菅野所長のエッセイ:熊野町を勝手に応援する

 女子サッカーU-20、ドイツのあまりの強さに唖然呆然。日本だって弱くないんだけどねえ、スピード、当たりで圧倒された。攻撃は大したことない感じもしたが、デフェンスが強い。日本はやはり懸念の守備陣がどこか綻ぶ。ひたすら攻撃的チームを目指してきたからしかたないのだが、今回は、守備も大事だということが学習できればいいのだろう。 まるで北京五輪で負けたときのなでしこのようだな。打倒ドイツ、アメリカと、上の世代と同じ道をこれから歩むことになる。

 それから、男子サッカーもそうだが、世界のチームは、最初から100%の力を出して攻撃してくる。日本のスポーツでは、最初は様子見とか言ってのんびり構える習慣があって、サッカーもどうもそこから抜け出せない。で、最初に圧倒されて、デフェンスラインが下がってしまうことが多い。そろそろ最初の10分以内に一撃必殺の点を取るくらいの気持ちにならないといけない。ま、国民性的には向いてないのだが。

 男子強化試合のUAE戦は後半しか見られなかった。これも冴えない試合だ。UAEのほうがパス回しが全然上手いぞ、どうなってんだ。シュート力がないから助かったけど、後半だけでも0-2で負けてもおかしくなかった。ま、選手を試す試合ではあるが、成長の跡が見られる吉田以外のDF陣には困ったもんだ。伊野波は遅いし、水本は相手が仕掛けてくると下がるしかできない。内田に替わる右サイドバックは駒野でいいが、センターバックがなあ。僕の考えでは、今からでも酒井宏樹をCBとして特訓させるのがいいと思うのだが。

 水、木は広島に行った。熊野町というところに行ったのだが、町役場にいきなりなでしこの銀メダルおめでとうの旗が。はて、ここの出身者でもいたのかなと思ったが、さにあらず。町長さんの話によれば、以前、なでしこメンバーが町名産の化粧筆をプレゼントされたことがあって、それは僕は何かのニュースで見たがそれがこの町とは知らなかったが、それ以来、女子サッカーやサッカー協会とのつながりができたということだった。

 あとで調べると、国民栄誉賞の副賞として熊野筆が選ばれていたのだった。もともとは熊野は書道の筆が主流だったのだが、化粧筆をつくるようになって、これが世界的にも有名なものになった。近々あるサッカー協会のパーティへの招待状も届いていると、町長さんはニコニコ顔だが、ご多分にもれず、過疎化の時勢にあって、町をどう良くしていったらいいのか、それを日夜考える身であれば、こうしたチャンスはぜひ生かしたいのだろう。

 町長さんはなでしこのメンバー誰か一人でもいいから呼んで、子どもたちに銀メダルを触らせてあげたいと言うが、なかな実現は難しいらしい。あきらめずにオファーをしていればいつかは実現しますよと僕は言い、なおかつ日本にいるメンバーよりも海外組が帰国したときのほうが可能性が高いとも、偉そうに助言した。そうするとドイツ、フランクフルトにいる熊谷あたりに今からオファーすればいいと思うね。

 何でそう思うのかというと、僕自身そんなたいしたものじゃないけど、長年いろんなところかたら呼ばれる身ではあるので、呼ばれる側の気持ちは分かっているからである。で、ギャラとか日程とか都合というものはあるにはあるが、結局は呼ぶ側の熱意とか情熱にほだされることがほとんどなわけです。昔、あの河合隼雄先生を講演で呼んだことがあって、河合先生の周辺を中心として驚かれたことがある。「ツテも何もなさそうな菅野が何であの超多忙な河合先生を呼べるんだ」と。確かに、僕もまだ30代だった。でも、河合さんも「お金とかそういう問題じゃないんですよ」と言っていた。
 そういうわけで、いつか熊野町の子どもたちが銀メダルを前にして自分もサッカーがんばろうと思う、そんな日が来ることを祈る。

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