年を取ってから骨折とか捻挫をするととても治りが遅い。ということを以前聞いていたなあと、うっすらとした記憶がある。たぶんこれは本当のことだ。この間ゴルフをやっている最中、地面にあった枝を踏んづけたような感じで、グキっと左足首を捻ってしまったのである。それを目の前で見ていた友人は「これは折ったんじゃないか?」と思ったらしい。僕自身もこれはかなりやばいなと思ったのだが、幸い骨折までには至っていないようだった。その後も何とかゴルフはやったしね。もちろん痛いことは痛いのだが。
しかし、後から患部を見るとかなり腫れていた。もっと驚いたのは、捻った場所が内出血を起こして紫色になっていたことだ。打ったわけでもないのに内出血なんか起こすものなのか? それほどひどい衝撃だったということか。
ということで、帰ってきてからは家でおとなしくするしかない。動かないでいる分には痛みはほとんどないので、それは助かった。でも、立ったり歩いたりするととても痛い。家ではほとんどの時間をソファで過ごすのだが、ここから立ち上がるのが大変である。階段などはとても歩けない。ということで、二日間はまったく家を出ることもなく、このままでは仕事場に行くことも無理とあきらめ休むことになった。駅までは歩けるだろうが、もしも電車で座れなかったらと思うと恐怖感しかない。僕の場合は、たとえ足の故障がなくても、咳や痰の処理をするためには電車では座る必要があるからねえ。
で、練馬駅ではふだん階段しか使わないのであるが、すべてエレベーターとエスカレーターを利用し、今日は何とか銀座まで来た。階段も上るのはまあまあ大丈夫となったが、下りはすごくつらい。手すりをしっかりと掴み、時間をかけて下りなければならない。
でもまあ、この調子なら来週はほとんど大丈夫だろう。でも、昔はもっと早く良くなっていたような気がするのである。
体重がもっと軽いと歩くのも楽だろうなと思う。左足に体重がかかるのが怖いものなあ。
ちなみに中国では国民の50%が「肥満」であるという。このままでは、2030年には「肥満」が70%になるということだ。で、これに危機感を抱いた当局は国家的な対策を講じ始めているらしい。いわゆる推奨とか啓蒙というレベルではあるようだが、「もっと痩せよう」という運動が広がっている。恐竜が絶滅した要因として巨大になりすぎこともあるとはよく言われることだが、急激な巨大化を成し遂げた中国も、思わぬところから危機が訪れることになるのだろうか。
国策と言えば、近年の日本では「抹茶」の生産を政府が大いに推奨しているということだ。世界の抹茶ブームはすざまじくて、それはまあいいのだが、どうも日本人はみな抹茶を飲んでると誤解しているようだ。
われわれは日常的には誰も抹茶など飲まない。ふだん飲むのは煎茶、緑茶である。しかし、抹茶の生産に力を入れるあまり、そうしたお茶の値段も高騰するという、何とも嫌な弊害が出てきている。最近イギリスでは紅茶よりも抹茶の売り上げが上回っているというくらい、世界における抹茶の需要は高いわけで、これを売りつけようという商売感覚は正しいのだが、だからといって、煎茶や緑茶が気軽に飲めなくなるというのは「国策」として不備があると言わざるを得ない。
これの管轄はやっぱり農水省かな。ダメだよねえ、この人たち。抹茶は、世界的争奪戦の様相、売り手市場もいいとこなんだから、法外と言っていいくらいの値段設定にしちゃえばいいんだよね。それでも売れるんだから。外国人は繊細な味覚がなくて、ラーメンでもお茶でも、とにかく濃い味が好きなんだよね。その代わり、繊細な味を好む日本人向けにの茶葉は安くすればいい。実際、抹茶用の茶葉にするために農家もすごく手間をかけるわけで、特別な価格設定にするのは当然のことだしね。つまり、外国用には高級仕様のレクサスを売り、日本人向けには軽自動車を売ると。そんな感じ。
最近のスポーツ界、二つの優勝。肝に銘じたくなるような話題だ。
ひとつはゴルフ。今年最後のメジャー、全英女子オープンで山下美夢有が優勝。24歳。アメリカツアーでは今年がルーキーイヤー。この人身長150センチしかないんです。この大会、決勝進出した70人の中で、山下は69番目の飛距離だった。
でも、今年はどこかで勝つだろうと思っていた。と言うのも、これまで何年間か彼女へのインタビューを観てきたのだが、実にクレバーなんだよね。これは女子プロの中でも抜けているぞと。渋野とは違うなあと。あれは全然考えてないもんな。だからおっちょこちょいなことばかりしてしまう。
でも山下は違う。彼女のモットーは「人と比べない」ということだ。巨漢で飛ばし屋ばかりの外国人と混じっても「自分は自分」としていられるのである。「もっと自分も飛ばさなきゃ」とか「パワーつけなきゃ」とか思わない。ひたすら自分のプレーを磨く、精度を高めることに砕身してきたのである。
もうひとつの優勝は、ボルダリングの中村真緒。今年W杯で初優勝したのだが、すでに25歳という遅咲きである。これまでは日本でも、3番手から5番手くらいの選手。優勝にはほど遠い選手だった。年齢的にもはや選手としては伸びる要素もなさそうだったのだが、コーチを替えてから大変身。引退覚悟で臨んだ昨年のジャパンカップで優勝。今年のW杯で初の銀メダル。それに続いて優勝までかっさらった。
たぶんこのコーチがすごいんだね。自己流でやってきた中村に、徹底的に基本をたたき込んだ。練習でやらせる課題は易しい課題ばかり。試合のような難しい課題は一切やらせなかったと言う。中村は不満だったし、不安だったろうなあ。
というのも、正しいフォームを身につけることが最重要という考えがあるからである。このコーチによれば、正しいフォームを身につけることで正しい筋肉がつくのだと、そういうことである。中村は正しい筋肉がついていないから勝てない、そういうふうに見たということだ。逆に言えば、正しい筋肉さえつけば中村は世界で勝てる選手だった、そのポテンシャルは十分にあったということだろう。
うーむ、そう思うねえ。これはボルダリングだけのことじゃない。ゴルフもそうで、山下なんかもまさにそれを自分で実践してきたんだろうなと思うのである。仕事もそうだよね。僕はとにかく基本が大事だということを言い続けてきているのだがね。頭でっかちなサッカー選手と同じで、正確なトラップやパスも習得できてないのに、システムとか戦略とか言うんだよね。
そういうのって、僕からしたら救いようのない事態なんだけどね。みんな正しい筋肉をつけなきゃダメダメ。ちょっとした坂でも捻挫しちゃうから。