毎度話題の女子ゴルフ。今年からアメリカツアー本格参戦の岩井ツインズの妹、岩井千怜が早くも初優勝。それもブッチギリで驚く。もっとも次週の全米女子オープンを控え、一流どころはメキシコくんだりに行くよりも地元で調整していたので相手関係はかなり楽だった。レベル的には日本ツアー並みと言ったところ。だが、それでも優勝は優勝、立派なものである。賞金も5000万円超で、日本よりずっと高いし。
でも、今週末のメジャー大会は桁違い。優勝すると3億以上である。なので、わざわざメキシコまで行って暑さに苦しむことを思えば、こちらに注力するほうが賢いと言える。しかし、岩井ツインズなどはまだ22歳、暑いの寒いのと言ってられない。今は経験値を上げることが何より大事だ。その甲斐あってか、二人ともすでに来年のシードは確実のようだが。
彼女たちは埼玉栄高校のゴルフ部出身なのだが、二人が入学してから卒業するまで、ほとんど無敵だったらしい。個人戦はもちろんだが、高校はとくに団体戦が多いのでね。当時の監督は、監督が何もしなくても勝ちが転がり込んできたと語っている。そりゃそうだよね、その後米ツアーで若くして優勝争いしている二人が同じチームにいたんだから。ONがいた頃の巨人みたいなものか。
で、アメリカで日本の女子ゴルフアーが活躍する一方、ヨーロッパでは、女子サッカーである。バイエルンの20歳谷川萌々子ちゃんがまたまた世界を驚かした。
今年から始まった7人制サッカーの大会。会場はポルトガル、ヨーロッパの強豪8チームが戦う舞台で、準決勝のパリサンジェルマンとの試合。味方からの浮き球パスを曲芸のような、魔法のような神トラップで足下に収め、そこにプレスをかけてきたディフェンダーをきれいな股抜きで抜き去り、左足一閃、見事な同点ゴール。まるでジダンかロナウジーニョかと、SNSでも話題沸騰である。7人制ではあるけれど、今年のベストゴールはこれで決まった感があるね。惜しむらくは、映像がもうひとつ鮮明ではないことだが。
萌々子ちゃんは、決勝でも後半の苦しいところで同点弾を放ち、バイエルンの優勝に貢献。結果、大会の得点王そしてMVPとなった。まあ実力からは当然の結果かな。優勝したバイエルンは、国内リーグでも優勝しているのだが、すでにチーム内でいちばん上手いのは萌々子ちゃんだからな。力任せのドイツよりもイギリスに行ったほうがいいんだけどなあ。そして、もう少し身体が絞れれば完璧なのだが。
とにかく、来月にはなでしこジャパンのブラジル遠征があって、今回は招集されてるしね。最新ニュースでは長谷川が参加できないらしく、萌々ちゃんへの期待は益々高まるのだった。でも長谷川がいないとブラジルには勝てないかも。
しかも、今年はランキング1位のスペインとも試合を組むらしいね。これは楽しみである。DF陣さえ若返りに成功すれば、再びの世界一も夢じゃないと思うんだよね。監督ニールセンはあいかわらず熊谷、高橋、南なんかを重用するみたいだが、わかってんかなと心配になる。
さて、国内の米問題が大きく動いている。かつてJAと激しく対立した小泉進次郎が農水相になり、備蓄米を大放出し、5キロ2000円の価格帯を実現したいと言っている。
JAに忖度しない小泉が残っていたのは首相にとってラッキーなことだったな。小泉も、ここで米価格を下げれば一躍ヒーローになるかもしれない。自民党の悪しき伝統から一歩も抜け出していない二世だが、運だけはあるようだ。自分で対策を考えることができるかは怪しいが、「こうやれ」という単純なミッションをこなすのは得意かもしれない。ファミマまで手を上げているわけで、随意契約はうまくいっているようだし、価格はあっという間に下がるだろう。
でも、ここまでは簡単。誰でもやれる。難しいのははそこから先だ。とりあえず価格が下がれば、世間は「令和の米将軍」などともてはやすかもしれないが、どういう評価するかは、まずは1年後2年後を待たなければならない。価格だけの問題ではなく、農家の高齢化や、「米離れ」がどこまで進んでいるかとか、米産業自体の未来にかかわる問題をどう解決していくのかが問われるのだ。
