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食べ物外交

 世界的な人気のマンガ「葬送のフリーレン」。最近戦いのシーンが多くなって残念だが、まあ少年誌だからしかたあるまい。

 フリーレンは民間魔法を集めるのが好きで、その魔法書を交換に仕事を受けることが多い。その魔法というのが珍妙で、「紙飛行機を遠くに飛ばす魔法」「背中のかゆいところを掻く魔法」「パンケーキを上手にひっくり返す魔法」といったものなのである。笑っちゃうのである。

 その中に「卵を割ったときに殻が入らなくなる魔法」というのがあった。これは自分的にとてもウケた。そういえば・・・そういえば、昔は卵を割ると殻がよく混入したものだなあと想起したのである。でも、最近はそういうことがほとんどないなあ。そんな魔法があるわけじゃないから、これはたぶん卵の生産業界が改良を重ねた結果なのだろうなと思う。殻の微細なヒビを感知する機械までつくったりする人たちであるから、これもそうであるに違いない。僕の割り方がうまくなったからという理由ではないなと。

 そんな日本の卵が「物価の優等生」と言われたのはもはや昔日のことか、今は1~2年前よりも50%くらい高い。週に2日か3日はスーパーに行き、しかも練馬にある3店を使い分けている僕だが、何も僕が言うまでもないね。ついでだが、アジフライなんか倍になってるぞ。

 卵の値段もそのうち何とかしてくれるんじゃないかと思っているのだが、なかなかそうはならないね。とくに「液卵」という発明があったときいてから、もう随分と経つように思うのだが、まだ店頭で見たことがない。「液卵」とは卵の中身を密封した商品で、消費期限が2年ある。鳥インフルなどの非常事態があっても価格が変動しないというスーパーな発明なのである。でも、普通の卵よりも高いようだ。まだ生産数が足りないのだろうか。業務用や、輸出には最適かもね。

 それにしても、卵の殻といい液卵といい、日本の技術は「かゆいところ」にまで手が届くなあ。これこそが日本の「魔法」なのかもしれない。

 卵料理となると、ぼくはやっぱり卵かけご飯(TKG)がいちばんいいかな。生卵じゃなくて、半熟の目玉焼きでもいいね。次に好きなのは「ニラ玉」かな。炒めたニラを卵だけのが好きなのだが、最近はだし汁に浸かったものが多いのでがっかりすることが多い。だしまき卵焼きは好きなんだけどな。子どものときはオムライスが好きだったように記憶しているが、大人になってからはほとんど食べたことがない。オムライスよりも天津丼のほうがいいかも。ああ、タイカレーのプーパッポンも大好きだ。

 日本のような新鮮な卵を食べたことがないからか、訪日観光客はみな日本の卵料理を絶賛する。有名なのはコンビニの卵サンドである。来日するとすぐさまこれを食べたがるようだ。われわれ日本人からすればどうということもない食べ物だが、やっぱり卵の美味さが違うのだろうね。ある外国人は、この卵サンドにやはりみなが絶賛するコンビニチキンをはさむことを思いついた。そしてこれにかぶりついて美味しいと喜ぶ。

このVTRを観た日本在住の外国人が言った。

「これは親子サンドだ!」

 

 さて、高市発言で中国との関係が悪化した頃、たまたまTVで観たのが中国の日本大使館による接待の様子だった。中国の要人を招き、日本料理でおもてなしするというものである。上の方ではあんなにバチバチやっているのに、ここの様子は平和な感じだった。何というか、美味しいものを食べることは万国共通で慶事に等しいのではないか。中国の日本大使館で抱えている料理人はかなりの腕前らしい。

 うまい料理、腕のいいコック、これはとても重要な外交手段なのである。

 古墳時代、あるいは奈良時代。ヤマト政権あるいは大和朝廷は、隼斗のいる南九州や、蝦夷と呼ばれた東北地方をも制圧しようとしていた。基本は武力によるものなのだが、簡単には屈しない彼らに対して、ときに温和な懐柔政略も用いられた。そのひとつが料理なのである。

 景行天皇から雄略天皇、当時、天皇の遠征の際には腕のいい料理人が必ず同行していたのだが、天皇の食事担当というばかりではなく、敵国との食事会を開いて美味しい料理を振る舞うという目的があったのだそうだ。彼の地などでは到底食べることのできないうまいものを食べさせる。こんなにうまいものを食べているのかと感服させるわけである。そして、これはとてもかなわないと戦いを放棄させるわけである。

 そういうことってあるかもね。日本以外の国だと、たとえば美術館とか行くとこれはすごいなと思うことはあるが、食べ物にかんしてはどの国も大したことないなと思える。一方で、訪日外国人のユーチューブなんかを観ると、みな日本で何かを食べるたびに日本に屈服しているようにも見える。

 食べ物だけじゃなく、街並みの綺麗さ、人々のマナー、咲き誇る桜、日本の多くのものを観ては感服しているわけである。こうしたことは日本に対するリスペクトとして積み重なり、それは友好の礎となる。

 料理とは、外交にとって大きな武器となる。友好にとって大きな架け橋となる。日本は、世界でも日本料理というひじょうに貴重なアドバンテージを持っているのだった。

 ところで、ラーメンや回転鮨とかではなく、味覚障害に等しい外国人たちに日本料理の神髄を教えるような店を誰か開業してくれないだろうか。

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