昨夜、寝る態勢を整えたところで、イングランド対コンゴ戦が始まろうとしていた。さすがにこれはイングランドの楽勝だろう、前半だけ見て寝ればいいかと思ったのだが、何ということか、開始数分、一瞬の隙を突いてコンゴが先制である。まあしかし、時間はたっぷりある。イングランドとしては、少なくとも前半で追いついてしまえばこっちのものと考えていることだろう。そしてイングランドの攻勢が始まるのだが、コンゴのGKがすごい。神がかり的なセーブの連発でゴールを割らせない。イングランドが圧倒しつつも、前半は1-0で折り返しだ。
んー、これはデジャブか? 月曜にもまったく同じような展開と光景を見たぞ。佐野海舟の見事なゴールで先制し、ブラジルの猛攻を浴びながらも鈴木彩艶のスーパーセーブのおかげで1-0で前半を終えた、あれと同じじゃないか。となると、この試合もイングランドが逆転するのだろうか? もう寝ることも忘れて試合に見入ってしまった。
さてイングランドだが、ブラジルと違って隙が多いチームだと感じた。ああ、これなら日本が勝ってしまったのも納得だなと思う。けれども、あのときイングランドには大黒柱の点取り屋ハリー・ケインがいなかった。でもこの試合ではいるんだよねえ。ヨーロッパを代表する怪物の一人が。
コンゴもよく頑張るいいチームだが地力の差はいかんともしがたい。GKのおかげで零点に封じられていたイングランドだったが、ケインの巧みなヘディングでついにゴールをこじ開けた。そして、驚きは2点目のシュートである。終了に近づいた時間、ゴールに背を向けてパスを受けたケインは、思い切り左に反転、けっこう大きなタッチでボールを流し、そこに目一杯踏み込んで右足でシュートを撃った。えー、それは無理があるんじゃないのと思ったが、ボールはゴールの中央近くに突き刺さったのである。もうびっくり。『キャプテン翼』でいえば、翼君のような巧みなシュートではなくて、日向のような剛のシュートである。メッシやエムバペとも違う、圧倒的なフィジカルモンスターだ。
と思いきや、リプレイを見てさらに驚いた。ケインは何とインサイドでボールを蹴っていたのである。あんなギリギリな態勢なら、普通はインステップになるでしょ。インサイドで蹴るというのは、つまりは正確に当てる,方向を出すということなのである。だからしっかりと枠内を捕らえることができるわけだが、普通の選手には絶対にできない技だよね、これは。フィジカルだけじゃない。ものすごい技術でもある。やっぱり世界は広くてすごい。あのときもしケインがいたら日本がイングランドに勝てたかどうかひじょうに怪しい。
結局、世界のトップクラスと日本では大きな差がある。ブラジル戦は数字こそ1-2の惜敗に映るけど、内容は完敗も完敗だった。泣くこともできないほど、力差がありすぎた。刀折れ矢尽きるとはこのこと。疲れ果てた選手を交代させるたびにむしろ火力が落ちるばかりで、ただ敗戦のそのときを待つばかりだったもんね。
死んだ子の歳を数えてもせんないが、三苫と南野、遠藤、久保がいればあるいはもっと善戦できたかもしれないけどね。それなら、伊東や前田を交代要員に回すという、いつもの戦い方ができたろう。しかし、結局のところ、最も大事なところで、長友を始めとしたヘンテコな招集のツケが回ってきたよね。全員を出場させるというのも何だか記念受験みたいな感じというか、高校野球の監督が、負けが決まった試合で、補欠のキャプテンを代打に出すというのと同じだな。体調不良で唯一不出場だった町野を交代に出したときにそれは極まったね。
長友とか塩貝、町野じゃなくて、守田や佐野航大なんかを選出していれば、あそこまで苦境には陥らなかったかもしれない。まあ、それでもブラジルに勝つまでには至らないけど。
「優勝する」とか儚い夢だったよね。それは、森保監督よりも、戦った選手が一番分かっていることだ。彼らはみなヨーロッパのトップリーグでやっているからね。その違いは分かっていても、日本のチームワークがあればひょっとしたらと思っていたことだろう。でもそれも粉々に打ち砕かれた。
いつも冷静沈着、鎌田はこう言う。
「サッカーが国技になるくらいじゃないと世界一にはなれない」
さすが鎌田だよね。今やプレミアの中堅チームの中心にいる鎌田だが、彼のスタートはサガン鳥栖というJ2の貧乏球団から始まっている。サッカーがどれほど人々の間に根を張っているものか、エリート揃いの代表の中で、その落差を誰よりも知っているのである。そして考えるまでもなく、ブラジル、アルゼンチンなどW杯の優勝国はみなサッカーが国技だ。それに次ぐ優勝回数を誇るイタリアだが、近年の弱さは、世界一のリーグを擁するバレーボールのほうに国民の関心が寄ってしまったことが大きいのではないかと言われている。そして、日本ではあいかわらず野球の人気が高いし、サッカーばかりでなく、国民の関心はいろんなスポーツに散らばっている。それが悪いわけではもちろんないが、そういう現状の中で「W杯優勝」などと言うのはいかにも大言壮語、ある意味不遜ではないかと思わないでもない。
ああ、しかし、また4年後か。僕は生きている間に「ワンピース」最終話を読むことが望みなのだが、こちらは可能と思えるけど、W杯優勝はないな。でもベスト4に入るところを見てみたいかな。4年後、確実にいるのは鈴木彩艶、佐野海舟、鈴木淳之介かな。藤田チマ、鈴木唯人、高井幸大(こうた)がここに入るかどうか、佐野航大(こうだい)は間違いないと思うけど。うーん、これでは苦しい。誰か救世主的な若手が出てこないとね。
