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アレサのためらい

 サッカー・キリンチャレンジカップ、先週はパラグアイ戦、月曜にはブラジル戦があった。日本が圧勝したパラグアイだが、南米で下から3番目の弱さ、参考にはならない。逆にブラジル戦は強すぎて参考にならないかと思われたが、0-1の思わぬ結果に、メディア、ファンの評価では「善戦」「惜敗」という文字が並んだ。うーん、富安不在なのにデフェンスが案外がんばったが、攻撃ではまっとうなシュートチャンスは一度もなかったねえ。鎌田も三苫も仕事させてもらえなかった。伊東もだ。得点上は0-1だが、内容は0-3て感じかな。ポストやバーに助けられたけど、もしああいうのが入ってたら、0-5くらいになったかもしれない。善戦でも惜敗でもないね。完敗。

 しかし、途中出場の堂安が例によって下手くそな仕掛けをしてボールを奪われ、あの怒濤の攻撃、そしてPKになったことを思えば、あれがなければ運良くドローということもありえた。つまり、運が良ければ今の日本は強豪国と引き分けることができるかもしれないと思えたことに、針の穴を通すような光明を見ることができた。そういう意味では、このマッチはブラジルには何のメリットもなかったが、日本は自分たちの実力を測ることができたという意味でとても良かったのではなかったかと思える。

 カタールW杯の日程は、ドイツ、未定、スペインの順番。ドイツ戦で引き分け、次に勝つ、スペイン戦で引き分ける。すると予選リーグ1勝2分けでベスト16に進むことができる。これしかない。最強のスペインだが、日本と当たるまでに2勝してくれれば、日本戦は全く重要でなくなるので引き分けの可能性は高くなる。結論、初戦のドイツ戦さえ引き分ければということだな。まあ、そういうサッカーは見たくはないのだが、現状ではしかたないのでは。

 サッカーよりはかなり期待してた、ゴルフ全米女子オープン。こちらは渋野、笹生は予選落ちだし、15人参加の日本人の最高は20位。ちょっとがっかりだったね。

 この女子オープンだが、今年は賞金総額が跳ね上がった。約倍額に。日本人の最高位は20位だったが、この賞金額が日本ツアーでの優勝賞金とほぼ同じである。

 というのは、プロメディカ(社)というところがスポンサーになったからだ。この会社というか法人? 非営利団体というのだが、全米28州で医療管理システムを提供している団体だ。アメリカには医療保険がないから、こういう民間の団体や会社に流れる金はものすごいんだろうなと想像できる。非営利団体が向こう7年だかのスポンサーとして君臨するんですと。

 僕の手術後のサポート医療器具も多分そういうところが独占しているんだろうね。いま使っている気管孔に差し込む4センチくらいのチューブだが、1個7000円以上。見たところは100均で売ってそうなくらいのものなのだがね。

 次のシャント手術をすると、また新しいチューブが喉に挿入されるのだが、こういうのもやっぱり高いんだろうなあ。定期的に交換もしなければいけないらしいし。

 アメリカでの保険の問題というのは、宗教上のことが背景として大きいのだろう。以前ここで、アレサ・フランクリンが「レット イット ビー」の歌詞がカトリック的だとして歌うのをためらったことを書いたが、大まかにいえば、神にすべてを委ねるという姿勢に疑問を感じたということかもしれない。プロテスタントの考えとは、教会の教えではなく、聖書の教えに従えということである。だから聖書を自ら読むことを本義とする。アメリカの建国はピューリタン、プロテスタントの力がメインであり、その教義においては神と人間との契約的な側面がより濃く、したがって、自己責任という感覚が強く働いている。これを背景として、皆保険制度の道は遠く、同じく銃規制も難しい。

 アレサと「レットイットビー」のことが気になって、アメリカの宗教史的なところをちょっと調べているのだが、まあ大変なこと。他人のことを理解するのは大変だが、同じように他国のことを理解するのはとても困難だなと思う。けれども、アメリカは古代も中世もない国だから、ヨーロッパよりはわかりやすいだろうと、あまり先のない自分にとっては好都合と言える。

 今のところ思うのは、あらゆる宗教は、コロナウィルスと同じく、その土地や文化の中で繁栄するために変異していくということだ。日本の仏教が本来のものとは違っていったのもそうだし、それは仏教だけでなく、日本だけのことでもない。キリスト教も、アメリカにおいてはアメリカ化が進む。決して合理的とは言えず、何でそうなるのかよくわからない事象もそうした側面から考えるとまあまあ分かってくる。

 そういうことが面白いんだなあ。

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