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菅野所長のエッセイ:傲慢注意

 いやぁ、今日が終われば連休ですね。電車に乗らずに済むと思うとありがたい。このところコルセットをつける毎日だからな。ほんとは連休はゴルフのはずだったが、やめておいてよかった、2ヶ月続けて悲しい好判断。

 それにしても、今週は困った事件からスタートしたな。

 赤トンボ研究のセンセイが女の子を殺しちゃったやつ。
 いろんな資料が残っているので、こぞってどうでもいいような推察をするけれども、僕としては、けっこうな主従関係のようなところが嫌だ。「魔王様」なんていうくらいだから、その関係は主と奴隷のようなものに通じていたのではないだろうか。むろん、本人にしてみれば、そうした関係がさほど苦痛ではなかったのかもしれない。この先生のためなら、私はそういう関係でかまわないと思う人もいるし、それはまあいいのだ。アカデミックな世界でのこうしたマゾヒズムはけっこうある。ただ、僕がいやなのは、自分への尊敬と帰依をもって暴君のように振る舞う奴のほうである。これもアカハラのひとつじゃないのと。ま、殺人まで犯すわけだから、そもそも相当まともじゃないことは確かだがね。

 宮城県のセクハラ村長。これまたバカバカしい。何でも3代目の村長ということで、代を重ねるごとにひどくなっていったんだろうな。まあ、こういう田舎じゃしかたないかなとも思うが。
 と思っていたら、この村は震災復興のシンボル的なところで、トヨタの資金がつぎ込まれているんですと。そんな重要拠点であるからには、もう少しはまともにならないあといかんね。

 こういった状況に対して、あるニュースに引きつけられた。
 イギリスでの話だが、研究者たちが、権力の座に長くいると、人格が変容し、「傲慢」となってしまうことを発表。これによると、そうなりやすい職業は、1位が企業の経営者、2位が弁護士などの法律家、3位がメディア関係者、4位がセールスマン、5位が外科医なんですと。「傲慢」というのがキー概念で、これはひとつの「人格障害」であると言うわけである。

 企業のトップについては、これこそが経営リスクとして大きいというが、その通りだなあと思うね。TCCで長い間仕事をする人たちを見てきたが、その人たちを通してその会社がどういう会社かがよくわかる。ブラックなところは、経営層からしてブラック、「傲慢」なのである。だからこんなにもパワハラがはびこる。家具会社の骨肉の争いにしても、ベースにはそういうことがあるのだろう。

 今日はサリン事件から20年。あの日、あの時間、実はこの僕もちょうど地下鉄に乗り合わせているはずだった。

 先日テレビの特集を見ていたら、警察がなかなか強制捜査に踏み切れなかった背景がわかってきた。警察庁、長野県警、神奈川県警などの当時の担当者たちは、自分たちがもっと早くやっていれば、サリン事件は防げたのではないかと回顧していた。それはそうかもしれないが、現実にできなかったのだから、しかたがない。要するにオウムの危険性がもうひとつわかっていなかったと。

 「想像力が足りなかった」と言った人がいたが、そうではなくて、捜査陣の中にオウムのことを理解できる人材がいなかったということだ。たとえば、ストーカーなんて言葉もまったくなかった時代から、僕なんかはいくつもそういうケースを抱えていた。しかし、警察はまったく相手にしてくれない。あるいはオウムみたいなところに引き込まれる人たちのメンタリティに触れてきたが、僕らの仕事はつねに時代の前触れを察知し、警察はつねに後追い、事が起こってから理解する。民事不介入という原則は、原則というよりも体質そのままなのである。こういうことは警察に限らない。大学で、学校で、企業で、社会で、いつも僕は言い続けてきたわけだが、ほぼオオカミ少年のごとき扱いを受けてきた感じがする。

 仕事の性質上しかたのないことではあるけれども、やはり内部にはそういった機関を設けていたほうがいい。でも異質な者を嫌い、いつもなあなあでいるような組織を作っている限り、同じことが繰り返されるだろう。警官殺人事件での阿倍野署の署長の言動などはもうお話にならないわけだが、あれこそが警察という組織のリアルな実態である。

 今回のイギリスで出された見解にはビジネス界も注目しているというが、日本でももっと大きく取り上げてほしいものだな。

 どんな組織でもトップにいると、傲慢、「人格障害」になる可能性がある。企業も、政治も、病院も、みんな松本智津夫と地続きなのだ。五万といるわけだな。

ということで、僕なんかも相当に危ない。基本的には暴走型だからな。ま、それがわかっているので十分に気をつけているつもりなのだが。

 

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