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菅野所長のエッセイ:今週の映像

その後の熊本はどんどん大変なことになってしまって心配が募る。最初の震度7が前震だったなんて、これまでなかったことだからなあ。とくに阿蘇周辺。ずいぶん前に東海大学の阿蘇キャンパスに呼ばれたことがあるし、2年前にも行ったし。

記憶違いかもしれないが、熊本のあたりは火山灰地なので舗装道路以外には水たまりができないと聞いた覚えがある。阿蘇山は新しい火山だからまだそんなに地盤が固まっていないのだ。そうした地盤については僕は経験上よくわかる。

大雨が多いのにこれまで阿蘇に土砂崩れがなかったのは、水はけの良さが尋常でなく、結果山に水をためないという機能を果たしていたのだと考えられる。市内にもある阿蘇からの湧水は、富士山のように何年もかけてわき出ているというものではないのではないか。

しかし、こうやって一度地盤が緩んでしまったからにはこれからはひじょうに危ない。残念ではあるが、阿蘇の山間部に近い方々は当面は避難していたほうが安全だ。山の斜面が崩れて土石流になると、遮るものがなければ1キロは平気で来るからね。山裾から2キロ以上は離れていたほうがいい。昨日の雨では何とか保ったようだが、台風シーズンもあるしね。

さて、震災にかんするツイッターやブログでの発言が炎上するという「不謹慎狩り」というのがあるらしいが、そんな文句ばかり言ってないでお前が行動しろということだよね。芸能人とか有名人がやることは、一部を除けば、そりゃ売名に決まってるんだからいまさら文句を言うことでもない。売名とは言っても高須クリニックとかスケール大きいし。振り込み書を見せるのは小さいが。

まあ、アメリカなどではそういう派手なことをやるのがセレブっていうものだという雰囲気がある。昔、ゴルフトーナメントが大雨で開催が微妙になったとき、クリントイーストウッドは、自家用ヘリコプターを使ってコースの水を飛ばそうとしたことがあった。高須院長もどんどんピストン輸送をやってくれ。

逆にもっと売名しろと僕は言いたいね。全財産でも寄付すれば名も上がるよ。売れ行き微妙な芸能人には絶好のチャンスだ。しかも被災者としては動機は何でも嬉しいわけでね。売名行為問題なし、被災者のためになればそれでよしだ。
とにかく微妙な額を寄付するからイチャモンをつけられるんでね。その辺の度量も問われることを有名人はわかっていないといけない。ジャパネットたかだの前社長は「今日の売り上げ全部寄付!」とかやったが、こういうふうにやると称賛しか浴びない。

て、そんなこと言ってるお前は何かしてるのかと言われると少し困るのだが、JALとANAでマイルを寄付しませんかというのがあったので、たまってたマイルをとりあえずそっちに放出。3クリックくらいで完了するという手軽さがいい。大したものじゃないが、私も金持ちではないもんで。まあ、落ち着いたら当然熊本には行くことになるので、そのときにはできるだけお金を落としてこよう。

震災に関連して話題になっているのが、九州新幹線開通時のCM映像。2011年、東日本の震災で自粛となり、何とわずか2日しか放映されなかった幻のCMなのだが、見ていない人には必見かも。こういうことがあってということなのだが、九州の人々の思いが伝わる感動的なものだ。
もうひとつ感動だったのは、ある高校の校庭に椅子や机で書かれた「のみ水ありがとう がんばるけん」の文字である。「ありがとう」だけで終わらないところに九州人の心意気というかスピリットを強く感じる。僕は全国のいろいろな同業者と知己にさせていただいているが、いちばん自分に合う精神性をもっているのは九州の人だなとずっと前から思っている。だから九大系の人とは昔から仲がいい(と自分では思っている)。別にそれによって他を区別していることはないけど。

と当然のことながら九州の映像が大半を占める1週間だったが、先日は豊島園で映画「ちはやふる 上の句」を鑑賞。原作を知り尽くしているだけに、小さなことでもグッと来てしまうことに自分でも驚いたが、この映画は原作と比べないほうがいいとは思う。全くの別物と考えたほうがいい。主役の広瀬すずがどうなの?と思っていたけど、これも原作から切り離せばそれでいい。

実は、その2週間前くらいにケーブルTVで「海街diary」を観たんだよね。別に観たいと思っていたわけではないのだがたまたまね。
この映画は昨年の日本アカデミーを総ナメにしたのだが、まあキャストが豪華で、今現在客を呼べる役者が勢揃いの感がある。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが主役4姉妹。脇に堤真一、風吹ジュン、大竹しのぶ、樹木希林、加瀬亮だもの。もう反則だな。しかし、主役級が多すぎて、焦点はぼけがち。まあまあ観られる映画ではあるが、さほどのものとも思えない。

ただし、並み居る大物を前にして圧倒的な存在感と煌めきを放っていたのは広瀬すずだった。役柄的に恵まれたところもあったが、他の俳優が誰か一人いなくても成立する映画の中で、そこにいなければ成立しないものを担っていたのは広瀬すずだったのである。別に演技がうまいわけでもなくむしろ劣るのだが、それだけに僕はびっくりしたのである。で、「ちはやふる」も観に行こうと。
映画「ちはやふる」は、映画ならではのものがあってよかったと思う。前半部はダメダメだが、後半部の迫力はなかなかである。役者としては原田先生役の國村隼がはまり役もはまり役。これだけは原作偏向者にも好評ではないのかな。
その原田先生はこう語る。
「青春全部賭けたって勝てないって? そういうことは全部賭けてから言いなさい」
「スラムダンク」の安藤先生のあの言葉に肩を並べる。「ちはやふる」の名言が、國村隼によって見事に語られる。うまい役者だなあ。この台詞ひとつ取っても芝居がからず、重厚にもなりすぎずで。
國村隼はいいね。「アウトレイジ」以降、僕はほんとに好きになったね。「海街」には出てなかったが。無理かもしれないが海外の映画、フランス映画とかにも出て欲しい。だって何となくジャン・ギャバンみたいだし。

今月ケーブルのオンデマンドに降りてきたのが、ストーンズの1981年のハンプトンホールでのライブ。このライブはすごい。すごすぎる。後々の完成度高いライブの前のものだが、そのワイルドさとエネルギーみなぎるステージは、数多あるライブ映像の中でもピカイチと思える。いや絶対そうだな。アンコールでステージを走ってきた不審者にキースがギターで思い切り殴りかかるシーンまで映っているし。音源も、他のライブでは何をやっているのかよくわからないビル・ワイマンのベースラインがよく聴けるし、頭頂部はすでに禿げているチャーリー・ワッツがテクノカットというのも面白い。今年10年ぶりに世界ツアーを始めているストーンズだが、この当時に比べればさすがに薄まっているのは否めないな。

で、今回は長くなったな。その代わりといってはナンだが、来週は、ゴールデンウィークにつきこのコラムはお休みです。先週の皐月賞は負け。ちょっと後悔する負け方だった。それから日曜日はTCCの”登山部”が初の部活動に、僕も参加することになった。なんでも15人も来るんだって。

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