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時代錯誤な国

 隣国の戒厳令にはさすがに驚いたね。

 44年前は全斗煥大統領のときで、軍事政権だったからいかにもという感じだったが、今回は軍隊が本気じゃなかったようだ。威嚇射撃もしないし、催涙弾も打ち込まない。市民の抵抗にすごすごと撤退。まあ、すぐに解除されたのは良かったのだが、この国の民主主義の歴史がいかに浅いかを物語るよなあ。

 だって、銃を突きつけられて立ち向かう姿は、ほとんど天安門と同じだ。あれは1989年。35年前。今の韓国は、当時の中国と同じようなレベルなのか? まあそれは言い過ぎだろうが、それと通底するものがあるということかもしれない。というのも、これが野党が政権を握ったところで、韓国の政治体質は変わらないからだ。次の連中は日本叩きをすることで利権をむさぼる、つまり手段が変わるだけのことである。

 いつもいつもただの権力争い、利権争い。それはどの国も似たようなものではあるのだが、韓国の場合はほんとに露骨だよね。時代劇ドラマを観るとそれがさらにわかる。何というか、陰湿なんだよね。今回はユン大統領の自滅だったが、例によって、新たな政権から糾弾され、重罪、下手をすると死刑もあるかもしれない。前政権が新政権によって断罪され、一族郎党潰される、韓国ではいつの時代もそれが繰り返されているわけだ。

 この厳しさ、残酷さはまるでイスラム教徒の他宗教弾圧みたいだな。昔、インドネシアの仏教遺跡で、ものすごい数の石仏の首が皆切り捨てられていたのを観た。あれは本当にショックだった。イスラム教はアラーが唯一の絶対神であり、偶像崇拝を忌み嫌う。当時インドネシアに進出したイスラムは、古来から定着していた仏教を激しく排斥したのだった。インドネシアに行くと、イスラム教徒の帽子をかぶっている人がすごく多い。

 ”異質”に対する不寛容、これが有り体に言えば民主主義とは遠いものだと思うのだが、今回戒厳令を解除し「民主主義を守った」と人々や野党は言うけど、韓国の場合はどうなのか? はなはだ疑問である。次は日本叩きをすることが彼らの民主主義に沿うことなのだろうか?

 それにしても、なんで人はそんなに権力に魅せられるのかなあ? 何のためにという動機が問題なのかなあ。戦国時代、信長や秀吉や家康はなんでそんなに「天下」が欲しかったんだろう? 分かる人には分かるのだろうが、分からない人にはよく分からない。まあ、快感があるんだろうがね。つまり快感の追求ということになるのか? 欲を満たすというのは確かに快感なのかもしれない。

「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることもなしと思えば」

 平安時代、一大権勢を振るった藤原道長はこう詠んだわけだが、実際には道長は悪性の痔で悩んでいたらしいし、糖尿病で苦しんで死んでいる。それでも天下を手中にすることの快感が勝るのだろう。

 人間の悩みとかストレスというのは実に簡単な理屈であって、それは自分の思い通りにならないことに対するものである。高尚な悩みに見えても、要は自分の思い通りにならないことに悩んでいるだけなのである。

 逆に言えば、すべてが思い通りになれば悩みやストレスもなくなるということになる。権力を手中に握れば、思い通りにしたいという欲望が満たされる。一国一城の主になれば、城から見渡せる範囲を思い通りにできる。隣国を攻め落とせば、その倍を思い通りにできる。そうやって人はさらなる快感を求めていくのだろう。

 でもねえ、どうなんだ。天下を平定する、我がものにするという動機がある一方で、「天下を救う」という動機もまたあるんじゃないのか? 戦国時代ならともかく、近代政治にあっては、そういう動機のほうがより強くてもいいのではないか? ひょっとしたら政治家たちも最初はそう思っていたのかもしれないがね。 

 そうそう、藤原と言えば、「光る君へ」で”刀伊の入寇”をやるらしい。これを迎え撃つは藤原隆家。あまり詳しくはないのだが、藤原家でもかなり異質な人物として知られる。NHKの歴史番組で刀伊の入寇を特集してたのはこのためだったのか。

 ケーブルTVでデビット・リーン監督「ライアンの娘」をやっていた。ずいぶん昔の映画だが、実は僕はこの映画が好きでまたまた見入ってしまった。映画というのは90%以上映像だと思うのだが、「ライアンの娘」は映像がいいんだよね。何というか、一コマ一コマが上質な絵画のような感じで、立体的というか、あれは照明に秘訣があるように思うのだが、とにかく僕の中では名作の一つなのである。

 さて、明るい話題。

 福島は尚志高校卒後、ドイツでいきなりプロになったチェイス・アンリ。20歳になった今はシュトゥットガルトでほぼレギュラー。先日は初ゴールまで奪った。これは逸材も逸材である。富安が復帰して、これとセンターバックを組めば日本のディフェンスは相当レベルアップだ。W杯ベスト8はもちろんベスト4も現実味を帯びる。ただし、テレビで小さな特集があったのだが、そこで観るチェイス・アンリは精神的にまだまだ幼いなあという印象を受けた。この辺がちょっと心配ではあるのだが。

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