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傾聴技法 その4:問題の明確化

今回は、家族や部下の話を聴き、問題を明確化するための関わり方についてご紹介します。
 問題の明確化とは、相手の経験や物の見方・考え方、感情などを具体的に聴いて、部下や家族自身が抱えている問題を明らかにしていくことです。
 部下や家族から提示される問題は、他の人が提示する問題と共通している部分もあるかと思います。しかし、問題が生じたプロセスや背景はそれぞれに固有の事情があります。問題が一見他者のそれと共通しているようにみえても、詳細が不鮮明なまま同様の解決方法を当てはめて対処することは、かえって解決を長引かせてしまうこともあるかもしれません。じっくりと時間をかけて問題を明確化して、個別の解決方法を模索することが、より適切な解決策を見出していくことにつながります。

問題の明確化の例を挙げます。
部下のDさんが、上司のCさんに相談を持ちかけています。アンダーラインの箇所が明確化を意識して行っているところです。

Dさん:「Kさんから引き継いだG社のお客様とうまくいかないんです」

Cさん:「詳しく話してもらえるかい?」

Dさん:「先日、来年度の新商品について3回目の打ち合わせをしたのですが、 私がご提案した広告のことで、お客様からお電話がありまして・・・」

Cさん:「うん、それで?」

Dさん:「はい。お客様から一度OKをいただいた内容だったので、そのまま印刷の手続きを進めていたのですが、“やり直してほしい”と言われたんですよ」

Cさん:「お客様から一度OKもらってから印刷の手続きを進めていたのに、やり直してほしいと?」

Dさん:「そうなんです。もう印刷は進めていたところだったんですよ。でも、こういうのって今に始まったことではないんです」

Cさん:「え?、今回に始まったことじゃないって、これまでも?」

Dさん:「はい。一度OKもらってからやり直しって、実は先月もあったんです」

Cさん:「どういうことがあったのか、話してくれる?」

以下、省略。

問題の明確化のポイントは、①部下や家族の感情を尊重しながら質問することによって、より具体的に聴き出していくこと、②部下や家族の話を自分がどのように理解したか、部下や家族に確認しながら話を進めていくこと、です。
 特に、問題点が明確化されるプロセスは、部下や家族にとってつらい体験になるかもしれません。相手の気持ちを汲み取りながら、信頼関係を慎重にはかりながら話すことが肝心です。よろしければ、日常生活のなかでこれらのポイントを確かめていただけましたら、幸いです。

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