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いくつかの懐疑

 野球ワールドシリーズの盛り上がりは大変なものでしたね。アメリカでも破格の視聴率だったらしい。残念ながら僕は生で観ていないのだが、後で嫌というほどVTRを観た。あんなに面白いものはないというくらいドラマチックな試合だ。僕個人としては、あの近鉄の優勝以来の興奮度である。

 その立役者が日本人というのも興味深いところだ。大谷翔平がアメリカ野球に「礼節」を持ち込んだとすれば、山本由伸が示したものは「献身」かな。こんなふうに大々的に日本の精神文化を示すことができたのは、どのような外交にも勝るのではないか。

 昨年、山本はアメリカで1球も投げていないのに超高額な契約をしてドジャースに入団した。当時、アメリカのコメンターの中にはこれを激しく批判した者もいたのだが、今回の大活躍を見て潔く謝罪している。そういう謝罪は気持ちいいよね。アメリカ人だから尚更かな。

 一方、10年前、虚偽告訴された草津市長の件について、当時この虚偽の訴えを盲目的に信じて市長を糾弾した社民党の党首である福島瑞穂、先日ようやくこの件について謝罪をしている。まあ、裁判の判決が出てからというステップを踏んだのであろうが、やはりもっと早く謝るべきだったよね。10年も経てば事件も風化し、この謝罪についてもマスコミは大きく取り上げない。そんな思惑もあったとして、その作戦は成功とも言えるのだが、一方で社民党が支持者を喪失していった理由もこういうところにあるのかなと思う。ま、ダメダメな政党であることは確実に証明したかな。

 と、アメリカがドジャースの優勝で湧き立った日、競馬ではアメリカ最大のレース、ブリーダーズカップ(BC)が行われ、その最大のレース”BCクラシック”で日本馬フォーエバーヤングが優勝した。フォーエバーヤングについては、世界一の賞金レースに勝ったときにこのコラムでも紹介したのだが、今回、やはりボブディランの名曲「フォーエバーヤング」から名づけられたことが分かった。ボブディランはこれっぽちも関心ないだろうが、僕はとても嬉しい。

 BCクラシックはダートのレースなのだが、世界的な格付けからすると凱旋門賞に匹敵するレースである。で、矢作調教師は「サッカーでW杯に優勝したみたいな(気分)」と発した。歓びは分かるが、それは調子に乗りすぎである。W杯の加盟国は国連加盟国よりも多いのだ。一方、競馬は、アメリカ、日本、フランス、イギリスが大国クラス、アイルランド、オーストラリア、アルゼンチン、カナダ、香港くらいが中堅クラスという程度。野球の普及度並みなのである。サッカーと比べちゃいけない。そもそも女子サッカーなんかだと、現在では北朝鮮がいちばん強いかもしれないわけで、国のGNPとは無縁なところがすごいのである。

 熊の被害が相次ぐ秋田県、このたび自衛隊が支援に入ることとなり、小泉進次郎が初仕事(?)、その発表をしていた。でも、どうなんだ? 自衛隊の場合、後方支援のみで、別に駆除に当たるわけじゃない。こんな調子で自衛隊が便利屋として使われるのは、何か違うんじゃないかと思うのだが。秋田県の知事は、前に自衛隊にいたから気軽に要請することができたんだろうがね。でも本来の役割ではない。小泉も防衛相になったんだから、このあたりのこと少しは考えないといかんよね。

 治安という意味で言えば、そこは当然警察でしょ。自衛隊じゃないでしょ。ところが、警官の銃では熊に対する殺傷能力が不足だという。ということで、ライフルなどの訓練が行われるらしい。熊対策に警察が機能するようになるまでにはいま少し時間がかかるだろう。それまでに悲劇が起こらないように努めてほしいものだ。これまで子どもが襲われていないのは奇跡のようであるし。

 もっとも1960年代から70年代にかけては、熊対策で自衛隊が数多く出動していた。殺傷能力となると、やはり自衛隊のほうが警察よりも上だからだ。相手はヒグマが多かったしね。そして、昔は自衛隊の出動条件が緩かったことが何よりも大きい。今は時代が違うんだよね。

 で、農水相としては何もできなかった小泉の後、元農水官僚の鈴木大臣の評判がいい。さすがに小泉とは違って農政に通じている。そして現状の米対策を否定し、逆の政策を進めようとしている。

 確かに理路整然としていてもっともなことを言っているとも思うのだが、何というか、総論的、大枠を論じているだけのような気がする。結局のところ、米の価格が下がるのには時間がかかると言っているようなのだ。時間がかかるのなら、誰にでもできるんじゃないの? この患者さんが治るのには時間がかかります、このクライエントさんの場合は時間がかかります、藪医者や藪カウンセラーの言うことと同じじゃないの? 農政どっぷりのあなたがJAと戦えるの? そもそもあなたの場合、JAが票田となっているのはほぼ間違いないでしょ?

 

 まあ、再生二期作という光明もあることだし、農政はいい材料も多い。だから新大臣の立場も揺らがないのかもしれない。でもその答弁は、(とても優秀な)官僚の答弁そのものという感じである。世間的評価と違い、かなり懐疑的な僕であった。

「これこれこうだから米の価格は下がりません」じゃなくて、

「どんなことがあっても米の価格を下げます」なんだよね。政治家に求められる言葉っていうのは。

 しかし、そういえば、フォーエバーヤングも農水省の所属と言えるかな。

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