菅野所長のエッセイ:会見やぶにらみ


だいぶ涼しくはなったのだが、この間の台風、関空に取り残された人たちを気の毒に思っていたら、北海道には朝方に震度7の大地震。起きてニュースを見てビックリ。この夏はほんとに災厄が多い。
実は、神戸に行っていて、帰った翌日に神戸では台風の直撃である。僕の場合は、この夏、台風と猛暑の合間合間に各地に行っているのでひじょうに運がよい。

ただ、先週の神戸ではとても不愉快な思いをしたな。
学会のついでに、例のプラド展を兵庫県立美術館に見に行ったのだが、この建物が酷い。安藤忠夫のものだが、まるで観る側の立場に立っていない自己満足建築物だ。迷路のようになっており、どこを通ったらいいのかわからず、何度も行ったり来たり。お年寄りや脚の悪い人だったら大変だろう。タクシーの運ちゃんに聞いたら、「ここから乗る人は皆ブツブツ文句言ってますね」だと。土曜なのにずいぶん空いてるなあと思ったが、悪評は十分に広まっているからだろうか。
展示もなんだかライティングが悪く、ひじょうに観にくい。まあ、ベラスケスの重要な作品はあまりないので良かったが、それにしても、昔マドリッドで観たときのあの感動はまるでよみがえらない。震災復興のシンボリックな意味で建てられたらしいが、それだけにますます残念なことである。たぶん日本一行ってはいけない美術館だろう。

冠水した関空もまた飛べるようにはなっているが、関空を管理する会社の会見が何もあまり責任を感じているふうに見えなかった。「想定以上の高潮なんだからしゃーないですやん」という印象。でも、過去に2回くらい同じようなことになってるんだから、対策が甘いというそしりは免れないな。同じ海上空港の名古屋セントレアの防潮フェンスは関空の倍くらい高いように見えるし。
他に会見で不信を抱いたのは、体操の速見コーチ。これもあまり反省しているふうではないなあと思ってたら、後日、宮川選手に暴力をふるっていた動画が拡散された。これはすごいよ。ひどい。目を背けたくなる。これこそ想定以上。日常的に行われていたのは確実だな。指導力もないのにコーチになっている悲劇とも言えるがね。会社の上司と一緒。
で、こんな目に遭ってた宮川選手がなぜコーチをかばうのか? これにはいくつかの見方がある。ひとつはDVカップルにありがちな関係性。「ほんとはいい人なんです」「根は優しいんです」と青痣をつくっている彼女たちは語り、周囲はため息をつく、あれだ。男性コーチと女子選手ではしばしば疑似恋愛関係になりやすいしね。
つぎに宮川選手が相当鈍いかだ。本人が暴力を認めている一方で、宮川選手はそのほとんどを「暴力はなかった」と言う。ほんとにそう認識しているなら、彼女のものの見方は相当変わっていることになる。
僕は違うと思うね。暴力と認めると、自分の立場が不利になると考えているんじゃないかな。彼女の目標はとにかく代表選出、オリンピックに出ること、それだけだ。そこに至るために積み上げたプロセスを今さら変更できないと思っているのではないか。だから、暴力なんかありません、悪いのは協会側ですと言い張るしかない。ま、あくまで推測だが。彼女の会見から僕が感じたことは、この子はすごくしたたかだなということだった。
もっとも、協会側、塚原(妻)も相当のもんだろう。本人は別に大した選手じゃなかったが、夫は、ムーンサルトで世界に衝撃を与えたあの塚原光男だ。夫の威を借り、女子体操の世界を牛耳っていたわけね。
昔から朝日生命クラブのあり方は問題視されてたからね。読売巨人と同じで、いい選手をがんがん引き抜いて帝国をつくり、協会の中でも隠然たる力を揮っていた。近年、指導ぶりが古いので、いい選手が出ず、つぶれる選手も多いので人気がなくなった、というのも巨人と同じ。
まあこれを機会に目一杯膿を出して欲しいものだ。

で、来週は仙台に仕事で行っちゃうので、このコラムはお休みです。