ご予約専用フリーダイヤル
0120-556-240

今週の① チュニジアの昼

 今週は2回アップしよう。金曜にはスウェーデン戦があるので、それに触れなければならない。でも、まずは、チュニジア戦についてだ。この日本対チュニジア戦が、W杯通算1000試合目という歴史的なイベントであると知ったのは試合後のことだった。知っていればもう少し違う眼で観てたかもね。

* コラムのタイトルはジャズの名曲「チュニジアの夜」にちなみました。分かる人には分かるんだろうけどねー。我慢できずに種明かししました。

 さてチュニジア戦。僕の予想は3-0だったが、4-0の圧勝。しかも、内容が良い。スウェーデンが5-1で勝った相手なので、日本の力もそれと同等と思われるかもしれないが、日本はスウェーデンのようにガツガツとゴールを目指していたわけではなかった。暑いから体力を温存しつつ、のんびりと試合をコントロールしていたね。それでいて、チャンスと見るや点を取る。まさに蝶のように舞い、蜂のように刺すという感じ。そしてまたその4点がまったく違うパターンなのだ。全部刺し方が違うんだよね。

 先制点、中村のクロスは当たり前のプレーだが、鎌田のゴールがすごい。生の映像、そしてリプレイを観ても、どこかラッキーなゴールだったのかなとも思っていたのだが、あるユーチューブで別角度からの映像を観て驚いた。走り込んだ鎌田は、中村のグラウンダーのクロスに対し、一瞬ウサギのようなステップを踏んで左足のヒールで合わせていたのだ。それまで何回も繰り返されたゴール裏からの映像とはかなり趣が異なる。何というテクニック。三苫並みだな。

 あとは3点目が良かったね。上田のフリック、伊東の飛び出し。こういうのを観たかったので、とても満足。

 チュニジア相手だったので、いろいろとテストできたことが大きかったね。戦前チュニジアは、アフリカ予選で無失点ということで評価が高かったのだが、その予選のレベルが低すぎで、世界でも最弱レベルのエリアかもしれないのだ。そこを圧勝して本戦に進んだとしてもねえ。田舎の学校で一番だったけど、都会に出てきたら成績下位という典型かな。

 とは言え、僕はチュニジアはいいチームだと思っている。何しろ汚いプレーをしない。これは前からそうだよね。たとえばオランダとかはラフプレーが多いし。チュニジア戦で心配していたのは怪我人が出ることだったけど、杞憂に終わって良かった。

 で、今大会は三苫不在でどう戦うかが大きなテーマである。そこで森保は、左シャドー、本来であれば三苫のポジションに、ボランチのはずの鎌田を配した。そして鎌田の定位置である左ボランチには田中碧である。なるほどねえ、これはよく考えた布陣だなと感心した。森保やるじゃないか。長友はナンだけど。でも初の試みだから、オランダ戦では怖くてできないよね。でも相手がチュニジアならこういう実験もできる。

 そして鎌田はもちろん、田中が良かった。前半34分あたりの右サイドの激しいデュエルには感動したね。この一年、プレミア一部で苦労し、鍛えられた姿がそこにはあったな。佐野もあいかわらずすごい。4点目の上田のヘディング。アシストしたのはあの深いラインに走り込んだボランチの佐野だったのだ。

 そしてまた、感動を覚えたのは右センターバックで先発した富安である。全盛期にはまだ及ばないけど、チュニジアあたりならすべて封殺してくれる。アーセナルサポーターも喜んでいるみたいだよ。今でも愛されてるようだ。頼むからケガだけはしないでくれ。

 まあとにかく、チュニジア相手とは言え、この試合内容は誉められていいだろう。2得点1アシスト、上田綺世なんかは、自分の力が証明できて良かったと思う。オランダリーグで得点王になったからといって、世界的にはそこまで評価はされていないんだよね。なぜなら、日本人の感覚からいえば、Jリーグで得点王になったから即世界で通用するとは考えないでしょ。それと同じ。イングランドやスペインが2トップ、そしてドイツ、フランス、それに次いで、オランダやベルギーリーグがある。そういう格付けが厳然とあるのだ。オランダ人も自国リーグは軽視している。

 だから中村敬斗がフランスの二部所属だと聞いて世界はビックリしているんだよね。まあ、ここでも話してるけど、それはひじょうに気の毒な背景があるんだが。

 でも、上田はトップリーグであっても中堅クラスのチームならFWとしてやれることを十分に証明したのではないか。かつて鹿島アントラーズのルーキーだった頃に、日本人離れしたフィジカルで皆を驚かせていたけど、やっぱりここまでの選手になったかとつくづく思う。

 さて、実験は大成功した森保だが、試合後のメキシコへの感謝もまた良かった。オランダ戦のときもそうだが、こういうところは彼の良いところだよね。長友の問題はあるんだけど。ちなみにチュニジア戦で長友は、前に出すぎるなと審判から注意されてたもんな。ほんとにもう。だからベンチに縛っとけと僕は言うんだよね。

 メキシコで行われたチュニジア戦だが、地元メキシコは皆日本の応援である。ほぼ100%ホームのような状況だったな。森保の感謝はそれに対するものだけど、メキシコが日本の応援をするのは今に始まったことではなくて、長い長い歴史があるのだ。単なる親日国というだけではすまないものがあるんだよね。

 僕が個人的に不思議に思ったのは、オリンピックのときだった。1964年、東京で日本初のオリンピックが開かれたのだが、その4年後、1968年はメキシコ五輪だった。それをテレビで観ていたのだが、とにかく日本選手が出てくるとメキシコ人は大きな歓声を上げて応援しれくれるのである。どこの競技会場でも「ハポン、ハポン、ハポン、ラララ」とメキシコ観客の声が鳴り響く。まあ、親日だということは知ってたんだけど、ほんとに驚いたよね。

 その後、1985年にメキシコシティで大地震が起こる。このとき、日本の救助隊が大活躍するのである。日本は有数の地震国であるから、当時としては最先端の救助技術を持っていた。その力をメキシコでも発揮。メキシコ国民は日本の援助に深く感謝したのである。もちろん、経済的にも大きな寄与をしたことは言うまでもないのだが。この地震ではエチオピアの援助が有名だけど、そうしたエピソート同じように、トルコの場合やイランの日章丸事件と同じように、メキシコもまた日本への感謝を長い年月忘れることがないのだね。

 でも歴史をさらにさかのぼると、1888年、日本はメキシコと通商条約を結んでいる。それまで欧米と不均等不条理な条約を強いられてきた日本だが、その日本に対して、メキシコは初めて対等な契約を結んでくれたのである。これは日本がメキシコに感謝すべきことであろう。

 W杯、森保と日本代表はすごく有能な外交官だな。当然あのサポーターたちもだ。世界中が森保やサポーターを通して日本の礼節を知る。戦う選手を通して、あきらめない精神やスポーツマンシップを学ぶ。こういうかたちで日本という国をアピールしつつ、世界の人々の心を和やかなものにすると。だからこそまだまだ勝ち進んでほしいね。

最初に戻る