。

 こういうところから、こいつの料理の腕も何も信用はできないなと思う。他のことは何をやってもいいと思うけどね。料理の問題にかんしては許せないかな。

 まあ,この不倫劇、登場人物すべてが怪しく、どうしようもない感じではある。面白いのは、鳥羽シェフが、不倫をしてなお自分たちは「純愛」だと主張するところだ。実は、額面通りならばだが、僕はこれに賛同する。恋愛が結婚といった世の中の制度の枠内で行われなければならないとすれば、それは純愛ではないでしょ。それは純粋な恋愛ではなく、結婚への階梯に過ぎないでしょ。

 実は僕は不倫を好まない。つまり、人の奥さんには関心が持てない。それは僕が恋愛派ではないからである。純粋ではないからである。人の奥さんだろうが何だろうが好きになっちゃう、世間の人はそれを人倫にもとると批判するけど、純粋な恋愛タイプってそういうものでしょ。他の言い方をすれば、イノセンスってことなんだが。

世の中にはそういう人もまあいるのである。

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