菅野所長のエッセイ:彼女の勘違い


東京の感染者数が増加の一途で、徐々に危険水域に入っている感じがある。先週、西村再生相が言った「嫌な感じ」というのはまさにその通りであった。都知事への直接的な攻撃を避けただけのことで、わかっている人には想定し得ることでもあった。
再選は間違いないし、感染はもう広がらないと勘違いした都知事は、愚かなことにオリンピックの開催にも色気を持ち続けている。けれども、自分が大きな思い違いをしていたことに気づいたのかどうか。
つまり、一時期感染者数がひじょうに少なくなったのは、あくまで国民一人一人が社会全体を思い、それぞれの行動をがまんしていたからであって、政府や都の対策によるものではないことが明白になったことを理解したのかどうか、そこが鍵である。とくに飲食店などの経済的ダメージを憂いて、それを解除するという経済優先主義は、このウィルス禍では最も悪手となる。なぜなら、僕が前から力説しているように、感染するのはマスクを外しているときであって、飲食する場面や歌う場面が最も危険だからだ。したがって、カラオケやキャバクラ、飲み屋などの解禁は相当にやばいのである。ではどうするのかと言えば、禁止の代わりに休業補償をしていくこと、それが政治、対策と呼べるものだ。とくに東京での感染状況は、近県にも影響を及ぼすのだからその責任も重い。
しかし、世界の中堅国の国家予算にも匹敵する予算をもつ東京都なのだから、こういうときこそがんばらねばいけないだろう。僕だって高い都税をマジメに毎年払っているぜ。都民のために、オリンピックへの色気はさっさと捨てなければいけない。使わないけど、一年間キープするために会場費だけで何千億とかかっているというではないか。そういえば、五輪委員会の家賃なんてのもものすごい高額だったね。そういうのはみんなコロナ対策に当てなさい。それが国難に立ち向かう政治家のあり方というものだろう。
そもそも、まだオリンピックをやれるというのが勘違いだと思うがね。まったくもう、根本的には、名誉欲というものを捨てなければどうしようもないのかな。でも、「オリンピックを開催した知事」であることよりも「コロナ禍を抑え込んだ知事」のほうがずっとかっこいいんじゃないの? そのためには優秀なブレインを持たないとダメだけどね。