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菅野所長のエッセイ:「どっちもカスや」

 先週末は、毎年恒例の仕事で関西に行ったのだが、例年になく涼しかった。いつも猛暑のような感じだったのにね。今年の天気はちょっと違う。もう完全に秋という感じだが、10年前はこれが普通だったような気がする。

 朝ワイドショー見ると、毎度毎度バカらしいことを特集する。そんな中で、運動会で子どもが1等になった写真をSNSに載せたら、ある母親に怒鳴り込まれたというのがあった。その母親の子はビリだったのだが、それも写真に写っていると、うちの子どもがかわいそうだと思わないのかと。で、びっくりしましたという話である。

 番組の方向としては、そんなことで怒鳴り込んでくるとんでもない母親、いわゆるモンスター的な母親に焦点を当てようとする雰囲気なのだが、コメンターの吉本の小藪千豊が一刀両断、「どっちの親もカスや」と。これはまことに正しい。

「そんなことで」怒り狂う親がどうかしているのは当然だが、「そんなことで」と思うのは、わが子がビリじゃないからである。どんな親でもわが子がビリになって「わーい、ビリだあ、よかったなあ」と喜びはしない。程度の差こそあれ、がっかりするだろう。それがどこかのブログに載せられているのを見たら、程度の差こそあれ、嫌な気持ちになるのではないか。もちろん、文句を言うか言わないかは別のことだが。
 たかが運動会という人もいると思うが、たとえば、わが子が勉強で一番になったので、その成績表を写真でアップさせ、そこにビリの子の名前まで写っていたらどうか? 運動会ならよくて成績の場合はいけないとするならば、その根拠は何なのか?

 つまり、一見被害者と思われる母親にも気遣いというものがないのは明らかだ。だから小藪は「どっちもカスや」と切るわけである。

 これは「ママ友トラブル」という特集なのだが、結局、全体的にコミュニケーション力の不足、対人関係で鍛えられていないことからくるのだろうなと推察できる。でも実は、だれでもこうしたトラブルを通して、それまでできなかった人への気遣い、対人関係の想像力をを身につけていくものなのだ。僕だってそうなのである。

 このケースの場合、怒鳴り込まれたほうが、自分の一方的な被害者だという認識を疑い、自分にも落ち度があったと理解することができたならば、今後はもっといい人間関係を築くことができるようになるかもしれない。そういう意味では、この人のほうが得をしていると言うべきだろう。

 一方、怒鳴り込んだほうはあまり救いようがない。「子どもがかわいそうでしょ」と言っているが、本当は自分が惨めだということはあまりに明らかである。子どもためではなく、自分のために起こした行動である。こういう人は、そのことに気づかない。つまり、自分を客観的に見る力とか内省する力がまるでないわけね。こういう親に育てられるのは、それこそ子どもがかわいそうだな。

 ま、バカバカしいことばかりが起きている世の中だが、こういう身近でちっぽけなことを取ってみても、他のいろんな出来事と通じていることがわかる。

 それにしても、以前ならば、中学生か高校生くらいの年代で学習されたことが、今はこの辺のステージになっているのかな。

 

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