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菅野所長のエッセイ:生真面目の代償

今週は暖かいですね。やっぱりいつかは春が来る。

 私の気分はというと、啓蟄が過ぎたことも大きいが、ようやく競馬の調子がよくなったので、ちょっと一安心。現金なものである。しかし、やることは多い。これまでほどではないが、さほど気が休まるわけでもないな。この仕事、3月は忙しいのだ。

 ま、あまり生真面目にやるとよくないので、先日は今年初めてゴルフをやった。バネ指の状態も前よりはいいし、久々なのに意外にやれたので今年は挽回できそうな気がしてきた。が、ずっと運動してないので、腰、背中、足と身体がつらかった。ゴルフ程度でこれだから、われながら嫌になるが、還暦なのに元気ですねとは言われる。それは確かにそうかもしれない。何しろ気持ちだけは若いからな。

 生真面目で心配なのが、ジャンプの高梨沙羅ちゃんである。すごいね。16歳で世界一。それも他を圧倒的に引き離している。僕は2年くらい前から注目していて、今シーズンのワールドカップの試合はBSで全部観ている。ライバルはいちおうアメリカのサラ・ヘンドリクソンで、「二人のサラ」なんて言われているが、実力としては日本の沙羅ちゃんのほうが断然だ。これからの伸び代まで考えれば、世界に敵なし。ボクシングのモハメド・アリ、パッキャオ、将棋では7冠時の羽生、そして競馬のフランケルみたいなものであある。まったく、身長152センチの16歳にして、いったいどうしたらこうなるのか?

 それはそれとして、昔の映像を見たら、子どものときの大会で負けたとき、泣きながら「お兄ちゃんに怒られる」と言っていた。これに対して、彼女のお兄ちゃんは「叱ったことなど一度もなかった」と笑いながら話していた。つまり、彼女のほうが叱られると思ったということなのだろう。つまり、それは兄の期待に背いてしまったことを気に病んでのこと言葉ということになる。

 実際に叱られるのなら、そのほうがわかりやすい。そうではなく、この子は、他人の思いを自分の中に背負い込んでしまう資質が高いのではなかろうかと僕は思ったわけである。だから、それがちょっと心配だ。オリンピックが近づくにつれて、国民の期待はすごいものになっていくだろうが、僕としては、あんまりそういうことは考えずに楽しく飛んでねと言いたいところだ。ま、他人の期待を背負うことでより力を増す人もいるし、ひょっとしたらそういうタイプなのかもしれないが、なにぶんまだ16歳である。

 ちなみに、世界選手権ではジャンプ団体の男女混合なる種目が登場した。これも沙羅ちゃんがいるので日本が優勝。スタート位置こそ違うが、男女通じて彼女が最長不倒なのである。ほんとにとんでもない。このときの沙羅ちゃんの笑顔は、個人戦では全く見られない真の笑顔だったな。きっと個人戦よりも嬉しいのだろう。他の人にも何かを与えることが彼女の真の喜びとつながっているに違いない。

そんな会心の笑顔を見られたのは収穫だったが、この男女混合の団体戦、日本は優勝すべきでなかった。なぜなら、この種目をオリンピック種目とするかどうかはこれから審議となるわけで、日本が勝つとわかると、ヨーロッパ諸国は賛成したくなくなるからである。ドイツとオーストリアあたりを1,2位にさせるのが正しかった。まったく「戦略」というものがわかってないなあ。生真面目だと、そういうことが欠点になるね。

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