菅野所長のエッセイ:はやぶさの話

 いやあ、この疲れは相当のものだなあと、昨日の帰りによくわかった。しかし、ひじょうに忙しいのは今日までではないかなとあまり根拠のない安堵感もあるのだが。

 とにかく先週である。3連続の研修会の次の日には九州に行ったので、1週間空けてしまったしわ寄せがどうも今週にきているらしい。そうだった、長崎から帰るときには予定の飛行機が整備が進まずに欠航してしまうというトラブル。何時間か遅れでANAからJALになり、それに乗れたのはいいが、せっかくいい席を取っておいたのに、一番後ろの最端である。これでもお金も何も帰ってこない。例によって1000円の食事券が渡されるだけ。天候不良でもないのに、まったくもうである。何年か前にも大分から帰るときがそうだったが、どうにかならんのかねえ。

 まあしかし、なんとか気力が持つのも川口さんのおかげである。どこの川口さんかというと、JAXAの川口淳一郎さん。あのはやぶさのチームリーダーである。研修会で特別講演に呼んだのだが、いつもはこれをサボる僕が珍しくも早起きして聴きに行ったわけである。この講演が大変によかった。
 あまり人の話を聞かないし、聞いてもあまり感心することがない僕なのであるが、生まれて初めてというくらい、この講演には心が震えましたね。まあ機会があったらぜひ行ってみるといいのではないかと思う。勇気とか力とかが湧いてくる感じである。今のご時世そういうことってあまりないもんね。
 
 川口さんはしきりに自分は科学者じゃなくて工学者だと言う。これは机上の論理をはたらかすのではなくて、つねにはやぶさのミッションを遂行する、プロジェクトを進ませることに全力を注ぐということだ。考えるよりも行動ね。行動に密着した知恵ね。映画「アポロ13」で、機内にあるがらくたのようなものを組み合わせて、ハッチだったかをふさぐシーンがあったでしょ。はやぶさの飛行もああいうトラブルと対処の連続だった。
川口さんは「トラブルは勲章です」と言う。なぜなら、燃料漏れを起こしたのもチャレンジした結果だからだと。何もしないでそのまま帰還するだけなら燃料漏れなど起こさず、何もなく帰れたらしい。
 一番心に残った言葉は「セカンドベストに甘んじる」というもの。ファーストベストにこだわっていたらプロジェクトというものは進まないと。はやぶさのプロジェクトもつねにセカンドベストを選択したようだ。しかし、これが僕がよく言う「自分のできることをする」につながっていると思う。僕が思うにこういうことは実は「妥協する」ということではまったくない。セカンドベストの選択こそが実は最良、最善の選択なのだということ、それが現実を受け容れるということでもある。
 川口さんは何回も「われわれは運がよかった」というが、それもこれもつねにそのときできうる決断と選択を繰り返したからだと思うね。つまり、もっといい選択があると思うのは、実は幻想みたいなもので、「セカンド」とは言うものの、それが最上ということなのである。

 で、ジャパンカップダートも儲からないながらも当然当てて、明日は阪神ジュベナイルS。わりと得意な牝馬のGⅠだが、かなり混戦。当日のパドックを見ないとどうかだが、今のところでは⑯エピセアロームと⑱サウンドオブハートとの3連単マルチか。相手は、⑤ファインチョイス⑩アナスタシアブルー⑪アイムユアーズ⑫ラシンティランテ⑬ジョウドヴィーヴル⑮トーセンベニザクラ。まあ、今日の阪神の新馬戦で大きいところを当てたし、競馬眼の調子は悪くない。これも川口効果か。

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