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菅野所長のエッセイ:ブラジルマジック

 なんとフランスに「勝っちゃった」と思ったら、続くブラジル戦は0-4の完敗。ま、しかし、これでだいぶ力関係、世界との距離がわかってくる。そういう意味での収穫は大ありだった。そもそもフランスは、W杯予選スペイン戦に向けての調整試合と位置づけていた。だからベンゼマ、リベリともフル出場はさせない。ただし、日本に負けるのは屈辱と思っているので、それなりに本気だったが。

 フランスにとってはいい調整になったようだ。1週後のスペイン戦は引き分けに持ち込んだし。

 一方ブラジルは、開催国であるから予選は免除。こちらは調整などでは決してなく、けっこうなメンバーでやってきた。何しろ母国開催だからねえ、以前のようなスーパースターはいないし、チーム力のアップを図るのに必死。しかも、イラクなどとは違い、曲がりなりにもフランスに勝ったチームであるから、これを叩きつぶしたいと思うのが道理である。
 
 で、結論は、やはり世界のトップにはとてもかなわない。とくにブラジル戦は、観ていて、ここが良くないとか何が悪いということもなかった。でも、0-4。ただのわかりやすい実力負けである。個々の実力も、チームの戦術も、すべてに大きな開きがあった。フランス戦では好き放題に突破した長友も、相手がバルサのアドリアーノではどうしようもなかった。DFではがんばってたけど。
 で、こういう負け方はスッキリしてよかった。日本はどう戦うべきかがよくわかる。フランス戦のようにひたすら守って、カウンター。現時点、残念ながらそこにしか勝機はない。前から言ってるように、ブラジルのような南米は、ヨーロッパのようにゴリゴリ当たってこない。だから日本も球を持たせてもらえるので、一見チャンスがたくさんあるように錯覚するが、肝心なところでは守りきられ、逆襲に遭う。
 敗戦後、本田はやけに強気なことを言ってたが、勘違いだと思うぞ。終わってなお、ブラジルの術中にはまっているのではないか。ブラジル恐るべし。

 DF面を考えると、両サイドは内田と長友、代替に駒野だろう。酒井はアジア戦限定。世界のトップクラス相手では、大きな穴の空いた網で魚を捕るようなものである。
センターバックは吉田と今野。大問題は遠藤、長谷部の両ボランチ。ここがDFでもがんばらないといけないが。若手、山口蛍の台頭が待たれるな。

 ところで、負けた腹いせか、フランスの国営テレビがGK川島を揶揄。「フクシマ効果」と。まったくとんでもないことを言うもので、フランス人のエスプリも地に堕ちたなと思ったが、考えてみると、フランスは世界でも一番くらいの原発推進国だ。フクシマの問題は、実はこの国の多くを揺り動かしているはずだと思う。しかし、自国の政策、方針を自己否定するとか曲げるということはしないしできないお国柄。でも、不安は隠しようがない。そうした心の葛藤があるいはこういうかたちでどす黒く出てしまったのではないかとも推測できる。ま、そんな分析をしたところで何だということもないのだが。

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