菅野所長のエッセイ:ひげを剃る理由

先日、ひげを剃ったのだが、自分の素顔を見るのは約40年ぶりくらいか。なんだか見慣れない顔である。ちょっと若返った気もするけど、その辺は第3者に評価を委ねたい。何でひげを剃ったのかというと、別にこだわりなどなかったからだ。でも、ひげを剃ると必ずその理由を聞かれるので、それが嫌だったことはある。というのも、僕のような仕事の場合全国に知り合いがいるので、剃ってから1年後、2年後にもずっと聞かれ続けるのである。それってうっとおしい。なおかつ特に理由もないわけだから。

今回剃った理由は衛生上のことをちょっと考えたことがある。いつか剃りたいと思ってたし、いい機会だと。何でそんなことを考えるのかというと、土曜日から入院するからである。で、何で入院するのかが今日の本題。

 

12月に耳鼻咽喉科に行ったところ、喉頭にがんがみつかったのである。それより数ヶ月前、ゴルフ場でちょっと声を上げたときに声帯を痛め、以来かすれ声になった。これがいつまでも直らないので、クリニックに行ったら、腫瘍ができているから、即大学病院に行けと言われた。腫瘍の写真も見せてもらった。大学病院に行くとやはり同じ結論。問題は良性か悪性かということだけで、細胞の生検をし、その結果を待つ。

後日の結果は「悪性」だった。ガーン、がんだけに。問題はほかの部位に転移しているかどうかである。食道、胃、肺あたりが転移先としてよくあるらしい。喉頭はリンパ腺が近いのでほかにも遠隔転移が起きやすい。

そこからは、検査、検査、また検査の日々。採血採尿、PCRは2回、CT2回、MRIにPET、胃カメラも。それも昨日終わって、結果は「転移なし」。やれめでたし。

だが、喉頭は全摘となる。29日に悪性とわかった時点で、医者は考える時間をくれると言ったが、そうしてる間に転移があるのが最悪と思ったので、僕は即決した。これでもう自分の声は失われるけれど、命が最優先だよね。普通の喉頭がんは扁平上皮がんというもので、これは放射線で治るのだが、僕のは神経内分泌がんというもので、10万人に一人の希少がんなんですと。まったく引きが強すぎるよね。こういうときには平凡、平均的な人間でありたいと思った。

絶対に転移するので、今のうちに全摘が安全なのである。術後は食道発声か、代用音声になり、普通の会話ができるのかわからないが、まあしかたない。今がメールの時代でよかったと思う。

 

ということで、とりあえず、このコラムもしばらくは休むかも。もしかしたら、入院日記みたいなものとしてアップできるかもしれないが、PCの持ち込みは微妙なんで。まあ、なんとかごり押ししちゃうけど。リハビリとか含めて約1ヶ月になります。それでは皆さんもお元気で。

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