菅野所長のエッセイ:豊後水道に飛び込むつもりで


さて、今週が終わればもう終わったも同然のような気がする。今日は忘年会だし。いつものように忘年会貧乏なのだが、有馬記念で取り返せばいいのさ。

さて、先々週ホールインワンという珍事があり、その週末から学会で大分のほうに行ったわけだ。大分は久しぶりだが、なぜか行くたびに天気が悪く、今回もまた極寒だった。強風が吹き荒れ、鶴見岳に積もった雪がそれに飛ばされ街中に降ってくる。昔は季節外れに雪が降ったり、九州でも大好きなところなのに相性が悪い。
まあ、それはいいが、夜は宴会がつきものだ。大分はすばらしい。ふぐと城下ガレイはは年が明けないとシーズンではないが、ここには豊後水道であがる関アジ、関サバがある。 行った店には水槽があり、ものすごくでかいサバ、シマダイが泳ぎ、ヒラメが底を這っている。アジはないということなので、みなで関サバとシマダイのお作りを注文。加えて、養殖ではあるがカボスヒラメも追加。カボスヒラメとは、大分名産のカボスを餌に混ぜて育てたヒラメのこと。最初はブリの養殖で有名になったものだが、カボスの影響で臭みがなく爽やかな味になるというのである。
さてしかし、ここで重大な問題がある。実は僕は昔寿司屋でサバにあたって大変な目に遭い、以来怖くて生のサバを食べられないのだ。ほんとは中トロよりも何よりもサバの刺身のほうが好きなのだが、他の連中が食べているのをいつも指をくわえて見ているのみ。
何しろあのときは、まだ世田谷の豪徳寺に住んでいる頃だったが、家に戻ってしばらくすると、突然吐き気と下痢、顔がカーッと熱くなり、ピンポン大の蕁麻疹が体中に広がりだしたのだった。そこから3日間何もできず、もちろん仕事にも行けず。あの苦しさは二度と味わいたくないと、生サバには手を出さなかったわけである。
今回も見事な関サバが登場。皆美味い美味いと口にする。うーむ、これは本当に美味そうだ。前にも関サバを頼んだことがあるが、これは最上の一品だなと見ただけでわかる。 まあしかたないから、おもにヒラメに箸を伸ばす。なるほど、実に爽やかである。ヒラメというのは、天然であっても当たりはずれが激しい魚で、外れると泥臭い。カボスヒラメにはそういう心配が要らない。多分ホームランは出ないが、確実にシングルヒット、2塁打を飛ばす打者のようだ。

と、ヒラメを褒めちぎるものの心は千々に乱れている。頭の中では関サバがギュインギュインと泳ぎ回っているのだ。この関サバは絶対にうまい。自分が過去に食べたものを圧倒的に凌駕しているという確信を持てる。
「こうなったら勝負に出る」と宣言し、関サバをもう一匹頼もうと進言。皿にまだ刺身は残っているが、その間に心の準備をしておこう。周囲は僕の事情をよく知っているので、快諾。

そして2匹目の関サバが来て、それを口に入れた。33年ぶりの生サバの来迎、生サバとの邂逅。やはり美味い。関アジもうまいが、サバにはかなわない。もう今夜も明日もどうなってもしかたない、もうどうなってもかまわない。今は、思う存分、失われた33年を埋める関サバと至福の時を過ごそうと思った。

そして、気づけば2時間くらいが過ぎ、身体に異変はなかった。大丈夫だったのだ。今までも何度も何度も大丈夫なんじゃないかと思ってはきたのだが、あのときの苦しさを思って、怖くて手が出せなかった。もしも明日で地球が滅亡するという日になったら食べようと思っていたくらいだ。

ああ、これもホールインワンのおかげではないのか。あれで、なんか勢いがついたというか。自分にもけっこうな運が回ってきているのかもしれないと思えるのだった。

先々週の1週間は人生でもなかなかな1週間ではないかなあ。どちらも30数年という数字が絡む。やはり人生はどう転んでいくのかわからない。
で、競馬のほう、朝日杯フューチャリティSも、僕が推した①クリノガウディ、単勝80倍以上の馬が来ましたねー。がんばりすぎて2着。これが3着か、もしくは1着ならもっとすごかったのだが。とにかく、3連単、3連複、馬単と総取り。自分の相馬眼が的中したことが何より嬉しい。
今週はグランプリ有馬記念。本命は⑫レイドオロでいい。対抗が難しいが、ここは③モズカッチャンとしたい。以下、⑥サトノダイヤモンド⑪ミッキーロケット⑭キセキ⑮シュヴァルグラン。でも差はないよね。