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菅野所長のエッセイ:追っかけ宣言

ついつい夜更かししてしまうオリンピックウィークだけど、もう終わるみたいなのでホッとしている。

今回はボルトの3大会連続金メダル3個に尽きるかな。もはや不滅の記録かもしれない。それから男子400Mであのマイケル・ジョンソンの記録が破られたこともハイライトだろう。しかも大外8コースだったから驚きだ。やはり陸上だな、オリンピックは。

僕がもっとも心を動かされたのは、女子5000メートルの予選だった。ある組に出た20歳の上原美幸はいきなり他の選手を50メートルくらい離しての大逃げを打つ。それを見ていた僕は「何てバカなんだろう」と思った。途中バテバテになって最後はきっと最下位だろうと。競馬では騎手の制止がきかないでそういうことがときどきあるが、馬だからね、自分自身ではぺ-す配分などできない。
でも人間なんだから、このペースならどうなるということくらいわからなくてはいけない。僕は積極的な選手は好きだが、勇気と無謀は違うぞと言いたかったわけだ。かつてマラソンの増田明美が無謀にもそうやって惨めな姿をさらしたことがある。あれと同じ、まだ若いからバカなんだなあと。

で、案の定、3000メートルくらいで後続につかまる。ああ、これで終わりだと思ったのだが、それでも先頭集団にくらいついているではないか。しかも、そこから半周くらいしたらまたじわじわと上がっていって、再び先頭に立ったのである。いやあ、これは驚きである。ここまでやるのか、僕はひじょうに失礼だったなと心の中で詫びた。ここまでやってくれるならもう最下位でもかまわないぜ。残り周が少なくなり、ペースが上がる。上原が再び先頭に立っていたのはごくわずかな時間で、またもや先頭集団の後ろになるがそれでも必死で食らいつく。結局ゴールでは6位。上位5人は無条件で決勝進出だが、あとはタイム。はたしてタイムで拾われ、上原は日本選手で唯一決勝に残ったのだった。

その決勝は15位だったみたいだが、まあ実力だからしかたない。まだ20歳、もうちょっと無駄のないフォームに改良できれば先が楽しみな人材である。マラソンもあるし。何よりハートがいいよね。僕は実業団とか全日本とかの大会でまた上原を観たいなと思ったのだった。もう追っかけになろうかな。と思うくらい心が動かされたんだよね。

さて、金メダルラッシュと言えば女子レスリングだが、吉田沙保里の負けた後の姿はみっともなかった。内容的には完敗だったし、泣くようなもんじゃない。人事を尽くした人間の姿とは言えないな。
そもそも、僕は以前から伊調馨のほうがすごいと思ってた。伊調のほうは4連覇しても淡々としたものだったな。吉田と違って目立ちたがりじゃないのでマスコミにも取り上げられないが、現実に4連覇したのはこっちだし、やっぱり上だよね。吉田は亡き父がとかいうけど、伊調にだって亡き母というのがあって、そもそも人はいろいろ背負ってるんだよね、自分だけじゃないってえの。晩節を汚すとはまさにこのこと、3連覇でやめておけばよかったのだ、

あと、バドミントンの女子ダブルスの金もなかなかの出来事である。
もともと日本はバドミントンは弱くはない。しかし、世界一になるような実力もなかった。そのためにバドミントン協会(連盟?)は、選手が所属する実業団単位での練習、強化などをあらため、垣根を取っ払った体制を約10年前から敷いているのだそうだ。つまり、日本のバドミントンのための長期計画。あるときからの体操協会と同じである。実業団同士で争うのではなくて、全体が強くなることがバドミントンの普及拡大につながるというものである。これはまったく正しい。北京あたりからベスト4くらいに入ってきたのが今回やっと結実したわけである。選手にも協会にもおめでとうと言いたいね。

で、、五輪が終わるのと同時に始まるのが、最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャである。この前のツール・ド・フランスがあまりにも面白すぎたので、その点どうかという懸念はあるが、夜更かしにはならないのがありがたい。

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