菅野所長のエッセイ:あの頃と今

 今週は後半になっていろいろあったな。

 やっぱりイチローの4000安打か。すごいなあとは思うが、今のイチローは観ていてもあまり面白くない。”鉄人”衣笠とかもそうだったが、長くやっていればできる記録というのは退屈である。この3年くらいはイチローはすごいと思えないからなぁ。

 今なら、レッドソックスの抑えのエースに成り上がった上原のピッチングが断然スリリングである。そしてダルビッシュ、黒田がいるし。上原も36,7歳か、黒田はイチローよりひとつ下、それが完全にチームを支えている。今のイチローはそういう存在ではない。マン-Uの香川みたいなものだな。年間3割、200安打でもやらない限り、今後の記録はおまけみたいなものだろう。僕はイチローが好きだし、尊敬しているが、今のようなイチローを観たいとはあまり思わない。日本にいた頃、そして10年前くらいのイチローと今のイチローはもう全然違うんで。

 それから、4000本打ったのは3人目ということだが、先日の世界陸上男子3段跳びでは、陸上史上3人目の18メートルジャンパーが出た。僕はその瞬間を見ていたが、同じ3人目でもこっちのほうが断然すごい。世界記録はジョナサン・エドワーズの18メートル29、これは別格、遠く及ばないけど。
 男子走り高跳びでは、世界記録の2メートル46への挑戦もあった。ソトヨマル(キューバ)の2メートル45は、20年間破られていない。こちらも失敗には終わったが、挑戦するだけでも久しくなかったことだ。こういうシーンをみると、エドワーズやソトヨマルの在りし日を思い出すなあ。
 とにかくマイナースポーツの野球と陸上だもの、どっちが価値があるかは言わずもがなだ。世界陸上のせいで「半沢直樹」が観られないと憤慨している人もいるだろうが、そういうことなので許してやって欲しい。

 宇多田ヒカルの母、藤圭子がどうも自殺のようだ。この人の人生も波瀾万丈で、近年では精神的にだいぶおかしい感じになっていたようだがね。
藤圭子というと、その不幸な人生が言われるが、昔あれはほとんど作り話だったと暴露されてた。デビューさせるときには、わりといいところに住んでたのに、わざわざ4畳半のアパートに引っ越しさせて、貧乏を演出。インタビューでも話をしちゃダメとか指示があったと。本人はそれはまったく違い、明るくておしゃべりな子だったわけで、そういう嘘ばかりの世界にいることに耐えられなかったから早々に引退しちゃったんだろうと思うが、当時藤圭子の裏側を知って、芸能界とかはそういう世界なんだな、売るためにはそこまでやるんだと自分の中に刻み込んだ例ではあった。

 それはやっぱり芸能界に限らない。原発事故のその後の深刻さは前にもここで言ったが、真実はほとんど明かされていないようだ。再稼働はもちろん、改憲とかやってないで、本腰を入れて対応しないとどんどん大変なことになっていくぞ、これは。何だかなあ、ひょっとして第二次大戦以来の国家的な危機と言ってもいいんじゃないか。みんな戦争のことなんて忘れてたり、知らないからね。

 戦争については当然僕も知らない。しかし、思い起こせば、昔あちこちで公害が発生し、とても人が住めるような環境じゃなくなりつつあったとき、あれはよく挽回したよね。自動車メーカーなど製造業のブーイングをはねのけ、10年20年かけてね。今の若い人は当然知らないよなあ。約40年前、東京では隅田川や中川が死の川だったり、多摩川はいつも泡立っていたり、街中がくさかった四日市もそうだったが、東京などの大都市はみな、スモッグに覆われて、遠くからは霞んで見えないくらいだったのだ。このままでは地下都市計画を進めるしかないなんて話さえあったんだから。

 何だかんだ言ってもその頃は、儲かればいいという企業原理を抑制し、矯正する力が政治にあったということだろうな。あるいは、1ではなく99のための政治理念というものがまだ生き残っていたのかもしれない。あの頃と今とで何が違うんだろう。同じ自民党政権なのに。

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