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今週の② 深謀遠慮

 W杯、まあ何と言ったらいいのか、言葉に詰まるな。

 東北の地震はそんなに大きなものでなくて良かったけど、ベネズエラではかなり大きな被害が出ているようでそちらが心配だ。これの復旧については半分以上はアメリカががんばるべきだと思うのだがね。

 さて、スウェーデン戦だが、森保は戦前「一位通過を狙う」と言ったんだよね。その意気や良しと思ったけど先発メンバーを見ると、「一位通過を狙う」の前に「あわよくば」が省かれていたんだなと分かった。そこに何が何でも勝たなければという意志はなかったようだ。

 一位通過なら次戦はモロッコ、2位通過ならブラジルである。実は僕は戦うならブラジルのほうがいいんじゃないかと思っていたのだが、グループステージの試合を観ていると、モロッコは思っていたよりも強くない。これならモロッコのほうがいいと思ったから、一位通過してほしかったわけである。しかもスウェーデン相手なら軽く勝ってくれないと上位など遠い夢ではないか。しかしスウェーデンも必死である。このゲームの重要性においてはスウェーデンのほうが意識が高かったな。しかもあのゴールは見事だったし。

 まあしかたないか。三苫、南野、遠藤、そして久保もいない状況でよくやったという面もある。しかも、オランダとかスウェーデンとか、日本が大の苦手としてきた大男チーム相手に負けなかったし。

 F組はやはり「死の組」だったね。その予選のMVPは鈴木彩艶で断然だな。彼がいなければ危なかったんじゃないか。森保はすべての選手を使いたかったようだが、さすがにGKだけは替えられなかった。ああ、でも、天国にいるオシムさんに誰が一番がんばったと思うかと聞いたら「堂安だ」と答えるかもしれない。攻めたかっただろうに、よく守備をがんばったな。偉い。

 で、二人のGKと体調不良のFW町野以外はフィールド選手は全員起用である。最後には長友まで使うのだから、もう勝つ気はなく、全員起用という目的の試合となったね。森保ジャパンの合い言葉のような「みんなで勝つ」にふさわしいということか。長友がピッチに入ったとき、ああ、やっぱりそういうことかと思ったね。

 どういうことかと言うと、前日の朝方、カナダとスイスの試合を観ながら、なぜか森保と長友のことを考えてしまったのである。そして「ああそういうことか!」と思ったのである。それはなんで長友を招集したのか?という疑問への最終回答であるように思えた。

 いくらお気に入りであっても、今の長友の実力が代表にはとても足りないことくらい森保にも分かっているはずだ。でもあえて長友を選んだのである。今の長友では、よほどの大差で勝っているか負けているかという状況でなければ出番などあろうはずもない。しかし、長友以外にも、W杯という舞台に立つことができない選手は多くいるのだ。だいたいは若くて経験不足な選手である。しかし、何回も招集されている長友は、自分が出られないことに不満を覚えることはあっても、それを言葉や態度に出したりすることはない。そんな長友の存在は他の選手に対して意味を持つ。重しとなる。

 つまり、長友招集の目的とは、試合に出られない選手たちの不満を抑えるためではなかろうか。実際、選手のミーティングでの長友は、自分も含めて、試合に出られなくて悔しいという感情を共有し、なおかつサポートの吉田や南野がスパイク磨きをしているというエピソードを引き合いに出し、不満に思う選手たちを牽制しているのである。ベタだけど、こういうのは効くよねえ。

 

 そうやって選手間の地盤を固めた上で、森保は町野以外のフィールドプレーヤーを全員起用することに成功した。これによって出番の少ない選手も、「みんなで勝つ」ということ、自分たちにも気を遣ってくれている監督ということを十分に理解するよね。深謀遠慮、なかなかの人心掌握術と言ってもいいのだが、要するに人情あふれる監督なのだ。あの冷徹無比で知られるモウリーニョとは対極にある。だからモウリーニョは、有能さという基準で守田のような選手を欲しがり、森保はそれよりも長友が必要だと思ったということだろう。

 こういうのはリーダーシップのタイプとして昔から言われていることである。モウリーニョは課題や目的達成型のリーダーであり、森保は人間関係調整型ということになる。どちらが良いとか優れているということは言えないのだが、日本のような集団や社会では調整型が適しやすいのは確実である。

 でも、それも予選までかな。次はブラジルに勝つための選手起用となる。これからは、絶対に負けられない,勝つしかない試合である。人情采配などしている場合ではない。これからが本当のW杯である。相手がどこだろうと、日本のサッカーをして勝つしかない。フランス以外なら勝ち目は十分にあると僕は思う。

 でも、彩艶、鎌田、伊東、久保、佐野、富安、まずはこの6人を同時にピッチに立たせてはくれまいか。

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