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春の雪

  国立の余韻は1週間近く続いたかな。いいものである。

 あの夜も結構寒かったが、昨日から今日にかけて東京にも雪が降った。しかし、外に出てみるとあらかた溶けていてまさに春の雪だった。「春の雪」といえば、三島由紀夫晩年の4部作のⅠ作目。調べてみると、出版が1969年だから55年前だって。本屋ですぐに買った覚えがあるなあ。あの頃は小説をよく読んでたもんで。一番繰り返し読んだのは高橋和巳「邪宗門」。自分の生きる方向性というか、スタイルというか、価値観というか、それに大きな影響があった。

 で、その初出を調べようとしたら、漫画家鳥山明が急逝というニュースが飛び込んだ。ああ、古い小説の話どころじゃない、これは全世界的な悲しみだな。代表作はもちろん「ドラゴンボール」だが、僕個人としては、最初に「Dr.スランプ」を読んだときの衝撃が忘れられない。鳥山明は、手塚治虫に続く日本サブカルチャーの巨人であり、大げさでなく、世界における日本人気の立役者でもある。国民栄誉賞くらいあげてもいいんじゃないか。

 この死を受けて、リスペクト半端ない尾田栄一郎は大丈夫だろうか? 「ワンピース」に影響が出るんじゃないかと心配である。

 実は、昨日、私個人のほうにも訃報が届いている。九州に住む友人の精神科医が亡くなった。前は毎年一緒にゴルフやってたんだけどねえ。ここ数年は会うことがなくなっていた。精神科医なのに、ちょっとアルコールがコントロールできなくなってたんだよねえ。それを乗り越え、再び会える日が来ることを願っていたのだが、とても残念なこととなった。合掌。

 今日も寒くて、まさに「春は名のみの」という感じだが、来週になるとかなり暖かくなるらしい。そうなると、来週末くらいには桜が咲くかもしれない。桜の開花の決定的な条件に寒暖差があるということはもうだいぶ知れ渡っただろうしね。

 それにしても、三島がイメージした「春の雪」というのはいつの頃を指すのだろうか。3月過ぎであることは間違いないだろうが。そもそも1960年代の東京は今とは天候が違う。冬は今よりももっと大雪が降り、そこかしこに雪だるまがつくられていた。多少泥混じりではあったけどね。

 昔の東京と言えば、先日映画「ゴジラ-1.0」を観た。これは終戦後の東京をゴジラが襲い、特攻隊の生き残りなど元軍人が撃退する映画である。なぜかアメリカで大ヒット。数あるゴジラ映画でも興行収入Ⅰ位ということである。内容は、まずまず面白いかな。ゴジラが主役という感じではなく、人間ドラマ仕立てとして感動を誘うみたいな、ね。そこがアメリカで受けたのだろうか。

 うーん、しかし、面白さという点では「シン・ゴジラ」に軍配が上がるんじゃないか。こっちは人間ドラマなんかまったくないのだが、そこがまた斬新でよかった。「ゴジラ-1.0」は感動、感涙狙いの映画だと思うが、それならそれで、最後の船から凱旋するシーンで、あの因縁ある整備兵との再会がなかったのはどうなんだと僕は思うのだがね。ああ、アメリカで受けたのは「インディペンス・デイ」と似てるからじゃないか?

 それはそれとして、ゴジラ映画が生まれてから70年。僕とほぼ同い年じゃないか。アメリカでも映画化され、日本でもなおつくられ、歌舞伎町のビルにまでいるんだから、このキャラクターはほんとにすごいよね。昔の話だが、当時の彼女がゴジラのフィギュアを誕生日プレゼントしてくれたことがあったな。記憶には薄いのだが、そんなものをくれたくらいだから、自分もゴジラのファンだったようだ。確かに、子どものときに観た「キングコング対ゴジラ」は面白かったからな。

 そういえば、あるYouTubeで知ったのだが、デーモン小暮が、学生時代だったか、ゴジラの鳴き声コンテストで優勝し10万円をゲットしたという話がある。いつになってもゴジラの話題は尽きない。

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