先日ニュースを見ていたら、自民党の細野豪志がやけに気色ばって会見していた。何でも、去年度新設成った防災庁の長官としてインタビューらしい。ほう、それはなかなかいいじゃないかと思ったのだが、皆さん防災の意識をもっと高めてくださいと、それも「緊急」ですよとと力説するばかりで、国としてこんなことをやります、こうやって皆さんの命と財産を守りますという内容はほとんどなかった。案の定、そんな国民任せ、自己責任的な姿勢を見破った人も多く、ネットは炎上気味だったね。
まあ、細野豪志と言えば、僕から見たらただの変節漢だしな。でも高市政権としてはイメージアップのためには悪くない人選だと考えたのかもしれない。
しかし、そもそも、この防災庁そのものが政権のイメージ戦略に過ぎないように感じられる。国としては災害対策を熱心にやってますよという宣伝の一環。
で、防災庁の9年度の予算請求を調べると638億円である。防衛予算が9兆、環境省6000億、デジタル庁1兆などあるけど、13省庁で一番予算が付かない弱小じゃないのか。ちなみに8年度は24億だ。熱心じゃないなあ。
600億くらいでいったい何ができるのか? そんな予算をつけられ、実は政権から軽視されているであろう細野としては、国民に責任を負わせることくらいしかできないのかもしれない。通常ならお前は何を言ってるんだと怒りたいところだが、ちょっぴり同情したくなるところもあるな。
(人件費を差し引いた)600億で何ができる? 都道府県の人口比で振り分けるとしたら、人口50万くらいの鳥取や島根には年間2億しか回らないのだよ。最小規模の府県でも最低30億くらいは行かないとね。そうすると1兆円超の予算じゃないと。だって、国民の命や財産に最も直結している省庁と言ってもいいんだから。そこに金を惜しむべきではない。しかし、高市政権は防衛こそ根幹と思っているらしく、そっちの予算ばかり上げたがる。けれど、今年や去年、台風や水害でどれほどの人が死んだか、どれほどの人々の財産が失われたか。それに比べて、戦争で死んだ人がいたのか? あるいは歴史家磯田直史が喝破したように、日本の歴史においては、対外の戦争で死んだ人よりも、外来の感染症で死んだ人のほうが多いのである。
防衛と防災、どちらが喫緊の要件かはわかりそうなものだがね。もちろん防衛予算を大事だとするのもいいのだが、それに比べて防災予算があまりに貧弱ではないかとと言いたいわけである。防衛費の100分の1以下だもの。
軍事、経済ばかりを重視している政権にあっては、当然福利とか教育は弱くなるよね。文科省は5兆。軍事費の約半分である。でも、それこそが国の根幹を弱めていくことではないかと僕は思うのだがね。税金をどこに使うか、その目的性についてもっと考えてほしいものである。まあ、無駄なことにばかり使っているのではないか。最近では福岡県議会がそうだけど、会計検査院から1445億円の税金の無駄使いがあるとの報告もあった。いやあ、そんなものじゃないでしょ。それにそんな報告があったとして、首相が何か罰則を与えるという話も聞かないし。
古い話を引っ張り出すと、オリンピック開催の参考として東京都の視察チームがブラジルだったかに行くことになったときの話。当時の都知事は舛添要一。しかし、都知事選で敗退、小池都知事となった。で、舛添のときの渡航予算が6900万円、小池に代わるとその予算は1000万円となった。こんなに違うんだよね。定見のない人間が権力を握るとトンデモなことになるのである。
防災に力を入れれば確実に国民の命と財産を守れる。たとえば液状化現象。10年前の熊本地震で液状化が見られた熊本市と甲佐町では、10年で142億円かけて対策工事を行ってきたという。その結果、今年の地震では被害がほとんどなく(液状化は見られず)、ごく一部で砂が噴き出た程度だった。
東日本大震災や能登地震では液状化対策に国の補助金(半額)が捻出されたのだが、関東ではよく知られる千葉の浦安市の液状化対策は地権者の自己負担(100万~200万)で行われたらしい。液状化現象を調査した防災科学技術研究所によると、液状化は同じ場所で繰り返し起こるものなんですと。だから、その対策に対し、国は厚い支援をすべきであると進言している。水道管と同じく、国が対策に力を入れさえすれば確実に成果が上げられるのである。浦安の人たちは気の毒すぎるのでは。
ちなみに熊本市の年間予算は4300億円である。液状化対策に10年で142億円。年間なら0,3%の予算を充てれば済む話なのである。これに加えて国が補助すれば災害対策はさらに強固になるだろう。
そしてまた被災した人たちにとって苦痛なのは、劣悪な避難所という環境である。そこで最重要なのがTKB(トイレ キッチン バス)なのであるが、そのセットが2億8千万で売り出されている。高いなあ。横浜市はこれを300セット購入してストックしているらしい。数的にはまだまだ不足ではあるが、それでも横浜という金満都市だからできることだ。熊本もある程度金がある。横浜もだ。東京都は地下に巨大な放水路をつくり、水害に備えている。しかし、財力のない府県からしたらなかなか対策など打てるものではない。やはり国の力が必要なのだ。
アメリカも共和党が大敗し、風向きは大きく変わった。日本も軍事や目先の経済ばかりでなく、福利や教育に力を入れていくようになるといいなと思っているのだが。
