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地上の星

 このところ、スポーツ界での日本人の活躍がすごい。メジャーリーグ。ドジャースの大谷は言わずもがなで、山本も本来の力を見せているし、カブスの今永は驚異的なピッチングだ。今永は相当やると思っていたが、まさかここまでとはね。

 問題はサッカーなのだが、三苫がずっと故障中で、チームの失速とともに久保もやや精彩を欠いている現状だ。チャンピオンズリーグでのレアル・ソシエダの戦いを観ていると、やはりこのレベルにはちょっと足りないと感じる。したがって久保にももうひとつレベルアップしてもらわなくてはね。レアル・マドリーは強くはあるが、サッカーが合わない感じがするので、バルサがいいんじゃないのか。監督のシャビも熱望してるみたいだし。

 男子U-23アジア杯は日本の意外な優勝。ここの立役者は藤田チマ。現在ベルギーリーグ所属だが、今回の活躍を観れば、早晩もっと大きなクラブから声がかかるだろう。ただし、さらに上のレベルでどれだけできるかは分からん。

 一方で、女子のほうは好状態。長谷川は最近厳しいマークに会っているが、あいかわらずすごい。もしもマンチェスターシティが優勝したらMVPでおかしくないし、何ならバロンドールでもいいのだが、FWの点取り屋ショーの印象のほうが強いかな。この二人がシティの柱であり、世界にはこんなすごい選手がいるという代表格の二人だ。このショーがイギリス人だったら、オリンピックもW杯もぜんぶイングランドが持って行ってしまうだろう。しかし、彼女の母国はジャマイカなのである。ショーには気の毒だが、だから日本にも活路がある。

 そしてU-17には将来のスターがいる。いま行われているUー17アジア杯で日本はタイに爆勝しているのだが、途中出場2得点のFW津田愛乃音がすばらしい。16歳、身長171センチ、今まで日本にはいなかったタイプ。惜しいな。オリンピックには間に合わない。2027年W杯には間に合うが、長谷川がどうなのか。ちょうど30歳だが、モチベーションを保てているのかどうか。

もう一人、眞城美春もなかなかだし、女子サッカーの将来は明るい。

 と華やかな活躍を見てきたが、当然僕らの目や耳に入ってこないものもたくさんあるんだろう。前回、宮崎の姓名の触れたが、その中でも特異な「興梠(こおろぎ)」という姓にかんする話に移る。

 高千穂出身の工藤寛さんという人がいて、彼は九州におけるツキノワグマの生態について興味を抱いていた。もちろん、ある頃から九州のツキノワグマは絶滅してしまったのだが、彼はなお生き残りがいないかを気にかけていた。1987年のあるとき、山間部で熊が捕殺されたという連絡が来たので、そこに急行して殺された熊の検分をしたところ、遺伝子から見て、九州に住んでいる熊ではなく、どこからか移動してきた個体である事が判明した。

 がっかりした彼がうっそうとした山間を歩いていると、何かに足を引っかけ転んでしまった。木の根っこでもなく、地表に出た石でもない。それは土に刺さった何かの金属片だった。よく調べると、それは飛行機の残骸だった。はて、こんなところに飛行機が落ちたなどまるで記憶にない。ならばこの残骸は何なのかと、さらに調べてみると、何とアメリカ軍Bー29の機体の一片だったのである。だとすれば、日本を爆撃したときに墜落したものなのか。

 里に戻って事の次第を話すと事情はすぐにわかった。広島、長崎に原爆が落ち、日本が降伏。日本をアメリカが占領することになり、その指揮官であるマッカーサーが来日するころ、日本(たぶん福岡)にあるアメリカ兵の捕虜収容所に向けてB-29が一機、食料等を積んで飛来する。しかし、何かの故障か事故かでこの地に墜落したのだった。そのことは当時の新聞にも載っていて、アメリカ人乗員は全員死亡、残骸などもあらかた回収されたとのことだった。それでも粉々になった機体の一部はいまだ山中に潜んでいてもおかしくはない。

 遙か昔のことでもあるし、そんなことがあったとは知るよしもないのだが、工藤さんはこの出来事をもっと知りたいと思い、自分なりのリサーチを始めた。すると、当時この事件を伝える空軍の報告書を読むと、”ChihoKorogi”という女性の名が何度も出てくるのである。コオロギチホ、興梠チホ、興梠千穂、占領軍のなかで一目置かれているらしいこの女性はいったい何者なのか? 工藤さんは当時を知る人たちを訪ね、この人物の正体を突き止めていく。

 とまあ、宮崎、高千穂の文献でとんでもなく面白いのがこの本。とにかく、ツキノワグマの話から始まっての物語の入りのすごさ、映画やドラマにしたいね。実のところは、入りがすごすぎて、最終的にはやや竜頭蛇尾的なところもあるけど、それでも十分に面白い。

 興梠千穂は、このあたりの旅館を経営していた。そして墜落事故の調査や回収に来たアメリカ軍の定宿となった。しかもアメリカ軍が来る前に、目鼻の聞く千穂は人海戦術で落ちた物資をあらかた回収してしまったようで、それで幾ばくか儲けてもいたらしい。ときにアメリカ軍のジープの助手席に乗って村を走り回る千穂の姿がかっこよかったと、当時少年だった老人の談があったり、この時代の女性としてはとんでもない人、女傑であった。敗戦後には、知り合いの戦犯の助命をマッカーサーに直訴したりもする。晩年はある炭鉱から金が出ると信じて、最後には坑内でたった一人ノミを振るったということである。

 歴史の舞台にはまるで登場してこないけど、世の中にはこういうすごい人がたくさんいるんだろう。そ宇いう人物に一筋の光を当てようとするこの工藤さんもすごいけどね。

「夢に生きた高千穂の女傑」(鉱脈社)

 

 今週はヴィクトリアマイルだなあ。わりと好きなGⅠだ。本命は⑩ナミュール。これは強い。ドバイ帰りで底が順調ならいいが。これに対抗するのは⑥マスクドディーヴァだけ。この2頭の馬単ボックスに大きく張ろうか。

先週のNHKマイルも問題なく当てたが、配当が安い。今週も堅そうだけどしょうがない。

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