菅野所長のエッセイ:イチロー引退


まずはイチローの引退だな。
来るべきときが来たと。誰にでも訪れることがあのイチローにも来たのだ。まあ、50歳まではやってほしかったけど、ここ最近の打席を見ると衰えは隠しようもないからねえ。もう無理なのは明らかだった。

イチローの引退に寄せるコメントがなかなか味わいがある。キングカズは、「一緒にトレーニングやろうか」上原は「メシ連れてってください」王貞治は「そこに立ったことがある人にしかわからない悩み」とかね。
最後の試合では実況アナが4分間無言だったそうだが、それもなかなかだ。

ほんとうに突き抜けた存在だったな。昔、ある野球解説者が、まだレギュラーではなかった19歳のイチローを評して、来年首位打者は確実、ヒットは200本以上(日本記録)打つと断言していたのだったが、オリックスの試合なんてTVではやらないから、イチローをよく知らない僕は、そんなことを言ってしまっていいのかと訝しんでた。でも、翌年にはほんとにそうなった。

しばらくして、東京ドームの日ハム戦にイチローを見に行ったことがある。イチローが打席に入る、ライトの守備につく、そのたびに球場全体の空気が変わるのを目の当たりにして、こんなのは長嶋茂雄以来のことだなと思った。スーパースターというのは、敵味方関係ないのだ。僕は地上から無くなってほしいくらい巨人が嫌いなのだが、長島は別だったもんな。

後は何と言っても、WBCのイチローだな。
1回目では、参加するのかどうか微妙だったが、王が監督になると決まると「王さんに恥をかかせてはいけない」と、あの「公介さんを手ぶらで帰してはいけない」のモデルとなるような発言をして参加表明。そして大活躍。その数年後には、星野が監督になりそうなところにイチローがやんわりと反対の空気を出して星野の野望を阻止した。そして韓国との決勝戦の決勝打は、ちょうど仕事先に行ったときで、見られなくて残念と思っていたところが、1階のフロアで先方が降りてくるのを待っている間に、そこにあったテレビであの劇的なシーンが見られたのだった。僕にとってはすべてが痛快。

原稿を書くときにもときどき引用させてもらってた。イチローの言動や行動はいつもチェックしてたからね。一般的にはあまり面白いことを言っていないと思われがちかもしれないが、僕にとっては違ったね。当たり前のことを当たり前にすること、いつも昨日以上の自分を求めること、そのために考え、工夫し、練習を積み重ねること、それしかないということがよくわかる。王さんもそういう人だったので、先のようなコメントとなったのだろう。王さんも「そこに立った人」だから。そしてキングカズもそうだ。
ただし、この二人に比べてイチローはひじょうに自己本位なタイプである。だから自分でも「人望がない」と言っている。そこは僕もそう思うね。でもいいの。そういう勉強はこれからの人だから。

日曜は最初の芝GⅠ高松宮記念。モズスーパーフレア、ナックビーナス、ダノンスマッシュが強そうだが、人気のないところで中京得意のペイシャフェリスタ、好調のティーハーフが絡めばいい馬券だ。牝馬だが、競馬界のイチローアーモンドアイがいよいよ世界に挑むね。それは30日か。