先日注目した出来事は、30年間政府が借りパクしていた自動車の自賠責保険料をこのたび全額返還するというニュースだ。その額5700億円。もう30年前の話か。自賠責以外にもあったように思うが、まあ、こういうものを政府が返すというのは、前代未聞のことではないのか? はたして他の政権でこれがやれたのかどうか、当然財務大臣である片山さつきが大きく関与していると思うが、新政権発足以来のグッドなニュースである。
とはいっても、借りたものは返す、これは当たり前のことである。しかし、その当たり前のことができないのが世の常、人の常であるから、やはり評価してもいいのだろう。
と思っていたら、林総務相、高市首相、そして片山さつきと、怪しいカネの問題が噴出してきた。安倍派、安倍親和派はカネの問題にはルーズだよね。と言うよりも、大好き? 「政治とカネ」ではなくて「政治はカネ」という感覚なのだろうか。高市首相は国会で企業献金の質問を受けている最中、「そんなことより、定数削減を」と言い放った。本音が出るもんだなあ、あからさまに。
石破首相が誕生したときの総裁選では、高市陣営は8000万もの資金を捻出したことが分かった。このとき小泉陣営は2000万だったというから、高市早苗の集金力はすごいのだなと思う。念願の首相になるために、今回も相当お金を使ったのだろうと察する。まあしかし、企業が献金するのもよく分かるよね。1000万くらいの献金かどうか、その実体はよく分からんが、法人税減税というおいしい見返りがあるんだから安いもんだ。僕も経営者の端くれであるのだが、コロナ禍など、苦しいときに法人税の減税はほんとにありがたかったもんな。
でも法人でないところには恩恵はない。「身を切る改革」というのなら、まずは我が身を律しなければいけないのではないか。そして、国を思うのなら、」企業ではなく、民を思わなければいけないのでは?
そんなことを言うのも、この政権を支えている大きなものひとつが世間に漂う右派の思考だからである。たとえば、彼らは在住の外国人をやり玉にし、高市政権もそれに乗っかって法案をつくろうとしているわけだが、しっかりと調査を行うと、彼らの言うことはほとんど的外れであることが分かってくる。
たとえば、都内マンションの高騰は外国人の購入、とりわけ中国人の爆買いが影響しているという噂がある。しかし、実際は台湾人が圧倒的で、中国人による購入はその5分の1くらい、3位のシンガポールあたりとあまり差はない。在住外国人の国民保険加入率は63%だが、外国人加入者の多くは若い世代であり、医療を利用することはひじょうに少ない。あるいは、外国人は病院での医療費未払い者が多いという言説があるが、これもデマで、調べてみれば、日本人の未払い者が全体の98~99%。外国人のほうが日本人よりもちゃんと払っていると分かった。と、モーニングショーで紹介していた。
思い込みの怖さだよね。結局、国内での外国人のいろいろなニュースは、もちろん事実ではあろうが、それが外国人全体を示しているものではないということだ。
別に、たとえば中国人を擁護したいわけじゃない。むしろ僕は悪感情を持っているほうだと思うね。その国を実際に訪れてみれば好感を持つのがだいだい普通かなと思うのだが、昔、中国に行ってみて、僕はすごく嫌いになったんだよね。10日ほどの短い滞在だったが、この国の本質を見た気もした。その手応えが確かなように思えたので、それを原稿にしたら、中国で10年以上暮らした人から「ほんとのその通り」と言われた。そのテーマは、言うならば、人間の果てしなき欲望についてということなのだが。
まあそれは別の話として、ここでは思い込みに気をつけようということだ。右派の主張は、やはり外国人排斥ありきではないかと思われてもしかたないよね。高市、片山コンビもその辺は信頼できないところがある。今裁判中の安倍元首相銃撃事件も、あれには黒幕がいるんだという妄執から離れられないようだし。それも思い込みとも言えるのだが、まあ、右派からすれば、統一教会は基本的に守るべき組織なのでね。
思い込みやフェイクと言えば、とくにAIの進歩はめざましく、有名人を利用したフェイク画像による詐欺が多発している。もはや画像を信用してはいけない時代なのである。もちろん声もそうだね。AI自体は悪くないのだが、悪い人間が使うと困るのだ。
最近ではAIによる音楽とかすごいよね。中島みゆきの「地上の星」のヘビーメタルバージョンというのがあって、聴いてみるとものすごくいい。と思っていたら、これはAIで創られたものなんですと。サザンの曲を黒人ブルースシンガー風に歌っているのもものすごくいいけど、やっぱりAIなんですと。それを知って多少はがっかりもしたのだが、これはこれでいいと思えばいいのだ。
そんな折、NECが本人確認のマシンシステムを開発したそうである。顔認証と(眼球の)虹彩認証のダブルチェックで、歩いてゲートを通ればたちまち確認できる。これを空港などでやれば相当便利で、27年度にはさまざまな現場に設置される予定ということだ。フェイクがあふれる一方で、こんなふうに真実を見抜くシステムも生まれると。イタチごっこではあるだが。
さて、なでしこジャパンの今年最終戦が終わった。東京五輪金のカナダに完勝。長谷川不在も、谷川大活躍。今のカナダも弱いけど、いやあ、すごいものだ。長谷川唯、谷川萌々子、2人の世界的なスーパースターを擁し、山下、藤野がいて、宮澤とか長野、松窪、浜野、古賀、次世代には眞城がいる。これでW杯ベスト4にも行けなかったら、監督責任もいいところだが、あいかわらず、熊谷や高橋を重用するので、やっぱりその前に監督を替えてくれと思うのだった。
