ご予約専用フリーダイヤル
0120-556-240

もうひとつの国防

 中国が日本と韓国にはビザを発給しないとか報復措置をする。感染大拡大の中国に対して入国を厳しくするのは当然の対応ではあるのだが、中国としてはひじょうに面白くないのである。ただし、同じことをしているアメリカにはそれはしない。あくまで日本と韓国に対してだ。こいつらなら本気で怒らないだろうと高をくくっているわけだ。舐められたものだが、実際そうだからな。

 とくに韓国は中国に対してはいつも微妙だ。日本には何かと高飛車で失礼な態度だが、中国にはそうしない。徴用工とか慰安婦とかいろいろと日本にはケチをつけるネタを振りかざすが、それよりも、朝鮮時代に、長きに渡って中国に献上品として「貢女」を大量に贈ってきたことのほうがはるかに屈辱的なことだと思うのだが、その過去には目をつぶっている感がある。

 そんなこんなで中国と韓国は似ているかなと思った次第である。弱いものには強腰、大国にはちょっと及び腰。が、それも政治的と言えばそうか。

 僕の考えでは、中国にことさら厳しい態度をとるのはどうかと思っていた。アメリカその他にも同じように厳しくしないといかんよね。今回の措置がホワイトハウスからの要請だったとしても、日本ならではのやり方を考えないとね。アメリカと中国の関係に振り回されてはいけない。

 というのも、これは「国防」として重要な問題だから。国防というのは軍事だけのことではない。ウィルスから国民を守るのも「国防」である。敵は中国だけではなく、アメリカからも来るのだ。とくに最新の情報ではオミクロンの新たな派生型XBB1.5がアメリカで広がっているし。

 政府はアメリカのお下がりの兵器を買うことに熱心だけど、世界のウィルスから日本を守ることにもっと金を使って欲しいものだ。歴史学者磯田道史はこう言っている。

「『日本を守る』というとき、『仮想敵』が日本に軍事攻撃してくる確率より、パンデミックで国民の命が奪われる確率のほうがはるかに高い」(「感染症の日本史」文春新書)

 たとえば大正期日本でのスペイン風邪による死者は人口の0.8%(約45万人)という推計がある。太平洋戦争でアメリカ軍の空襲などによる民間人の死者数は約50万人、ほぼ同数。しかし、外国からの軍事攻撃は歴史上これくらいだが、感染症の到来は天然痘、麻疹、コレラなど数知れず。ものすごい数の人が死んでいるのである。

 もっとも世間的にはコロナ慣れしてしまったというか、あまり神経質ではなくなったようだ。それでも日本はほぼ全員がマスクを着用しているから、意識としては低くないのだろう。でも、経済活動を優先させていけば蔓延は防げない。

 まあ、口にはしないものの、60歳以下はあまり死なないからいいかという考えもあるんだろう。その辺、年寄りだけど理解できないことではない。僕なんかは「基礎疾患のある高齢者」に当たるから罹りたくないんだけどね。しかし、いくら自分が気をつけていても、世の趨勢が緩いものになっていくと危険度は増してしまう。このウィルスはまだまだ未知なことが多いんだから、もう少しの間は、慎重な姿勢は崩さないほうがいいんじゃないか。

最初に戻る