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菅野所長のエッセイ:今週の困ったちゃん-所長編-

今週は困った人のニュースが飛び交うなあ。

 プロ野球の統一球問題だが、あれは少し根が深い。もともとプロ野球のコミッショナーっていうのは完全なお飾りだった。一部オーナーの意向を汲むだけの。それをもう少し改めようと組織的な改革もあって、今の加藤コミッショナーになって3年か。この人は自分はお飾りじゃないぞという意識と自己顕示欲ががひじょうに高く、それゆえに独断専横になりがちなのである。その一環として、去年飛ばないボールに変更し、ついでに自分の名前までボールにつけちゃったわけだ。

 しかし、それでは試合が地味すぎて面白くないと、やっぱり一部オーナーあたりも騒ぎ始めた。で、こういう推測が成り立つ。コミッショナーとしては、一年で変更するのは面目丸つぶれである。そんなわけにはいかんと言うのは必定。とてもこの人の意見意向を聞くわけにはいかない。で、もともとお飾りなコミッショナーがいいと思っている事務局は、一部オーナーの意向を汲んで、極秘に球を改造したと。「昨日まで知らなかった」という弁は、多分その通りなのだと思う。
 マスコミも裏を知っているから、進退について質問するだけで、本質的な質問はしない。「あなたが知らないとしたら、だれがどんな思惑でやったのか?」とかは言わない。事務局も「不徳の致すところ」などといけしゃあしゃあと言うし。まあ、バカらしいことこの上ないな。

 復興庁の人間のツイート。僕はツイートをやる気もしないし、実はそういうことをする人の気も知れないところがあるのだが、まあ好き好きなんだろう。こういう失言暴言を見ると、もっと多くの人がやって欲しいと思ったね。これはなかなか高性能のバカ発見器である。政治家、議員などにはツイートを義務化させたらいいのではないかと思う。

 4月からは1日休みが増えているので、映画なんかにも行けるようになった。先日観たのは「藁の楯」。映画そのものはなかなかよくできていて、海外からのオファーがすごく来たというのもうなづける。孫娘を変態犯人(藤原竜也)に惨殺された大金持ち(山崎努)が、犯人を殺したら10億払うとネットで宣言。立派な殺人教唆だが、これが日本中を揺るがすことになる。この犯人を福岡から東京に輸送する使命を託されるのがSP大沢たかおと松嶋菜々子のコンビ。

 しかし、一般人ややくざはおろか、身内の公安や警察官までもが金に目がくらみ、この輸送が困難を極めることになる。福岡に発つ前、二人の上司は「1億2千万の人間が敵だと思え」と言う。これはスケールこそ違え、昔のイーストウッド映画のパターンを踏襲したものだ。「奴らを高くつるせ」「マンハッタン無宿」とかね。

 だからもちろん面白いことは面白いんだが、しかし、どうなんだ? そんなにみんな金に目がくらむものかね? そういう根本的な人間観はイーストウッドのものとは違う。あちらでは、どこからどう見ても極悪犯への恨みが、動機となっている。今の時代らしいのか? 中国が舞台ならかなりリアルだが。

 この映画の人間観と通じるのが、慰安婦問題の橋下発言である。「戦場で命を賭けて戦っている兵士に慰安婦が必要なのは誰だってわかる」と彼は言った。おいおい、誰だってわかるのか? 俺はわからんぞ。あんたはそうかもしれないが、一緒にしないで欲しいね。たしかに、そういう状況で女が欲しくなるのは自分もそうに違いないが(そうじゃなくてもそうだし)、でも我慢するよな、抑制するよな。一億2千万が金に目がくらみ、そして欲情を止められないと思っている、そういう人間観を持っている人がいる。そりゃ、いるのはしょうがないが、でも、むしろ少数派でしょ。別に立派な人間じゃないけど、それくらいの矜持ははあるよな。自分がそうだからといって、他の人もそうだろうとは思わないで欲しいなあと。

 でも、困った人というのは、要するにそういうふう想像力がない人なのであった。

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