ご予約専用フリーダイヤル
0120-556-240

菅野所長のエッセイ:スポーツのやばさ

今週ひじょうに腹が立ったのは、IOCの副会長が「コロナ状況に関係なく」東京オリンピックを開催したいと言ったことだ。翌日あたりに、バッハ会長があわててこれを和らげる内容の会見を行ったが、はっきりと否定したわけではない。まったくオリンピックで甘い汁を吸う連中ていうのはどうしようないな。

 

これを聞いて喜んでいる代表は森喜朗だな。前から「IOCが言うことには従わないといけない」なんてことを言ってるからね。次いで小池都知事か。この数ヶ月の東京の感染報告には、何か邪な意図が感じられるのは僕一人だろうか。案の定「重症者」の定義も全国基準と違ったしね。東京はそんなにひどくありませんよとのアピール狙い。それもこれもオリンピックがやりたくてしかたないからだろう。

 

しかし、国際的には、アメリカ、インド、ブラジルなどの感染拡大は尋常でなく、一度は収まったかに見えた国でもまた感染者が増えるという現象もある。仮に日本がかなり終息したところで、世界の動勢はコントロールできない。アメリカが不参加なら放映権料が入らず事実上アウト。あるいは、アメリカ、インド、ブラジルなど感染が収まらない国が参加するなら行かないという国もあろう。また、このままでは開催しても世界から人は集まらず、無観客試合のセンも濃厚。そうなると、観光収入、入場収入は入らず、開催国日本は大ピンチだ。

 

この夏、僕の知人ががんばって学会を敢行したのだが、通常の学会よりも何倍も疲れたと言う。感染状況をつくらないため、密を防ぐための工夫や段取りが大変だからだ。これが五輪となると、ものすごく過重な配慮と予算が必要となる。どう考えてもいいことはない。

ほんと、格闘技なんかどうするのだ。テレビで、高校の相撲部の練習風景を見たが、もちろんマスクなんかしないで、汗みどろの身体をくっつけ合ってる。そんなことやってていいのか? あるスポーツ関係者が、ラグビーの合宿を取材に行ったとき、「練習風景は撮さないでくれ」と言われたんですと。感染対策をやってないことがばれるのを怖れてるらしい。

総じてスポーツの世界はやばいかも。平気でキャバクラ行くような連中と変わりないのではないか。あるいは負けるとわかってるにもかかわらず、それには目を向けずに、強国に戦争を挑む軍人のようなものに近いのかもしれない。

これに対して、ワクチンさえできればという声が強い。もちろんワクチンが完成すれば、僕だってこうも反対はしないが、かなりの臨床実験を繰り返さないと安全は保証されない。「ワクチンができましたよ」と言っても、そこからがとても長いのである。着手から完成までは最低2,3年かかるのがふつう。今年いっぱいなんて夢物語ではないのか。開催、不開催を決める時期というのも、バッハは明言しないが、今年いっぱいてところだろうに。

 

とにかく、やりたい連中の口車に乗ってはいけないよね。まあ、世論の半分はやめといたほうがいいと言ってるわけだが、そんな世論を無視するのが連中のやり方だからな。

次の組閣では五輪相に室伏広治という噂がある。ふつうならとてもいいが、この時期だからなぁ。室伏に「開催有理」の先陣を切らせて世論を吹き飛ばすという戦略かもしれないなあ。悪いこと言わないから、要請があっても断って欲しいね。室伏広治の栄光が汚れることを心配しているのだ。

それにしてもまだまだ開催の未練を残す人も多いのだろう。その前提にはオリンピックをやるといいことがあるという考えがある。でも、幻想の部分が大きいよね。経済や文化が発展途上の国ならともかく、ロス五輪を最後に、深刻な経済的ダメージを残すのが実際のところなんだから。とくにコロナ禍の今回はどんだけのダメージがあるのかわからない。IOCとJOCを喜ばすだけだぜ。

 

 

最初に戻る