前回少し触れたように、今回の米騒動をきっかけとして、「日本人と米」ということを見直さなければいけないのかなあと思ってる。米離れが話題となり、減反が始まったのは55年前。長い歴史からすればひじょうに短いものだ。その短い間に、政府はこのままでは日本の食卓から米が消滅してしまうような政策を取ってきた。これは大げさなことではない。減反を重ね、生産は降下、米農家は減少、跡継ぎもいない、米が少なくなり値上げ、それによる更なる米離れ、需要減少、更なる米生産、生産者の減少と、これでもかというくらいの悪循環である。
実は、もしも米にほんとうに需要がないのなら、無くなってもしかたないくらいに僕は思っている。悲しいけど。でも、それは本当なのか? 前回も書いたが、このところ米は一時期よりもかなり人気が高まっているんじゃないのか。その流れを政府は見損なっていたのではないかと思うのだが。
2年前に京都の伊根に行ってみて、日本人が見失っていた日本の良さがあるのだなとつくづく思った。伊根は、近年外国人観光客によって見出された観光地である。京都の人間でさえ、「あんな辺鄙なところには行きたくない」と言っているところだ。しかし、素晴らしかった。僕の中では知床と並ぶレベルである。
米もまた、インバウンドたちが口々に言う。日本の米は最高だと。コンビニのおにぎり、鮨、カレーライス、各種どんぶり、自国の米とは段違いの美味さだと言う。で、それは本当だと思う。タイ米やカリフォルニア米など、調理のしようによってはまずまずのものもあるが、古代からこだわってきた日本の米ははるかにすごいと、僕は思う。
日本の米文化が政治によって守られ、特別なものになったのは、7世紀からであろう。壬申の乱後に即位した天武天皇は肉食禁止の令を出した。ここからだ。天武は寺社仏閣をたくさん建立したことでも有名で、仏教への篤い信仰があったとされる。なので、肉食禁止は多分に仏教の倫理観からのものと考えられている。僕もずっとそう思っていた。
が、どうもそういうことでもないらしい。天武天皇の肉食禁止は、牛、馬、犬、鶏、猿であり、鹿や猪などは含まれなかった。それはどうしてかというと、牛や馬が代表だが、農耕のために不可欠な役畜だからである。これを食ってしまったら、大変なことになると。猿の場合は、見た目からして人間に近しい存在であり、神として崇められる場合もあったからだ。しかも、禁止は4月から9月に限られていた。それは田植えから刈り取りの時期と合致する。
つまり、645年の肉食禁止令とは、米作、農作を保護するために発せられたものだと考えられるわけである。そうやって国の保護を受けた米は年貢として徴収され、国家資本の核となっていく。支配者である天皇と米作との深い関係もこのあたりから始まっているようだ。
天皇が祭祀することによって米は聖なるものになり、一方で肉は穢れたものとして人々の意識に浸透していったのではないか。禁止令当初は、さほど収まっていなかった肉食であるが、1世紀、2世紀後にはかなり減少したと見られ、狩猟も減っていったということである。
こうやって米は日本人にとって特別なものになっていった。今でも春の田植えの時期になると、皇居内の田んぼでは天皇家が自ら苗を植え、その映像が微笑ましく報道される。ちなみに現在の勤労感謝の日とは、もともと米の収穫を祝う宮中行事であり、「新嘗祭」と呼ばれていたものである。戦後GHQによって訳の分からない祝日に改められたわけだが、あるいは55年前に始まった米離れも、新嘗祭が健在であればどうなっていたかわからない。
とはいえ、別にそういう時代に戻せと言いたいわけではない。僕は国粋主義者ではないんでね。
とにかく、減反政策を見直すのはもちろん、輸出品目としても米を増産したほうがいいのではないかと思うのである。日本の米は、そのブランド力で、価格競争の外で勝負できるはずだ。その証拠はあれだけ外国人が言っているんだからね。僕は外国では、6か国くらいで米を食べたように記憶してるけど、どれもマズかったもんな。あの差が埋まっているとはとても思えない。ちなみにビールも日本のがうまいんだよね。僕の経験ではケニアのタッカービールだけが匹敵してた。
で、米が外国で人気が出れば、それに付随するものも売れる。第一は炊飯器だよね。米にこだわった日本の炊飯器は絶対に売れるはずだ。そういう時代が来るのを楽しみに待とう。スポーツ選手も輸出、米も輸出と。
とりあえずは小泉が失敗しないよう願いたいが、ここの米もナナヒカリだからなあ。