ご予約専用フリーダイヤル
0120-556-240

われわれの祈り

 昨日は、宮崎や鹿児島を中心に大きな地震があったが、被害が小さいようで何よりだ。しかし、南海トラフとの関連性が強いとされるので、今後とも十分に注意してほしいものである。とくに宮崎はこうした問題には関心が薄いのではないかとちょっと心配している。

 僕の心配には理由がある。高校になると「地学」という授業があるのだが、必須の授業ではなく、その開設はまちまちである。「地学」の開設率を見ると、宮崎は47都道府県で最下位なのである。開設している高校は一校のみ(4%)。それも、半期の授業で、通年はゼロだ。教育委員会や先生方が地学に関心がないのだろうか、当然生徒たちも身近には感じないだろう。

 今日は長崎の平和式典の日だ。

 が、イスラエルを招待しなかったことで、アメリカが圧力をかけてきた。結局、そのほかにもイギリス、イタリアとかオーストラリアなども欠席だと。これに対し、ネットでは長崎支持が多いようだが、僕も今回の判断は当然だと思う。ロシアやベラルーシを招待しないのであれば、イスラエルにも同様の措置でしかるべきだ。先に行われた広島市はイスラエルを招待していて「ダブルスタンダード」と揶揄されているが、これに比べて長崎の態度には一貫性がある。

 何か、国際的な圧力に負けない日本の姿を初めて見たような気がするな。唯一の被爆国である日本という国の存在意義が問われているよな。何しろアメリカは唯一の原爆投下国。そういう国の圧力、言ってみれば逆ギレに屈してはならない。

 とは言え、主要国から参加拒否が起こるというのは、直近のイスラエル問題という以外に、少なからず原爆や戦争の記憶が風化していることを意味しているのだろう。それは想像に難くない。いつの世も、どんなことでも、痛みの記憶を引きずるのは被害者だけだからだ。

 アメリカは、広島、長崎に原爆を投下する前に、リハーサルとして日本の各地に「パンプキン」と呼ばれる模擬爆弾を49発投下し、1700人の命を奪っている。アカデミー受賞受賞映画『オッペンハイマー』、僕はこれを観ていないが、調べてみると、映画の中ではそのことは描かれていないようだ。つまりは、自国に都合のよい歴史を映画として刻んでいるのだろう。

 われわれ日本人は韓国人とは違うから、いつまでもそうした過去を恨んではいない。戦時のことだからしかたないと思っている。けれども、われわれが経験した悲しみや苦しみを忘れないでいて欲しいと願っている、それだけだ。平和式典の祈りとはそういうものであり、とりわけアメリカはその声を聞くべきではないのか。

 と僕は思うのだが、ひょっとして『オッペンハイマー』のアカデミー受賞によって、アメリカはヒロシマ、ナガサキの問題は解消されたと考えているのかもしれない。もう80年、風化もここに極まれりか。たぶん多くの国が「もうこの式典に付き合わなくてもいいんじゃね」と思っているのかも。

 こういうことがあるから、あのとき僕は強く主張してたわけだよね。オリンピックを誘致するなら、広島(長崎共同開催)だと。あるいは仙台だと。それなら意味があると。東京オリンピックには大反対だが、それなら大賛成だと。もしも3年前に広島・長崎でオリンピックが開催されていたなら、今回のようなことはなかったはずだ。広島だってイスラエルを招待しなかっただろう。そして、そのことに文句をつける国もなかっただろう。世界は日本を平和のシンボルとして捉え、目指すべき国のあり方を見出すような国になることもできたかもしれない。

 オリンピックでの選手のあり方もまた、世界とのかかわりという側面から見たいものだ。

 日本で生まれた柔道であるから、日本の柔道は世界の範たるものであることを旨としてきたはずだ。しかし、どういう理由があるにせよ、今回一部の日本選手に見られたみっともない行為は、それを捨てたということなのだろうか。日本の柔道連盟がそれらを「遺憾と思う」「厳重注意」と言わないのはそういうことなのだろうか。それが残念でならない。しかも、ああいうことは「武道」という狭い枠ではなく、普通のスポーツマンシップの問題である。

 結局、スポーツとかオリンピックの意義っていうのは何なのかということに行き着くのかな。広島や長崎と関連づけるけど、日本が世界を啓蒙してほしいと思うわけよ、僕は。国威を発揚して欲しいわけじゃない。

 たとえば、W杯でのサポーターのゴミ拾いなんてのは世界中に発信されて、少なからず世界に影響を与えているよね。そういうふうに日本人ならではのこと、日本人じゃないとなかなかできないことっていうのがある。そして、それは大仰なことではない。われわれが日常から大切に思っていることに過ぎない。ただそれをオリンピックという場においても捨てずにいて欲しいと思うだけなのである。

 いろんな事が起きるので、なかなか書きたいことが書けないなあ。

最初に戻る