菅野所長のエッセイ:良問は悪問を駆逐できるか


今週も陽気は安定して、すごい寒いわけでもなく、ただ朝夜は晩秋の冷え込みを感じるというものだった。先週過ごしたように、今週も大過なかったことがありがたい。
いろんなニュースがある中で、僕の興味を引きつけたのは、学習院女子中等科の社会の入試問題だった。
これは都道府県別の在留外国人数の表があり、その表から何が読み取れるのか?というものである。さっそく僕も何かを読み取ってみようかと思ったのだが、特に大したものは読み取れない。すぐにわかるのは、人口の多いところほど外国人数も多いというものである。でも、「在留外国人の数は、その地域の人口に比例する」という、そんな単純な答えでいいのかと疑心になる。いやしかし、そんなもんじゃないだろうとさらに考えるのだが、それ以上のものは出てこない。

これではいかん、それではあまりに不明な人間であろうと思い、単純な数ではなく、当然人口比率から考えなくてはいけないだろうと、各都道府県の人口を検索し、それで外国人数を割ってみた。まあ、検索しなくても見当はつくのだがね。
すると、意外なことにはならない。数も比率も東京がトップ。で0.038%。次いで0.03%で愛知。大阪が0.025%、神奈川0.022%と人口上位県は比率でも上位。しかし、3位に群馬、4位に三重、これが意外な結果。
いちおう、順序をつけると、①東京②愛知③群馬④三重、同率の⑤大阪、岐阜、同率⑦千葉・静岡、同率⑨神奈川・埼玉・京都
少ないのは東北と九州だね。秋田0.003%、青森0.004%、宮崎、鹿児島は0.005%、熊本0.007%など。
こうなると少しは見えてくるものはあるな。岐阜と三重が上位なのは、愛知と近隣だからだろう。つまり、トヨタとかの大企業の恩恵が近隣にもこぼれるわけだ。特に三重などは南部は何もないが、名古屋からすぐの四日市などは工業地帯だ。
これに対して、群馬の場合は以前より外国人労働者を受け入れているので有名である。大泉町などは、もはや人口の13%が外国人。伊勢崎市、太田市は3%~4%である。つまりは、外国人労働者を受け入れる産業があるかということと、行政の考えがどうなのかということで、こうした数値は決定してくるということだろう。
結局、労働者を求める産業があれば、そこに外国人も来る。そして、そこそこの産業があり、かつ行政に外国人を求める意志があればそこにも来る。

入試問題の表があらわすものは、人口と産業の多いところほど外国人が集まり、そうでないところには集まらないという単純なことである。それは読み取ると言うほどのことでもない。人口との比率から考察するならば、群馬の例をもって、行政の意思ひとつでこの数値が上がることもある。都市と地方とのもろもろの格差というものは、このようなデータから言っても加速して行かざるを得ないということだろう。しかし、その裏を返せば、そのような格差あるいは過疎化といったものを改善しようとするならば、行政が意志を持って外国人を受け入れていくことにある。
とは言え、こうした考察を、中学受験の小学生に要求するのは酷というものだ。たぶん出題者の意図としては、こうしたもっともらしい見解を欲しているのではなく、考えさせることそのものにあるのだろう。その意味では、何か正解めいたものがあるようなデータこそが悪問であり、何も見えないようなものが良問ということになるだろうか。まあ、こんな問題ばかりになれば、これまでの受験も様相が変わり、もっと考えることができる子どもが増えることは間違いない。
明治維新の頃、富国強兵の「富国」を担うものは第一には教育であった。明治政府はその認識が徹底しており、だからこそ反対する農民の暴動が全国的に勃発する中でも、学校の普及に血道を上げたのである。その強引なやり方こそ批判されなければならないことだが、その認識は間違ってはいない。
さて、競馬はあいかわらずの低調。先週のマイルチャンピオンは、3連複と3連単を少しだけ当てるもガミだったし。今週はジャパンカップ。外国馬がゼロというのが競馬界としては大きな問題だな。メンバーは淋しい。②ワグネリアン⑥ユーキャンスマイル⑧レイデオロの首位争いかな。これに2年前の勝ち馬⑪シュヴァルグランを入れた4頭ボックス(3連単、馬単)で勝負してみようか。